違いを比較。AirPods ProとAirPodsは何が変わった?
AirPods10月29日、Appleが新型のフルワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」を発表しました。
既に予約注文が可能。あす10月30日からはApple Storeや家電量販店などで購入できます。この記事ではプロモデルの「AirPods Pro」と通常モデルの「AirPods」の違いを比較・解説します。
目次
- 1. デザインを比較
- 2. 防水性能を比較
- 3. AirPods Proだけの特別な機能
- 3-1. タップよりもカンタンな“つまむ”操作
- 3-2. 高評価のアクティブノイズキャンセリング
- 3-3. 周囲の音が聴ける外部音取り込みモード
- 3-4. 映画館のような3Dサウンド
- 4. 音質を比較
- 5. 電池持ちを比較
- 6. 同梱品を比較
- 7. AirPodsの価格を比較
- 8. まとめ:どっちを買えば良い?AirPodsの選び方
デザインを比較
AirPodsシリーズはスピーカーから縦に伸びた“ステム”が特徴的なデザインを採用しています。
2016年にAirPodsが発表された直後は“耳からうどん”と表現する声も多くありましたが、今ですっかりおなじみのデザインで違和感を覚える人は少ないと思います。
まったく新しいデザインにリニューアルされたAirPods Proは、ステムが短くなったことでよりスタイリッシュなデザインに進化。ステムが短くなったことで人や物に当たって耳から落ちにくくなり、紛失のリスクも減りました。
スピーカーの形状にも違いがあります。
AirPodsは耳に引っ掛けるタイプのインナーイヤー型を採用しているため、ランニングなどの軽い動きで耳から落ちることが多く、耳の形によってはそもそも装着することすらできないこともあります。
対するAirPods Proは耳穴に入れて使うカナル型で、耳の形や大きさに合わせたイヤーチップが選べるため、AirPodsよりも遥かに落ちにくく、ランニングぐらいのワークアウトで耳から落ちることはほとんどありません。重さはAirPods Proの方が軽く、片方で1.4gの違いがあります。
AirPods Pro | AirPods | |
---|---|---|
デザイン | ![]() |
![]() |
イヤホンタイプ | カナル型 短いステム | インナーイヤー型 長いステム |
装着感 | ◯ | △ |
サイズ | 30.9 x 21.8 x 24.0mm | 40.5 x 16.5 x 18.0mm |
重さ | 5.4g | 4g |
カスタムイヤーチップ | S/M/L | X |
カラー | ホワイト | ホワイト |
防水性能を比較
まったく新しいデザインでスポーツ中に使用しても耳から落ちなくなったAirPods Proは耐汗・耐水にも対応しています。注意点は防水ではないこと。ケースは耐汗・耐水ともに非対応です。
耐水性能は9段階中4番目のIPX4で、短距離かつ全方向から10分間水をかけても動作に影響なく使用できますが、耐汗・耐水仕様のイヤホンとしては低めの性能。ワークアウト中の汗や雨には耐えられますが、トレーニングウェアに入れたまま洗濯した場合は水没します。
残念ながらAirPodsの水没は製品保証の対象外です。
もし、水没した場合は交換修理になるため、AirPods Proは片方に付き9,800円、AirPodsは片方に付き7,980円が必要。
水没させてしまいそうという方は3,400円のAppleCare+に加入しましょう。保証期間は2年間で、1年ごとに2回(両方水没してもカウントは1回)まで3,700円を支払うことで交換修理(紛失は対象外)が受けられます。2年経過後は月額で更新することもできます。
価格はすべて税別です。
AirPods Pro | AirPods | ||
---|---|---|---|
耐汗・耐水 | IPX4 | X | |
水没時の交換費用 | AppleCare加入なし | 9,800円(片方) | 7,980円(片方) ※充電ケースのみ6,800円 |
AppleCare加入あり | 3,700円 | 7,980円 |
AirPods Proだけの特別な機能
AirPodsにはない、AirPodsだけが対応する特別な機能を紹介します。ここにAirPods Proを買うべき理由が詰まっているので、ぜひ参考にしてください。
- タップよりもカンタンな“つまむ”操作
- 高評価のアクティブノイズキャンセリング
- 周囲の音が聴ける外部音取り込みモード
- 映画館のような3Dサウンド
タップよりもカンタンな“つまむ”操作
AirPodsはヘッドフォンを2回タップすることで、カバンやポケットからiPhoneを取り出すことなく、Siriの起動/曲の再生・一時停止/次曲へのスキップ/前曲へのスキップといった操作が可能。
AirPods Proでは、ステム部分に新しい感圧センサーを内蔵することでカンタンなつまむ操作であらゆる操作ができます。
例えば、ランニングなどワークアウト中は頭とAirPodsが上下に動くため、正確にタップしづらく思ったように操作できません。AirPods Proの場合はつまむ操作なので、よりカンタンに、より正確な操作が可能です。
AirPods Pro | AirPods | |
---|---|---|
感圧センサー | ○ | X |
1回つまむ/タップ | 曲の再生/一時停止/電話の応答 | 電話の応答 |
2回つまむ/タップ | 次の曲にスキップ | Siri/曲の再生/一時停止/曲のスキップ |
3回つまむ/タップ | 前の曲にスキップ | x |
長押し | アクティブノイズキャンセリング 外部音取り込みモードの切り替え/Siri | x |
高評価のアクティブノイズキャンセリング
AirPods Proの最大の特徴が非常に高く評価されている「アクティブノイズキャンセリング」です。
AirPodsシリーズに初めて搭載されたノイズキャンセリング機能は、内と外のマイクによって外部と耳内部の音を検知・分析後、ノイズを相殺するアンチノイズを作り出して耳に届く前にノイズを消し去るというもの。
ステムを長くつまむとノイズキャンセリングがオンになり、耳の中に作り出された無音に近い空間でお気に入りの音楽を楽しめます。もちろん通話時に利用すれば周囲が騒がしいときも集中して会話できます。
周囲の音が聴ける外部音取り込みモード
周囲の音が遮断されるカナル型のイヤホンやノイズキャンセリングが苦手という人もいると思いますが、AirPods Proは「外部音取り込み」モードで苦手な人もしっかりとサポートします。
例えば、屋外でランニングしている時は自転車や車の音を遮断したくないはず。電車に乗っている時は乗り換えを間違えないように車内アナウンスを聞いていたいという人もいるでしょう。
そんな時にAirPods Proのステムを長くつまむと、ノイズキャンセリングをオフにしたり、外部音取り込みモードに切り替えてちょうど良いノイズキャンセリングを効かしつつ自分の声や周囲の音を聞くことができます。
映画館のような3Dサウンド
自分に向かって音が飛んでくるような映画館さながらの音楽体験が味わえる「空間オーディオ」に対応してるのもAirPods Proだけです。
通常、映画館のような立体的な音を実現するには複数のスピーカーを並べる必要がありますが、AirPods Proは左右のスピーカーだけで前後左右、そして上から音に包み込まれているような臨場感のあるオーディオを再現。
例えば、バーでBGMがかかっているシーンでは会話の声と店内で鳴っているBGMが違う方向から聞こえてきたり、森のなかでは包み込むように鳥のさえずりが鳴ります。
さらに、AirPods ProはiPhone/iPadの位置と顔の向きを認識して音の聞こえる方向をコントロールする「ダイナミックヘッドトラッキング」に対応しています。
通常のイヤホンでは頭を横に向けると当然ながらスピーカーも付いてくるので音に変化は起きません。常に耳の横で音が鳴っているだけです。ただ、ダイナミックヘッドトラッキングに対応したAirPods Proの場合は頭を横に向けても仮想的に配置されたスピーカーは固定されたままなので、左から音が聞こえた時に顔を左に向けると顔に向かって音が聞こえてきます。


残念ながら空間オーディオに対応しているのはApple TV+だけです。北米ではHuluやDisney+などが対応していますが、いずれも日本版のサービスでは利用できません。Netflixが2021年4月に対応するとの噂もあるので期待して待ちましょう。
音質を比較
AirPodsを使う場所はどこでしょうか。ほとんどの人が自宅など静かな場所よりも通勤や通学の電車内、カフェなど周囲が騒がしい場所で使うことが多いはず。
そこで重要になってくるのが周囲の騒音をカットするノイズキャンセリングです。どれだけイヤホンの音質が優れていても隣で大きな声で会話されていたら意味がありません。
カナル型を採用したAirPods Proは耳の中を密閉することで雑音をシャットアウト。とても高く評価されているアクティブノイズキャンセリングがセットになると低〜高音域までのノイズが見事にカットされます。
雑音を打ち消すためのアンチノイズは毎秒200回作り出されるため、室内だけでなく突発的なノイズが連続で発生する屋外でも高い効果を発揮するので、例えば車やバイク、電車の走行音、オフィスでは空調音やキーボードのタイピング音がAirPods Proを装着した瞬間からスッと抑えられて作業に集中できます。
もしかするとカナル型特有の耳の中の密閉感が得意じゃない人もいるかもしれませんが、AirPods Proには耳内部の圧力が高くならないよう搭載された革新的な通気システムによって密閉感が最小限に抑えられているので長時間の使用も不快ではありません。
優れたサポート機能はノイズキャンセリングだけではなく、耳の中で響く音を解析しながらユーザーの耳の形に合わせて低音域と中音域を自動調整するアダプティブイコライゼーションに対応。人によって異なる耳の形に左右されずいつでも同じサウンドが楽しめます。
肝心の音質は、AirPodsでは再現できない低音域もAirPods Proのゆがみの少ないスピーカードライバなら再現可能。専用のハイダイナミックレンジアンプによって中〜高音域もクリアなサウンドも楽しめるので音質で選ぶなら比べる必要すらなくAirPods Pro一択でしょう。
AirPods Pro | AirPods | |
---|---|---|
アクティブノイズキャンセリング | ○ | X |
外部音取り込みモード | ○ | X |
アダプティブイコライゼーション | ○ | X |
ハイダイナミックレンジアンプ | ○ | X |
快適な通気システム | ○ | X |
電池持ちを比較
“Pro”を名乗っているAirPodsとして電池持ちは重要ですが、両モデルに違いはなく最大5時間の音楽再生と最大3時間30分の音声通話が可能です。
付属の充電ケースと併用することで、電池持ちは24時間以上(音声通話で18時間以上)になるほか、わずか5分の充電で1時間の音楽再生と音声通話が可能。
AirPods Proでアクティブノイズキャンセリングモードを使用する場合は最大4時間30分まで短くなります。
AirPods Pro | AirPods | ||
---|---|---|---|
連続再生時間 | 最大5時間 ※ノイズキャンセリング時: 最大4.5時間 | 最大5時間 | |
連続通話 | 最大3.5時間 | ||
充電ケース | 再生時間 | 24時間以上 | |
連続通話 | 18時間以上 | ||
充電 | 5分間の充電で約1時間の再生または連続通話 | 15分間の充電で最大3時間の再生 または最大2時間の連続通話 |
同梱品
同梱品にも違いあります。
AirPods Proには、ワイヤレス充電ケースや耳の形・大きさに合わせて選べる3種類のイヤーチップ、ケースを充電するためのLightning – USB-Cケーブルが同梱されています。
通常のAirPodsは、有線充電のみ対応している充電ケースとワイヤレス充電ケースを選ぶことが可能。どちらにもLightning – USB-Aケーブルが同梱されています。
注意が必要なのはAirPods Proです。おそらく多くの人の家に転がってるの充電器は下の写真の左側にあるUSB-Aタイプだと思いますが、付属品のケーブルでAirPods Proを充電するには右側のUSB-Cタイプの充電器が必要です。
AirPods Pro | AirPods | |
---|---|---|
ワイヤレス充電ケース | ○ | ○ |
有線充電ケース | X | ○ |
シリコン製イヤーチップ | S/M/L | X |
充電ケーブル | Lightning – USB-C | Lightning – USB-A |
AirPodsの価格を比較
AirPodsは、有線充電のみ可能な充電ケースとワイヤレス充電ケースの2種類が選べるのに対して、AirPods Proは、ワイヤレス充電ケースセットのみ用意されています。
販売価格は、AirPodsの充電ケースセットが19,580円、AirPodsのワイヤレス充電ケースセットが25,080円。AirPods Proが30,580円で最大の差額は-11,000円です。
まとめ:どっちを買えば良い?AirPodsの選び方
AirPodsとAirPods Proの差額は5,500円〜11,000円です。AirPods Proにそれだけの価値があるのか、それともないのか、その判断が購入の決め手になります。
結果から言えばほぼすべての人にAirPods Proの購入をおすすめします。理由を説明しましょう。
AirPods Proだけが対応する機能のなかでも雑音を消して音楽や作業に集中できるアクティブノイズキャンセリングと、乗り過ごしや安全のために車内アナウンスや車や自転車など周囲の音を聴ける外部音取り込みモードは強力で、1度でも使ったら“Proを選んでおいてよかった!”と思える機能です。これだけで差額分を出す理由になります。
より音楽が楽しめるのもAirPods Proです。通常のAirPodsは耐水・耐汗に対応しておらず、耳から落ちやすいため身体を動かしている時に使うことはできません。カナル型を採用したAirPods Proは耳から落ちにくく、ランニングなどワークアウトでも使えるので音楽を楽しめる場面が1つ増えます。
ステムに内蔵された感圧センサーによって身体を動かしているときやカバンやポケットからiPhoneを取り出すのが面倒な時でも“つまみ一発”でノイズキャンセリングをオフにしたり、音楽をコントロールできるなど使いやすさも優れています。
個人的にAirPodsを選ぶ理由は安さだけだと思っているので、余裕がある場合はAirPods Proを選択しましょう。