Googleが来年発売するスマートフォン、Pixel 10シリーズの最大の注目ポイントは最新のチップセットになりそうです。
これまで強力なAIやAIを活用したカメラ、迅速なアップデート、そして比較的手に取りやすい価格を武器に人気を集める一方で、性能の低さが指摘されていました。
しかし、Pixel 10シリーズでは、製造メーカーをTSMCに切り替え、iPhone 16 Pro / A18 Proチップにも使用される新しい製造技術を採用したGoogle Tensor G5を搭載することで、大幅な性能アップが期待されています。
それでも、Snapdragonとの差を一気に埋めるような劇的な改善にはならないかもしれません。
CPU:大幅な改善はTensor G6に?
Android AuthorityがGoogleのgChips部門から得た情報として、Samsungの手を離れて真の独自チップとなるGoogle Tensor G5の性能を報じています。
チップの構成は以下のとおりです。
Tensor G3 | Tensor G4 | Tensor G5 | |
---|---|---|---|
ビッグクラスタ | 1x Arm Cortex-X3 | 1x Arm Cortex-X4 | 1x Arm Cortex-X4 |
ミッドクラスタ | 4x Arm Cortex-A715 | 3x Arm Cortex-A720 | 5x Arm Cortex-A725 |
リトルクラスタ | 4x Arm Cortex-A510 | 4x Arm Cortex-A520 | 2x Arm Cortex-A520 |
毎回のように構成が変わっているGoogle Tensorですが、次期チップではリトルクラスタを2つ減らして、ミドルクラスタを2つ増やすようです。
ミドルクラスタの増加によって、マルチコア性能については大幅な改善を期待できますが、ビッグクラスタに変更がないことから最大出力の劇的な改善には期待できないでしょう。
知っておかなければいけないのは、Tensor G5はもともとPixel 9シリーズに搭載される予定だったチップということです。スケジュールが間に合わず、Tensor G3にわずかな変更を加えたTensor G4を採用することになりました。
この経緯を考えれば、ビッグクラスタに変更がないのは自然なことです。
CPUの大幅な改善はTensor G6以降になるかもしれません。NOTEBOOKCHECKが入手した情報によれば、Tensor G6では、大幅な改善が約束されているX925をスキップして、Arm Cortex-X930を1コア、ARM Cortex-A730を6コア搭載するそうです。
GPU:レイトレーシングと仮想GPUに対応
ゲーミングなどグラフィックに関わるGPUにおいては、これまですべてのGoogle Tensorで採用されていたArm Mailから、Imagination TechnologiesのDXT-48-1536に変更されるようです。
性能アップに加えて、ゲームや映画におけるグラフィック向上技術のレイトレーシングに対応するほか、仮想GPUも新たにサポートするようです。
Tensor G3 | Tensor G4 | Tensor G5 | |
---|---|---|---|
GPU | Arm Mali-G715 (7 cores) | Arm Mali-G715 (7 cores) | IMG DXT (2 cores) |
周波数 | 890 MHz | 940 MHz | 1100 MHz |
レイトレーシング | X | X | 対応 |
仮想GPU | X | X | 対応 |
TPU:わずかな高速化に?
Googleが市販のSnapdragonから独自のTensorチップに切り替えた理由は、高度なAI機能を実現することにあります。
高度なAI機能を実現するためには、カスタム設計のTPUが重要ですが、Tensor G5では、わずかに高速化されるようです。
Tensor G5のTPUは、1秒あたりの演算回数は40%も改善されますが、社内ベンチマークでは14%の高速化に留まるようです。また、オンデバイスのトレーニング対応など、開発者向けの新機能も追加されるとのこと。
Tensor G3 | Tensor G4 | Tensor G5 | |
---|---|---|---|
TOPS | 13 / 6.5 TOPS | 13 / 6.5 TOPS | 18 / 9 TOPS |
性能向上 | +65% | 0 | +14% |
Tensor G5は、iPhone 16 Pro / A18 Proと同じ3nmクラスのN3Eプロセスノードで製造されることがわかっていますが、ダイサイズはA18 Proの105mm^2に対して、Tensor G5は121mm^2とかなり大型になるそうです。
Tensor G5には高い期待感がありましたが、CPUの構成やコアがリーク通りであれば、大きな改善があってもSnapdragonとの大きな差を埋めることにはならないでしょう。劇的な改善は2026年発売のPixel 11シリーズになるかもしれません。
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