どっちを買う?iPhone 12 miniとiPhone SE2の違いを比較
iPhone 1210月14日、2020年の新型iPhoneとしてiPhone 12シリーズの4機種が発表されました。なかでも注目度が高いのは片手で使いやすいコンパクトサイズで最も安い「iPhone 12 mini」です。
購入を検討している人は2020年春に発売された第2世代の新しい「iPhone SE」とどちらを買おうか迷っている人も多いはず。
そんな頭を悩ませている人のために、この記事では両iPhoneを実際に購入して数ヶ月利用している筆者が「iPhone 12 mini」と第2世代の新しい「iPhone SE」にどういった違いがあるのか、画面サイズや指紋認証/顔認証、カメラの画質、電池持ち、端末価格などの違いを徹底的に比較します。
目次
- 1. デザイン・カラー
- 2. サイズ・大きさ
- 3. ディスプレイ
- 4. カメラ
- 5. 顔認証・指紋認証・操作方法
- 6. 電池持ち・バッテリー
- 7. 5G・パフォーマンス
- 8. 販売価格・容量
- 9. どっちを買う?iPhone 12 miniとiPhone SE2の選び方
デザイン・カラー
iPhone SEとiPhone 12 miniの大きな違いの1つがデザインです。
デザインの違いを比較
iPhone SEは、ディスプレイを厚いフチ(ベゼル)で囲い、画面の下側にホームボタンを配置。側面には手に馴染む丸みのあるフレームを採用したおなじみのオールドデザインです。
iPhone 12 miniのディスプレイは薄いフチ(ベゼル)で囲われていて画面の上部には“ノッチ”と呼ばれる凹のような形をしたフロントカメラや各種センサーの配置スペースがあります。側面は初代iPhone SEのようなフラットな形状でスタイリッシュなオールスクリーンのデザインです。
どちらも光沢のあるガラスを背面に使い、側面のフレームには航空宇宙産業で使われるレベルのアルミニウムを使用しているため高級感に違いはありません。
カラーを比較
カラーはブラック、ホワイト、(PRODUCT)REDの3色から選べるiPhone SEに対して、iPhone 12 miniはブラック、ホワイト、(PRODUCT)RED、ブルー、グリーンのカラフルな5色をラインナップ。好みのカラーはiPhone 12 miniの方が見つかりやすいでしょう。
両機種とも画面側はすべて黒で統一されているのでケースを付ける場合は色による違いはなくなります。
なお、Apple丸の内のスタッフに「iPhone 12」の人気のカラーを聞いたところ現時点ではブルーとグリーンで、例年どおりであれば発売日から遠ざかるにつれてホワイトやブラックなどのカラーが人気になるとのことでした。
サイズ・大きさ
持ちやすさも比較しましょう。持ちやすさを判断するために重要なのは横幅の大きさです。
横幅が70mmを切ると持ちやすいスマートフォンと評価できますが、iPhone SE2は67.3mm、iPhone 12 miniは64.2mmで、どちらも片手でしっかり握れるサイズですが、実際に持ってみるとiPhone 12 miniの方が明らかに持ちやすい。
重さもiPhone 12 miniの方が15gも軽いため、電子書籍を読んだり、ゲームをプレイするなど長時間スマートフォンを操作する時でも手が疲れにくくなっています。


持ちやすさで選ぶなら確実にiPhone 12 miniを選んで正解ですが、片手操作に関して言えばそこまで大きな差はありません。iPhone 12 miniが圧倒的に良好と表現している記事もありますが間違いです。圧倒的に良いと表現できるのは初代iPhone SEぐらいでしょう。
初代iPhone SEは持ち手の対角線までカンタンに指が届きますが、iPhone 12 mini/iPhone SE2ともに対角線のエリアには指が届かず、ホーム画面の左または右端に置いているアプリを起動するには片手操作モードをオンにする必要があります。
また、ジェスチャー操作(詳しくは後述)が必要なiPhone 12 miniに対して、ホームボタンで操作できるiPhone SE2の方が片手で操作しやすいという意見も少なくありません。
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | iPhone SE | |
---|---|---|---|
縦幅 | 131.5 mm | 138.4 mm | 123.8 mm |
横幅 | 64.2 mm | 67.3 mm | 58.6 mm |
厚さ | 7.4 mm | 7.3 mm | 7.6 mm |
重さ | 133 g | 148 g | 113 g |
持ちやすさ | ◎ | ○ | ◎ |
片手操作 | ◯ | ○ | ◎ |
ディスプレイ
画面の大きさを比較
画面の大きさはiPhone SE2が4.7インチ、対するiPhone 12 miniは5.4インチです。
iPhone 12 miniの画面は縦長で対角線の長さを示すインチ数だけで比較しても大きさがわかりづらいので縦と横の長さと面積を以下にまとめました。横の長さはほぼ同じですが、ノッチ(凹)を含んだ縦の長さはiPhone 12 miniがかなり長いことがわかります。
解像度も高いためiPhone 12 miniは一度に表示できる情報量が多く、少ないスクロール回数でTwitterのタイムラインやInstagramのフィードをスラスラ読むことが可能です。
- 縦の長さ:104mm
- 横の長さ:59mm
- 面積:6,136mm
- 縦の長さ:124.5mm
- 横の長さ:57.5mm
- 面積:7,159mm
画質を比較
ディスプレイの画質はiPhone 12 miniの圧勝です。
“業界最高レベルの色の正確さを提供”する液晶ディスプレイのiPhone SE2に対してiPhone 12 miniは“iPhone史上最高”の有機ELディスプレイを搭載。
有機ELと液晶の違いはいくつもありますが、最も大きな違いはコントラストです。
コントラストの優れた有機ELは濃淡の表現力が高く、解像度も高いため、映像のきめ細やかさもiPhone 12 miniが上回っています。
また、上下に分厚いベゼルがなく画面サイズも大きいiPhone 12 miniの方が、ボディに対するディスプレイの面積の割合(画面占有率)が高いため、没入感が高く迫力のある映像体験が楽しめます。
画質を重視するのであればiPhone 12 miniの一択でしょう。なお、iPhone 12シリーズには4倍の耐落下性能を誇る画面が割れにくいセラミックシールドも採用されています。
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | |
---|---|---|
画面サイズ | 5.4インチ | 4.7インチ |
方式 | Super Retina XDRディスプレイ (有機EL) | Retina HDディスプレイ (液晶) |
解像度 | 2,340 x 1,080ピクセル 476ppi | 1,334 x 750ピクセル 326ppi |
コントラスト比 | 2,000,000:1 | 1,400:1 |
画面の明るさ | 標準:625ニト HDR:1,200ニト | 標準:625ニト |
HDR | ○ | X |
耐傷性 | セラミックシールド | X |
カメラ
結果から言えばカメラはデュアルレンズのiPhone 12 miniが圧倒的に優れています。
iPhone 12 miniのカメラは、より明るく撮れる広角レンズと景色をダイナミックに撮れる超広角レンズをワンタップで切り替え可能。
ソフトウェアでカメラの画質をグレードアップさせる「スマートHDR3」や「Deep Fusion」、さらに、夜景を明るく撮影できる夜景を明るく撮影できる「ナイトモード」にも対応しています。ナイトモードは景色をダイナミックに撮影できる超広角レンズとフロントカメラでも利用可能。以下のようなナイトモードのタイムラプスも撮影できます。
カメラを第一に優先する場合はiPhone 12 miniを選んでおけば間違いありません。特にスマホのカメラが楽しくなる超広角レンズはiPhone 12 miniを選ぶ決定打になるはず。メインカメラだけでなくリモート会議で利用機会の多いフロントカメラにおいても性能・機能ともにiPhone 12 miniが優れています。
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | |
---|---|---|
メインカメラ | デュアル12MPカメラ 光学手ブレ補正 | シングル12MPカメラ 光学手ブレ補正 |
広角レンズ | 絞り値 ƒ/1.6 7枚構成のレンズ 最大5倍のデジタルズーム ナイトモード | 絞り値 ƒ/1.8 6枚構成のレンズ 最大5倍のデジタルズーム ー |
超広角レンズ | 絞り値 ƒ/2.4 5枚構成のレンズ 2倍の光学ズームアウト 視野角120° ナイトモード | X |
望遠レンズ | X | X |
DeepFusion | ◯ | X |
スマートHDR | スマートHDR 3 | 次世代のスマートHDR |
ビデオ撮影 | 4K:最大60fps 1080p HD:最大60fps 拡張DR:最大60fps Dolby Vision:最大30fps 2倍の光学ズームアウト 最大3倍のデジタルズーム オーディオズーム ナイトモードのタイムラプス | 4K:最大60fps 1080p HD:最大60fps 拡張DR:最大30fps ー ー 最大3倍のデジタルズーム |
フロントカメラ | TrueDepthカメラ 12MP 絞り値 ƒ/2.2 ビデオの拡張DR:30fps 映画レベルのビデオ手ぶれ補正(4K,1080p,720p) 4Kビデオ:最大60fps Dolby Vision:最大30fps 1080p HDビデオ:最大60fps スローモーション:1080p/120fps ナイトモード ディープフュージョン アニ文字とミー文字 | TrueDepthカメラ 7MP 絞り値 ƒ/2.2 ー 映画レベルのビデオ手ぶれ補正(1080pと720p) ー ー 1080p HDビデオ:30fps |
iPhone 12 miniの作例
iPhone SE2の作例
顔認証・指紋認証・操作方法
どっちを買うか悩ませるポイントの1つが顔認証と指紋認証です。
新型コロナウイルスの感染拡大前であれば迷うことなく顔認証「Face ID」をオススメしていましたが、今はマスクが欠かせない日常が続いていて、いつ不要になるかもわかりません。
マスクを付けた状態ではFace IDが顔を正しく認識できないため、マスクを一時的にずらすか、パスコードの入力画面が表示されるまで数秒待つ必要があります。
画面ロックの解除に加え、PayPayなどのコード決済が普及した今、指紋認証や顔認証は利用機会が多く、1日のなかで何回もストレスを感じることになるため、指紋認証「Touch ID」を採用したiPhone SE2をオススメします。
操作方法の違い
ホームボタンがあるiPhone SE2と、ホームボタンのないiPhone 12 miniは操作方法も大きく違います。
iPhone SE2ではホームボタンを1回押すとホーム画面に戻り、2回押すとアプリを切り替えできるアプリスイッチャーが起動(画面ロック時はApple Payが起動)、2回軽くタップすると簡易アクセス(片手モード)のオン/オフ、長押しでSiriが起動します。
一方、ホームボタンのないiPhone 12 miniでは画面の下部に表示される横長のバー“ホームインジケーター”を上にスワイプするとホーム画面に戻り、上にスワイプして途中で止めるとアプリスイッチャーが起動、下にスワイプすると簡易アクセスのオン/オフ、左右にスワイプするとアプリの前後切り替え、Apple Payを起動するには電源ボタンを2回押します。
iPhone 12 miniの操作方法もすぐに慣れますが、操作方法がカンタンなのはiPhone SE2です。
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | |
---|---|---|
認証方式 | 顔認証「Face ID」 | 第2世代の指紋認証「Touch ID」 |
Apple Pay | ○ | ○ |
FeliCa | ○ | ○ |
ホームボタン | X | ○ |
操作方法 | ジェスチャー | ホームボタン |
電池持ち・バッテリー
本体サイズはiPhone 12 miniの方が小さいですが、バッテリー容量は400mAhも多く、Appleが公表している電池持ちもiPhone SE2より長いと説明されています。
数ヶ月間、利用した体感としては、どちらも日常生活であれば1回の充電で家を出たから帰ってくるまで十分に持つはず。写真や動画を撮影したり、マップで乗り換えを検索する機会が増える旅行などではモバイルバッテリーなしで1日使うことはできません。
電池持ちが長い理由はバッテリー容量に加えて、消費電力の小さい有機ELディスプレイと最新チップセットのおかげでしょう。
バッテリーの充電はどちらもパッケージに付属されているUSB-C – Lightningケーブルと20W以上のApple USB-C 電源アダプタまたはUSB-PD対応の互換性のある電源アダプタを使うことで30分で最大50%まで高速充電が可能。
iPhone 12 miniはマグネットを組み合わせた新しいワイヤレス充電規格「MagSafe」にも対応します。ちなみに、MagSafeによるワイヤレス充電は最大15W出力で充電できますが、「iPhone 12 mini」は最大12Wに制限されます。
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | |
---|---|---|
電池容量 | 2,227mAh | 1,821mAh |
ビデオ再生 | 最大15時間 | 最大13時間 |
ストリーミング再生 | 最大10時間 | 最大8時間 |
オーディオ再生 | 最大50時間 | 最大40時間 |
高速充電 | 30分で最大50%の充電が可能 | |
ワイヤレス充電 | 7.5W | 7.5W |
MagSafe充電 | 12W | X |
同梱物 | USB-C – Lightningケーブル |
5G・パフォーマンス
パフォーマンスは最新のチップセットを搭載する「iPhone 12 mini」が優れています。
最新のA14 Bionicは5nmプロセスで設計されたチップセットでA13 Bionicに比べて処理性能(CPU)と描画性能(GPU)は最大50%、機械学習の処理能力は80%も向上。
また、アプリを複数起動した時やメモリを多く消費するアプリを利用する場合に必要なメモリ/RAMの容量は「iPhone 12 mini」の4GBに対してiPhone SE2は3GBです。
より快適に使えるのはiPhone 12 miniと思いきや両方のiPhoneでPUBG MOBILEやCall of Duty: Mobileをプレイしてみましたが、操作感に大きな違いはありません。どちらも操作がモタつくことなくプレイできました。
パフォーマンスの面で大きな違いはないものの、最新のチップセットを搭載したiPhone 12 miniの方がより長いOSアップデートの提供が期待できます。
アルバム1枚を数十秒でダウンロードできる5G
「iPhone 12 mini」は、超高速通信の5Gにも対応。実際に受信時100Mbps〜400Mbpsを記録することを確認していて動画やApple Musicでのアルバム、プレイリストのダウンロードも超高速で完了します。
ただし、日本では5Gが始まったばかりで利用可能なエリアはごく一部。エリアが拡大するまでは5Gを購入する理由にすることはおすすめしません。
#iPhone12Pro 5G/下り700Mbpsの世界。2時間分のプレイリストを10秒でダウンロード pic.twitter.com/QWxNCD4K0h
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) October 26, 2020
iPhone 12 mini | iPhone SE2 | |
---|---|---|
プロセッサ | A14 Bionic | A13 Bionic |
5G | ○ | X |
オーディオ | 空間オーディオ再生 Dolby Atmos | ステレオ再生 |
防水 | IP68 | IP67 |
目安 | 水深6メートルで最大30分間 | 水深1メートルで最大30分間 |
販売価格・容量
ストレージはiPhone SE2と「iPhone 12 mini」ともに64GB/128GB/256GBの3種類をラインナップします。
ストレージの容量が大きいほどたくさんの写真や動画、アプリを保存できます。SIMフリー版、キャリア版の税込み価格は以下のとおりです。
iPhone 12 miniの販売価格
64GB | 128GB | 256GB | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
端末価格 | 負担金 | 端末価格 | 負担金 | 端末価格 | 負担金 | |
docomo | ¥87,912 | 新:¥58,608 変:¥58,608 の:¥43,952 | ¥95,832 | 新:¥63,888 変:¥63,888 の:¥49,232 | ¥110,088 | 新:¥73,392 変:¥73,392 の:¥58,736 |
au | ¥90,065 | 新:¥37,185 変:¥42,685 の:¥26,185 | ¥95,240 | 新:¥39,600 変:¥45,100 の:¥28,600 | ¥109,305 | 新:¥47,305 変:¥52,805 の:¥36,305 |
SoftBank | ¥96,480 | ¥48,240 | ¥102,960 | ¥51,480 | ¥116,640 | ¥58,320 |
Apple | ¥82,280 | ¥87,780 | ¥99,880 |
iPhone SE2の販売価格
64GB | 128GB | 256GB | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
端末価格 | 負担金 | 端末価格 | 負担金 | 端末価格 | 負担金 | |
docomo | ¥57,024 | 新:¥38,016 変:¥38,016 の:¥23,360 | ¥62,568 | 新:¥41,712 変:¥41,712 の:¥27,056 | ¥75,240 | 新:¥50,160 変:¥50,160 の:¥35,504 |
au | ¥55,270 | ¥28,750 | ¥61,250 | ¥31,970 | ¥75,215 | ¥39,215 |
SoftBank | ¥57,600 | ¥28,800 | ¥64,080 | ¥32,040 | ¥78,480 | ¥39,240 |
Apple | ¥49,280 | ¥54,780 | ¥66,880 |
どっちを買う?iPhone 12 miniとiPhone SE2の選び方
現在、iPhone 12 miniをメインで利用していますが、マスクを付けた状態で使えず、パスコードを入力する必要がある顔認証は思ったよりもストレスになります。
1日のなかで何度も必要な画面ロックの解除に加えて、PayPayなどコード決済アプリやApple Payを利用時に発生するパスコード入力待ちの時間を考えれば快適とは言えません。
一方、カメラはiPhone 12 miniが明らかに優れています。
スマートHDR3やDeepFusionなど最新のコンピュテーショナルフォトグラフィと、景色をダイナミックに撮影できてiPhoneで写真を撮るのが楽しくなる最新のハードウェアを組み合わせた画質はiPhone SE2を遥かに凌駕します。
エリアがスポット化している5Gは現時点でほとんど繋がらないため大きなメリットはありませんが、数年先のことを考えればあった方が良いでしょう。最新のプロセッサも同じです。Appleがチップセットの世代に合わせてOSアップデートを提供することを考えると、iPhone 12 miniはSE2よりも数年長くアップデートが提供されるはずです。
iPhone 12 miniとiPhone SE2の差額は2〜4万円。カメラや5G、長期間のアップデートを妥協できるのであればiPhone SE2を、妥協できるのが指紋認証だけならiPhone 12 miniを選ぶことをオススメします。