「iPhone X」が発売されてから多くの人が顔認証「Face ID」を欺こうとチャレンジしている。ほとんどが失敗に終わっているが、持ち主協力の元、3Dマスクを制作して顔認証を突破した例も報告されている。
ところが手の込んだ3Dマスクも作らず、認証を突破するのに時間もかからず、本人の協力も必要とせずカンタンに顔認証を突破できたとの報告があがってる。
わずか5秒で顔認証を突破
この40秒の動画には10歳の子どもがいともカンタンに母親が所有する「iPhone X」の画面ロックを顔認証で突破する様子が収められている。子どもは一発で認証を突破し、わずか5秒でホーム画面にアクセスしている。
3Dマスクを作って顔認証を突破したといった報告は「iPhone X」を何らかの形で入手する必要があるため、自分が顔の割れている有名人であっても気にする必要はないだろう。日本における双生児の出産割合が2%程度であることを考えれば、双子が顔認証を突破したという報告もほとんどの人が当てはまらない。双子であれ兄弟姉妹のiPhoneを手に取る機会もそんなに多くはないはずだ。
ただし、子どもが顔認証を突破するといった今回の報告は多くの人が気にしなければいけない。子どもがゲームをするために親のiPhoneを使い、少しでも有利にゲームを進めるために課金するといったケースは容易に想像できる。
「Face ID」の学習機能
「Face ID」には持ち主が長い髪を切ったり、ヒゲを剃ったり、化粧の変化など見た目が変わったことも検知できるように学習機能が備わっている。顔認証に失敗したあとに求められるパスコードを入力すると、iPhone内に保存している顔データが更新されるというものだ。
この親子がFace IDの学習機能を利用した可能性はある。子どもがiPhoneを手に取った瞬間にFace IDが動作して認証に失敗、母親にパスコードの入力を求めて画面ロックを解除すればその時点で顔データが更新されて子どもの顔でも認証を突破できてしまう。
WIREDのインタビューに対して母親は学習機能の利用を否定しているが、母親の顔を再登録した直後に子どもの顔で顔認証したところ画面ロックを突破できなかったようだ。前述したとおり、Face IDの学習機能は自然な流れで作動するため、母親が気づかないうちに学習機能が働いた可能性はある。
アップデートで認証制度の改善に期待
原因はFace IDの学習機能にあった、と言いたいところだが問題はこれでは終わらなかった。最初にFace IDのセットアップを行った時と同じ条件で顔の登録を行い、再び子どもの顔で認証を試みると「iPhone X」の画面ロックが解除されたとWIREDは伝えている。
結局、子どもが顔認証を突破した要因は特定することはできない。学習機能や13歳以下の顔で認証する場合は精度に狂いが生じることなど多くの要素が絡んでいるのかもしれない。
遺伝子が影響しない指紋を使った従来の「Touch ID」は、寝ている時に認証を突破されたり、採取した指紋を使って認証を突破されてしまう問題があったのに対して、遺伝子が影響する顔を使った新しい「Face ID」には近親者によって認証を突破されてしまう問題が存在する。「Face ID」と言えど完全無欠の認証システムではないことを理解しなければいけない。
ただ、「Face ID」はまだスタートしたばかり。今後のソフトウェア・アップデートで認証精度は改善されていくはずだ。近親者でも見分けられるように顔の登録回数を現在の2回から増やしたり、誤った学習機能が働かないよう調整されることを期待したい。
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