これまでスマートフォンなどの通信回線では利用できなかった「クーリングオフ制度」について、国会で議論され、契約から8日以内であれば無料で解約できるようにする電気通信事業法の改正案が閣議決定されました。
無料での解約対象は通信回線のみ。スマホは対象外
スマートフォンの契約については、料金体系が複雑であることや通信速度など各社の公表値はベストエフォートであり、実際の利用結果とは大きく異なることで苦情やトラブルが増えており、クーリングオフ制度の導入が適当と判断されていました。
読売新聞の報道によると、スマートフォンの解約は8日以内であれば、通信回線を無条件で解約できるよう閣議決定されたとのこと。
政府は3日、スマートフォンなどの通信回線について、契約から8日間以内であれば無料で解約できるようにすることなどを盛り込んだ電気通信事業法などの改正案を閣議決定した。
引用元:8日以内なら無料でスマホ解約可能に、ただし… : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
しかし、解約が可能なのは通信回線のみで、契約の際に購入した端末については対象外になるとのこと。
現在、ドコモやau、ソフトバンクといったキャリアが発売するスマートフォンには、SIMロックがかかっているため、契約したキャリア以外の通信回線ではスマートフォンを利用することができません(一部例外あり)
手元に残ったスマートフォンが使えないのであれば意味がないと思ってしまいますが、2015年5月以降に発売されるスマートフォンは、SIMロック解除が義務化されます。
これによって、消費者が希望すれば契約したキャリア以外の通信回線でスマートフォンを利用することも可能になるため、購入した端末が全く無駄になるということはありません。
となると、端末だけの購入を目的とした契約と解約が増えそうですが、その場合はブラックリストに掲載されて契約が不可になるなどの対応が行われるのでしょうか。
無料での解約対象は通信回線のみ。スマホは対象外
同じくスマートフォンの解約に関しては、2年契約が終了する1ヶ月前――いわゆる「更新月」のみ、約1万円の違約金を支払わずに解約することができますが、更新月に解約しない場合は、自動的に2年契約が更新されて、それに利用者が気づきにくくトラブルになるという問題があります。
更新月の問題については、総務省からキャリアに対して改善するよう伝えているほか(IIJmio meeting 6より)、日本弁護士連合会は、2015年2月に総務大臣や消費者庁長官、内閣府特命担当大臣に対して「電気通信事業法改正に関する意見書」を提出しており、その意見書内で更新月を現在の1ヶ月から延長するべきとしており、さらに、今月が更新月であることを知らせるプッシュ通知の導入を求めるなど、問題解消に向けて動きがあるようです。
今回、閣議決定されたスマートフォンのクーリングオフ制度に加えて、「更新月」の動きについても注目したいところです。