![物価高でスマホの料金、値上げの可能性は?携帯各社が値上げに踏み切れないジレンマ](https://mobilelaby.com/wp/wp-content/uploads/ahamo-2-5million.jpg.pagespeed.ce.rjgG-K4QAS.jpg)
今期の決算発表で、携帯各社が物価高の影響について言及しました。
電気代など様々なコストの上昇を理由に、各社とも適切な料金改定または料金体系の見直しが必要としながらも、競争が激しい携帯業界において値上げに踏み切るのは難しいとのジレンマに直面しているようです。
電気代は100億円単位で上昇。でも単独で値上げはできない
ソフトバンクの宮川社長は、携帯電話事業のなかで最も大きなコストである電気代が、ここ数年で右肩上がりに増えており、その規模は100億円単位とのこと。
コストの上昇は、さまざまな工夫で吸収しているものの限界があると述べます。また、従業員の給与アップや、取引先の従業員まで考えれば、業界全体を支える必要があるとし、健全な形で物価の上昇に合わせた適切な料金改定をどこかでやらなければいけないとの考えを示しています。
それでも好調な業績と競争上のリスクが高いことから、値上げには慎重なようです、、、ただ、その一方で、現在の携帯業界は健全ではなく、世界で一番強かった通信が今やただ安いだけの国になっていると嘆き、将来的な不安も語っています。
4社の中で1社だけが先に動くのは相当勇気がいる。ソフトバンクだけが増収増益となると「なぜ値上げに踏み切るのか」という話になってしまうので、今は動くつもりはありません。
中長期的には、通信業界を健全な形に戻さないといけない。世界で一番強かった通信が、ただ安いだけの国になってしまった。開発力が落ちてしまうことを本当に危惧していて、どこかで声を上げるつもりです。
単純な値上げは難しい、料金体系の見直しで対応
「日本の携帯料金は海外と比べて高すぎるのではないか。4割程度下げる余地がある」
携帯料金の値下げは、当時の官房長官であった菅義偉氏が2018年に発したこの言葉から始まったように思います。
その後の総裁選では、料金の値下げが実現しない場合は、携帯各社が支払う電波料の見直しをやらざるを得ないと発言。総裁選を勝ち抜いて首相になると、携帯各社に値下げを迫ります。
ソフトバンクとKDDIがサブブランドの値下げで対応したところ、総務省はメインブランドの値下げを求め、ドコモが新プランとして「ahamo」を発表。これが価格競争の引き金になりました。
![ahamo](https://mobilelaby.com/wp/wp-content/uploads/ahamo-2-5million.jpg.pagespeed.ce.rjgG-K4QAS.jpg)
ドコモの親会社であるNTTの島田社長は、物価高による携帯料金の見直しについて「携帯業界は競争が激しく、単純な値上げは難しい」としつつ、工夫しながら料金体系を見直しする必要性を述べています。
つまり、既存プランの値上げは考えていないものの、新プランの投入によって収益を向上させていくのかもしれません。
また、KDDIの高橋会長は、先進国の中で日本の携帯料金が安いと評価されており、米国の半分以下とも言われていると述べる一方で、コストが上昇していることから、適正な価格転嫁が求められる状況にあるとし、価値あるサービスを提供し、価値に伴う対価を得ることが重要とします。
携帯料金の値上げはまだだが、、、今が良いタイミングかもしれない
各社の発言からわかるのは、コスト増には耐えられなくなってきているが、競争環境や消費者の反応を考えると、簡単には値上げできないというジレンマです。
日本政府は携帯料金の引き下げを推進してきた経緯もあって、簡単に値上げできる状況ではありません。
ただし、現在の石破首相は2020年の総裁選時に「良いサービスを適正な価格で提供することが重要で問題はサービスの品質、値下げ後も良い品質でサービスを提供できるのか、良いサービスを適正な価格で売っていかないと経済は縮小していく」と発言していたことを考えると、意外と値上げのタイミングは今のかもしれません。