Apple IntelligenceがiPhone 15 Pro/Maxのみ対応の理由は?←Appleが疑問に答える
AppleがビッグイベントWWDC024で発表したなかで最も注目を集めたのが「Apple Intelligence」でした。
Apple IntelligenceがGeminiやChatGPTといった他社のAIサービスと大きく異なるのは個人の背景を理解することで生活を豊かにするということ。
例えば、家族や友達との約束を確認したい時、これまではLINEなどのメッセージアプリを起動して過去のやり取りを探す必要がありましたが、これからはApple Intelligenceの導入で劇的な進化を遂げるSiriに「〇〇とのランチの予定を教えて」と聞くだけで予定を確認できるだけでなく、「そこに行くにはどうしたらいい?」と聞けば、マップアプリと連携して交通状況まで考慮して到着時間まで確認できます。
魅力的ではあるものの現時点でiPhoneの対応機種は最新のA17 Proチップを搭載したiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxだけです。なぜそうなったのかAppleが説明しています。
かなり古い機種でも動作するが、遅すぎて使い物にならない
The Talk Show Live From WWDC 2024にて、Daring FireballのJohn GruberがApple Intelligenceの対応機種が限定されることについてAppleに質問しています。
まず、AppleのAI/機械学習部門トップのJohn Giannandreaは、大規模言語モデルの実行(推論)には信じられないほどの処理能力が必要になると説明。
推論とは、AIがデータから答えを出すプロセスのことです。例えば、AIに「この画像は犬ですか猫ですか」と質問すると、AIは過去に学んだ犬と猫の情報をもとに答えを導きます。このようにしてAIは新しい状況でも適切な判断をします。 推論のメリットは、人間が短時間で理解できない大量のデータから正確な情報を得られることです。また、一貫して正確な判断ができるので、医療や交通の安全管理など重要な場面で役立ちます。
モデルを十分な速度で動作させるために必要な要素は1つだけではなく複合的な要素が必要とし、具体例としてデバイスの帯域幅とNeural Engineを挙げています。
ちなみに、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxに搭載されるA17 ProのNeural Engineは毎秒約35兆回の演算処理を実行できます。
これは非対応機種のなかでは最新のA16チップに比べて処理速度が2倍に当たることから性能には大きな違いがあります。
また、理論的にはかなり古い機種でもモデルは動作するものの、処理速度が遅すぎて使い物にならないとしています。
対応機種を厳しく限定した理由について新しいiPhoneを買わせるための販売戦略ではないか?との批判的な声もありますが、マーケティング担当最高責任者のGreg Joswiakは完全否定。戦略であればiPhoneと同じようにiPadとMacも最新機種だけ対応していたかもしれません。
また、ソフトウェアエンジニアリング担当最高責任者のCraig Federighiは、新機能はできるだけ古い機種にも提供することを第一に考えているが、Apple Intelligenceに関しては一定のハードウェアが必要とし、iPhoneでこれだけの強力なモデルが動作すること自体が驚くべきことと説明しています。
John Gruberがメモリについても確認すると、重要な要素とは言わなかったものの、必要な要件の一部であることを示唆しています。
オンデバイスAIにおいてメモリが重要な要素の1つであることは、GoogleのGeminiやMicrosoftのCopilot+ PCの要件を見ても明らかで、Apple Intelligenceの対応機種すべてが8GB以上のメモリを搭載しています。
おそらく9月発売のiPhone 16シリーズは全機種がApple Intelligenceに対応するはず。それに応じてメモリの容量や性能も引き上げられるでしょう。Neural Engineについても強化が予想されます。
重要なのはApple Intelligenceの日本語対応が2025年以降になることです。
最新機種に買い替えても少なくとも数ヶ月間は利用できないことになります。その数ヶ月の間に、割引の増額や価格低下によって買いやすくなることも予想されるため、Apple Intelligenceをキッカケに買い換えを検討するのであれば、わざわざ端末価格が高額な発売日や発売直後に購入する必要はなさそうです。
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