2度の延期を経て、本日、ようやく正式発表された「VAIO Phone(バイオフォン)」
日本通信とVAIOがタッグを組んで開発したスマートフォンで、デザインに関して評価の高いVAIOがスマートフォンに参入することもあり、自分も含めて期待していた人も多数いたのは間違いなかったと思いますが、発表後の評判はほぼ全てが「期待外れ」という意見でボコボコに叩かれている状態です。
VAIO Phoneが叩かれている理由はスペックではない
「スペックが低い」とVAIO Phoneの不満を述べる人はとても少ないように見受けられます。それは日本通信とタッグを組んでいたこともあって、性能はそこまで高くなく価格の低い「格安スマホ」として登場することが明らかになっていたから。
発表の2週間前にベンチマークスコアが登場して一部のスペックが明らかになった時も「あぁ、こんなもんか」という感想でした。実際に発表された後も期待外れではなく、格安スマホなら「まぁ、こんなもんか」と感じました。
VAIOなのにデザインがダサい
デザインの評価が高いVAIOがデザインを担当したことや「スペックはど真ん中、デザイン重視」と宣言されていたことからデザインに大きな注目が集まりましたが、正直、非常にダサいと感じました。
製品画像を見れば見るほど、「背面のロゴをなぜあの位置にしたんだ・・・」「フロント部のVAIOロゴは必要なのか・・・」「microSDのロゴは何なんだ」と、ロゴに関して寛容な自分でさえいろんな疑問がでてきます。
デザインが期待できなければ、Androidのデザインに期待するしかない、PCではハードウェアのデザインで勝負してきたVAIOもスマートフォンではソフトウェアのデザインに勝負するんだろうと思っていたら、中身は全くカスタマイズされていないピュアなAndroid・・・。
ピュアなAndroid搭載なのに今後のアップデート提供は未定
いや、SIMフリーの格安スマホと言えど、OSのアップデートが迅速なスマートフォンはあまりない。
ピュアなAndroidを搭載したVAIO Phoneならアップデートをいち早く受け取れるんじゃないかと思ったら、アップデートの予定は未定。製品のウリにもあげられていないことからアップデートが迅速に受け取れるかどうかはわからないといったところです。
価格で勝負といった割には勝負していない、単純に高い
まだだ、まだ価格が希望として残ってる。一体いくらなんだ?1万円〜2万円か?と思って価格をチェックしてみると、目に飛び込んできたのは一括支払い価格が「5万1000円(税抜き、初期費用込み)」
▼主な格安スマホのスペックと価格は以下のとおりとなっています。
VAIO Phone | ASUS ZenFone 5 | Ascend Mate7 | FUJITSU ARROWS M01 | |
---|---|---|---|---|
価格 | 4万8000円 | 3万円前後 | 5万円前後 | 3万7000円前後 |
OS | Android 5.0 | Android 4.4 | Android 4.4 | Android 4.4 |
ディスプレイ | 5インチ / HD液晶 | 5インチ / HD液晶 | 6インチ / フルHD液晶 | 4.5インチ / HD液晶 |
バッテリー | 2500mAh | 2110mAh | 4100mAh | 2500mAh |
CPU | 1.2GHz / クアッドコア | 1.2GHz / クアッドコア | 1.8GHz × 1.3GHz / オクタコア | 1.2GHz / クアッドコア |
RAM | 2GB | 2GB | 2GB | 1GB |
ROM | 16GB | 32GB | 16GB | 8GB |
カメラ | 1300万画素 / 500万画素 | 800万画素 / 200万画素 | 1300万画素 / 500万画素 | 800万画素 / 130万画素 |
いや、専用の料金プランが500円とかだろ?それなら・・・と思って価格をチェックしてみると、1GBのデータ通信量と音声通話に対応したプランが980円(税抜き)、データ通信量が無制限で音声通話に対応したプランが1980円(税抜き)。2年間の支払総額はいずれも7万4520円または9万8520となります。
24回払いの場合、端末代コミでそれぞれ月額2980円、月額3980円。2年間使っても割引なし。
▼VAIO Phoneの料金プラン
ライトプラン 音声付 | 高速定額 音声付 | |
---|---|---|
データ通信量 | 1GB | 無制限 |
価格 | 一括払い:980円 24回払い:2980円 | 一括払い:1980円 24回払い:3980円 |
日本通信では、VAIO Phoneと同等な料金プランを月額1560円(ライトプラン 音声付きに相当)または月額2780円(高速定額 音声付きに相当)で提供されていることを考えれば、確かに安いものの、提供されるSIMカードはVAIO Phone専用で他のスマートフォンやタブレットで使えないようにロックがかけられているなど制約があります。
端末は「ELUGA U2」を流用、結局VAIOは何をしたのか
また、端末は約3万円で台湾市場で販売されているパナソニックの「ELUGA U2」を流用していることも明らかになりました。つまり、VAIOのロゴが入っただけで2万円も上乗せされていることになります。
ハードウェアもデザインせず、ソフトウェアもデザインせず、ただロゴの位置を決めただけ?そしてそのロゴの位置もナンセンスと言わざるを得なく、一体VAIOは何をしたのでしょうか・・・。
最大の失敗はハードルを上げまくったこと
これだけなら、ただ叩かれるだけの製品で済んだかもわかりませんが、最大の失敗は自らハードルを上げまくったことにあります。
「これまでの格安スマホは二流ばかり」「MVNOから購入できるスマートフォンはブランド力の低いメーカーの製品か、型落ちのスマートフォンしか選択肢がない」「安かろう、悪かろうのイメージで格安スマホが危機的状況にある」「これらの払拭できるのがVAIOブランドのスマートフォン」
などと語り、パッケージのみを公開するなど、焦らしも入れてきたにも関わらず、「結局、発表されたのがこれ?」「勝負したポイント全てが期待はずれ」、叩かれる理由は全てにあるというのが正直な感想です。