何が進化した?“空気まで読む”Gemini 3登場。Gmailからレンタカーの予約準備まで可能なエージェント機能も
Yusuke Sakakura
Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

Googleが最新のAIモデル「Gemini 3」を発表しました。
現在提供されているGeminiのあらゆる技術を組み合わせて、ユーザーのアイデアを実現に導く“最も高性能なモデル”です。
また今回は、複数ステップのタスクをAIが代理で処理する「Gemini Agent」など、アプリ側の機能強化も同時に発表され、AIの利便性が大きく向上するアップデートになっています。
Gemini 3は何が進化した?
まずはこれまでの進化を振り返ります。
Gemini 1.0では、ネイティブなマルチモダリティ対応と長文コンテキストを導入し、扱える情報の種類と量が大きく拡大しました。
AIが現実世界を理解するための基礎が固まります。
Gemini 2.0では、AIエージェントの基盤を構築し、思考と推論の幅が広がりました。さらに、2.5でより深い推論と高度なコード生成が加わり、より複雑なタスクにも対応できるようになります。
そして、“3.0”ではなく「Gemini 3」と名付けられた最新世代のモデルは、より深い文脈理解と微妙なニュアンスの把握を得意とするモデルへと進化しました。
小さなヒントをもとにアイデアの方向性を読み取り、複雑な問題では絡み合った要素を丁寧にほどくことで、短い指示(プロンプト)でもユーザーが必要としている回答を返します。
わずか2年で、AIがテキストや画像を理解する段階から、曖昧な指示や不足した情報でも背景の意図を推測するなど、“空気を読む”までに進化したことについてGoogleは驚異的と表現します。
Gemini 3は、今日からGoogleの幅広いサービスに導入されており、Cursor、GitHub、JetBrains、Manus、Replitといったプラットフォームでも順次利用できます。
- 一般ユーザー向け:Geminiアプリ、Google検索のAIモード(Google AI Pro / Ultraの加入者)
- 開発者向け:Google AI StudioのGemini API、新しいエージェント型開発プラットフォームのGoogle AntigravityとGemini CLI
- エンタープライズ向け:Vertex AIおよびGemini Enterprise
Gemini 3 Pro
ウェブおよびアプリ版のGeminiでは、従来どおり「Fast(高速応答)」と、複雑なテーマにも対応する「思考モード」を選べます。
思考モードに搭載されているのが「Gemini 3 Pro」です。余計な褒め言葉やお世辞を排除し、聞きたいことではなく、本当に聞くべきことを返す姿勢が特徴です。
- LMArena:1501 Eloでトップ(Gemini 2.5 Proを大幅に上回る)
- Humanity’s Last Exam:37.5%(ツールなし)で最高スコア
- GPQA Diamond:91.9%で博士号レベルの推論能力
- MathArena Apex:23.4%で数学分野の最高スコア
- MMMU-Proで81%、Video-MMMUで87.6%の記録的なスコアでマルチモーダル推論を再定義
- SimpleQA Verified:最先端の72.1%を記録し、事実精度も向上
また、過去のチャットを参照してユーザーの状況をより深く理解し、個別の文脈に合わせて回答するパーソナライズ機能を追加されています。
このパーソナライズ機能はGemini Liveや、その他のモデルにも近日中に提供予定です。
また、Google検索のAIモードでは、モデル選択が可能になり、Thinkingを選ぶとGemini 3 Proを使ったAI検索が利用できます(現在はアメリカのGoogle AI Pro / Ultraユーザー限定)
Gemini 3 Deep Think
さらに、推論能力とマルチモーダル理解力を飛躍的に向上させた「Gemini 3 Deep Think」も登場しました。複雑な問題を一段深いレベルで解決できるモデルです。
- Humanity’s Last Exam:41.0%(ツールなし)で Gemini 3 Pro を上回るスコアを記録
- GPQA Diamond:93.8%で最高水準の深い推論能力
- ARC-AGI(コード実行あり):45.1%という未到達のスコアに
提供開始はGoogle AI Ultraユーザーから。安全性評価やテスターのフィードバックを得るため、時間をかけて慎重に展開を進めるとしています。
旅行のレンタカー予約もAIにおまかせ「Gemini Agent」
ウェブ/アプリ版のGeminiには、複数手順が必要なタスクをGemini内で直接処理できる実験機能「Gemini Agent」が搭載されました。
5/ We're introducing Gemini Agent: It uses Gemini 3's advanced reasoning to break down complex tasks, like booking local services or organizing your inbox, into actionable steps.
It can then propose actions like drafting your replies or archiving emails, all using deeper… pic.twitter.com/MELURXImWd
— Sundar Pichai (@sundarpichai) November 18, 2025
例えば「受信トレイを整理して」と依頼すると、Agentがメールを確認し、重要度を分類し、返信の下書きをしてからユーザーに確認を求めます。
「メールに書かれている情報を使って、来週の旅行用に1日80ドル未満の中型SUVを予約して」といった具体的な依頼も可能です。
Geminiがメールの中からフライト情報を読み取り、条件に合うレンタカーを探し、予約手続きの準備まで行います。
Gemini AgentはアメリカのGoogle AI Ultraユーザー向けに提供を開始。現時点で日本での提供は未定となっています。


















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