携帯電話事業者の保有する回線をレンタルして格安スマホ/格安SIMサービスを展開するMVNOへの「速度差別」を総務省が禁止すると日本経済新聞が報じた。
キャリアは「速度差別」やサブブランドの優遇について存在を否定している。
不当な差別的扱いを約款で禁止
日本経済新聞によると、MVNOは大手がサブブランドやグループ会社の速度を優遇「速度差別」をしているのでないかとの疑念が強く、総務省は10月にも関係省令を改正することで事業者が公平に競争し、消費者が不利益を被らないようにすると報じた。
具体的には通信速度などを不当な差別的扱いを行わないことを約款に記載するようキャリアに求めるというもの。改正から3ヶ月後以内に対応する必要があるため、最短で2019年1月から実効性を持つことになる。
日本経済新聞は速度差別にフォーカスしているが、昨年から今年にかけて開催された「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」で速度差別は存在しないことが明らかになっている。
サブブランドは数倍のコストをかけて高い通信速度を実現
そもそも「速度差別」は存在しているのだろうか。
確かにキャリアのサブブランドであるワイモバイルやUQ mobileは通信速度が圧倒的に早く、1日のなかで最も混雑し速度が低下する正午〜13時のランチタイムでもある程度安定したスピードを実現し、KDDIが買収したBIGLOBEモバイルや今年7月にソフトバンクの連結子会社になったLINEモバイルもソフトバンク回線については高い通信速度を記録している。
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「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」では、MVNOから“同じ料金体系でも同等の通信速度を実現できない”としてキャリアがサブブランドを優遇しているのではないかとの指摘があがったが、KDDIは優遇を否定。MVNOが借り入れている帯域幅が違うだけと反論。UQも優遇を否定し、通信速度に見合ったコストをかけていると説明した。
UQ mobileは数倍のコストをかけて高速化
検討会ではユーザー1人あたりにどれぐらいの帯域幅を契約しているのか(帯域幅が大きければ通信速度が速く・安定する。一方、コストが増えて利益が下がる)比較したところ、UQ mobileが他のMVNOに比べて数倍(具体的な数値は非公表)の帯域幅を契約していることが明らかになった。
KDDIが他社と同じ料金で帯域を提供していることからUQはより多くのコストをかけて高い通信速度を実現していることになる。つまり、速度差別などは存在しないのだ。
禁止するのは「テザリング」差別か
約款で禁止する“不当な差別的扱い”には「テザリング」なども含まれるのではないだろうか。現在、UQ mobileを除き、au回線を提供する格安スマホ/SIMサービスではiPhone/iPadのテザリング機能は利用できず差別的現象が起きている。
「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でもテザリング差別について問題視され、今年10月末からようやくmineoのau回線のプランでiPhoneのテザリングが可能になるなど解消に向かいつつある。同様の差別を禁止するのが主な趣旨ではないだろうか。