2026/08/20 15:27

Google Pixel 11 Pro レビュー快適に使う「進化」から、使わないための「新化」へ

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Y.Sakakura

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これまでスマホは、高性能なチップセットや大容量メモリを搭載して、操作をより速く、快適にする方向へ進化してきました。

一方で、Pixel 11 Proを約1週間使って感じたのは、スマホに向き合う時間や機会そのものを減らすような進化を目指していることです。

スマホから距離を取るために、使用時間が増えたら警告したり、制限をかけたりして我慢させるのではありません。Googleが目指しているのは、そもそもスマホを使わなくても済む場面を増やすことです。

そもそもスマホに触れなくても済む時間を増やしていく——Pixel 11 Proは、そんな新しい方向へ進化しています。

Gemini Intelligence:AIにまかせて、スマホを触る機会を減らす

Gemini Intelligence

スマホを使わなくても済む場面を増やす。その中心的な役割を担うのが「Gemini Intelligence」です。

Gemini Intelligenceは、今の状況を理解して必要な情報や次の操作を先回りして提案し、その先の作業までAIに任せられるようにする仕組みです。

全モデル「with Gemini Intelligence」を掲げるPixel 11シリーズでは、スマホを開いて目的のモノを 探して、比較して、予約するといった一連の操作をAIにまかせることで、うまくいけばスマホを操作する機会そのものが減っていくはずです。

先回りアシスト:必要な情報や操作を先読みして提案

Gemini Intelligenceは多数のAI機能で構成されています。

そのひとつが「先回りアシスト」です。昨年のPixel 10シリーズにマジックサジェストとして搭載されましたが、Gemini Intelligenceとして、Androidユーザーに広く提供されることになります。

設定画面からオンにすると、メッセージの内容やユーザーの状況を理解して、必要な情報や次の操作を先回りして提案します。

例えば、友人とランチの約束をしていて、レストランについて会話していると予約を提案。旅行先やホテルのリンクを送り合っていれば、比較の手伝いを提案するといった具合です。

先回りアシスト
先回りアシスト
先回りアシスト
先回りアシスト

ただ、日本では新機能が順次提供となることもあって、発売時点ではカレンダーへの登録やマップの表示、共有する写真の提案など、マジックサジェストから大きく変わった印象はありません。見た目の変化も表示されるカードがリッチになったぐらいです。

Automation:提案だけでなく、アプリ操作までAIにまかせる

Gemini Intelligenceの本命は、提案より先にある「Automation」です。

先回りアシストが「次に何をすべきか」を提案する機能なのに対して、AutomationはAIが実際のアプリ操作まで代行します。

タクシーを呼ぶ。利用するアプリを指定してホテルを探す。そのまま予約まで進める。これまで人間が何度もタップやスワイプしていた一連の操作を、AIにまとめて任せられるようになります。

Automationは40以上のアプリやサービスに対応し、チケット検索やレストラン探し、予約も行えます。

Automation自体はGemini Intelligenceの機能としてすでに発表され、Google Pixelにも展開される予定です。

SamsungがGalaxy Z Fold8の国内発表時に、9月末の日本語対応を案内していたことを考えると、Pixelでもそれほど遠くないタイミングで使えるようになるかもしれません。

AI音声入力:自然に話すだけで読みやすい文章に

Gemini Intelligenceには期待していますが、発売直後から日本で利用できる機能は多くありません。そうしたなかで特に便利だと感じたのが「AI音声入力」です。

Gboardに表示されるマイクアイコンから使える。部分選択してAI修正も可能
Gboardに表示されるマイクアイコンから使える。部分選択してAI修正も可能

これまでの音声入力は話した言葉を正確に文字にするだけでした。

Pixel 11シリーズの音声入力は、AIが後から書き直してくれるため、一言一句を完璧に話そうとする必要はなし。

自然な会話に含まれる「えー」や「あー」といったフィラーもAIが自然にカットしてくれます。

言い間違えたときも「やっぱり今のなし」と普段通りに話すだけで、AIが意図を汲み取り、高速かつ正確に読みやすい文章へと整えてくれます。

このAI音声入力の原稿も声に出して作ったものです。最後に「この文章をブログの記事風にして」と伝えて、筆者が下書きに修正を加えています。

「AI音声入力」直後
「この文章をブログの記事風にして」と伝えたあと
左がAI音声入力直後、右が「ブログの記事風にして」と伝えた後

性能:Google Tensor G6の実力は?

Pixel 11シリーズの4機種には、Gemini Intelligenceに対応する最新のTensor G6が搭載されています。

Google Tensor G6の強化ポイント
  • CPUの強化でウェブブラウジングは最大25%、アプリの起動も15%高速化
  • メモリ帯域幅を拡大。TPUの演算性能を50%向上
  • 電力効率を最大20%向上
  • 最新のGemini Nanoモデルと組み合わせることで、AI処理は最大3.5倍高速。消費電力は最大3.5分の1に

気になるのは、やはり性能がどれだけ進化したかです。

フェアに比較するため、Pixel 10シリーズも最新版のAnTuTuで計測し直したところ、GPUスコアが以前の結果から大幅に低下しました。

その結果、Pixel 11はGPUスコアがPixel 10からほぼ倍増。Pixel 11 ProもPixel 10 Proから大幅に向上しています。

ただ、同じ端末でもこれだけ数字が変わるのであれば、性能を判断する材料としては参考にしづらいところ。昨年も発売直後には違和感のあるスコアが出ていたため、ベンチマークの比較は評価が落ち着いてからの方が良さそうです。

なお、Geekbenchや3DMarkといった他のベンチマークアプリはまだGoogle Playストアからダウンロードできず、計測できたのはAnTuTuのみです。

機種名 AnTuTuベンチマーク
Pixel 11
  • AnTuTu
    • トータルスコア : 1210409
    • CPU : 380128
    • GPU : 343377
    • メモリ : 198027
    • UX : 288876
Pixel 10
  • AnTuTu
    • トータルスコア : 1034972
    • CPU : 405432
    • GPU : 175164
    • メモリ : 192922
    • UX : 258369
Pixel 11 Pro
  • AnTuTu
    • トータルスコア : 1373884
    • CPU : 482122
    • GPU : 294296
    • メモリ : 280160
    • UX : 316696
Pixel 10 Pro
  • AnTuTu
    • トータルスコア : 1002552
    • CPU : 330857
    • GPU : 176753
    • メモリ : 232068
    • UX : 262873

いつもレビューで書いているように、スコアはあくまでも数字です。上がっても下がっても、そのまま体感に結びつくとは限りません。

数字で優劣をつけるのは簡単ですが、レビューで重要なのは実際に使ってどうだったかです。数値とのギャップに不安を感じても、最後は自分の体感を信じて伝える必要があります。

ということで、実際の体感はどうだったのか。

端末を受け取ってからレビューを投稿するまでの約1週間、期間が長いとは言えませんが、新しいカメラ機能を試し、写真や動画を大量に撮影。開封動画も編集しましたが、性能不足によるストレスを感じることはありませんでした。

一方で、ウェブブラウジングとアプリ起動の高速化は、特にアプリを開いたときに違いを感じます。それでも15%という数字ほど大きな改善ではなく、ワンクッション早くなったと感じる程度です。

また、GPUにPowerVRを搭載していることからサポート対象外とされた(Googleは否定)「原神」については、ピンクスクリーンが表示されてプレイできない状況でした。

カメラ:画質だけでなく、撮影体験も進化

Pixel 11 Proのカメラは、広角と望遠のセンサーを大型化して画質を高めながら、マジックキャプチャや最大120倍の超解像ズーム Proなど、撮影体験も進化しています。

作例は以下のとおりです。

マジックキャプチャ:撮影はAIにまかせて、その瞬間を楽しむ

カメラの目玉機能は、動画・写真に次ぐ3つ目の撮影モードとして追加された「マジックキャプチャ」です。

カメラの性能が上がるほど、綺麗な写真を残そうとして、目の前で起きていることよりもファインダーに意識が向きがちです。

そこでGoogleが用意したのが、撮影をAIに任せることで、大切な瞬間を肉眼で見て、記憶に残すことに集中できる新機能です。

動画と写真を同時に記録できる「マジックキャプチャ」
動画と写真を同時に記録できる「マジックキャプチャ」

マジックキャプチャを選んでシャッターボタンを押すと動画撮影がスタート。あとは最大2分間カメラを構えておくだけで、動画を記録しながらAIがベストショットを写真として残し、必要に応じて補正も加えてくれます。

実際に水族館でイルカショーを撮影してみました。

ただ、水面から飛び出したイルカが最高到達点にいるような決定的な瞬間は残せませんでした。イルカは人間が撮影しても、どこから飛び出してくるのか予測しづらいため、マジックキャプチャにとってもかなり難しい被写体だったのかもしれません。

悪くはないがイルカが跳んでない
悪くはないがイルカが跳んでない

もうひとつ気になったのが、目の前の出来事に集中する難しさです。

カメラを構えていると、どうしても画面を見てしまいます。画面を見ないように少し下げても、画角は合っているか、ちゃんと撮れているかが気になってしまい、完全に目の前の出来事だけに集中するのは難しいと感じました。

そう考えると、机や台に置いたまま撮影しやすい折りたたみスマホのPixel 11 Pro Foldとは、かなり相性が良い機能かもしれません。

超解像ズーム Pro:狙いやすさも進化

Proモデルは最新の画像処理モデルの組み合わせによって、超解像ズーム Proが最大100倍から120倍に引き上げられ、空に浮かび上がる満月にもグッと寄れるようになりました。

超解像ズーム Proの課題は狙った被写体を画角に収めるのに苦労することです。

FPSのエイムのような正確さが求められますが、今年は手ぶれ補正が向上した影響か、よりスムーズに撮影できるようになっていました。

Pixel 11 Proの超解像ズームPro
Pixel 11 Proの120倍超解像ズームPro
Pixel 10 Proの100倍超解像ズームPro
Pixel 11 Pro(中)はディテールも大きく向上している

HiLight:画面を見ずに、大切な通知だけ受け取る

カメラバーからほとんど使い道のなかった温度センサーが消えた代わりに、カラーLEDの「HiLight」が追加されました。

HiLightも、スマホから距離を取るという方向性を象徴する機能です。

スマホを伏せておくと、友人や家族など指定した相手から着信があったときにカラーLEDが点灯。画面を見なくても大切な連絡だけに気づけます。

発売時点では、指定した相手からの着信とGeminiに対応し、今後はテキストメッセージにも対応する予定です。

HiLight

対応する機能が少ないのは物足りなく感じますが、Google Pixel プロダクト マネジメント シニアディレクターのピーター・プルナスキー氏によれば、技術的にできることは多くあるものの、まずは高い完成度で提供することを重視したとのこと。

また、HiLightが常に点灯し続けるような機能にはしたくないと説明しています。

その理由のひとつが、日常生活における不要な通知や気の散りを減らすことにあります。

機能を増やしてHiLightが頻繁に光れば、結局はスマホが気になって手に取る機会も増えてしまいます。消費電力やシステム全体のパフォーマンスも考慮しながら、本当に必要なときだけ光る体験とのバランスを取っていくそうです。

実際に使ってみると、着信より便利だったのがGeminiとの組み合わせでした。

出かける前にPixelを机に置いたまま、「OK Google、今日の天気とおすすめの服装を教えて。マフラーや上着はいる?」とクローゼットの前から話しかけることがよくあります。

これまではGeminiが反応しているのか、回答に時間がかかっているのかわからず、スマホを取りに行って画面を確認することがありました。HiLightなら遠くからでもGeminiの状態を確認できます。

ちなみに、AIと連続的な会話ができる「Gemini Live」を起動してから画面を伏せてもHiLightは機能します。

HiLightが動作するのは画面を伏せているときだけです。クリアケースを装着した状態でも問題なく反応し、柔らかいクッションの上に置いても動作しました。

端末の傾きなども見ながら伏せた状態を判定しているようで、判定は割とゆるめです。

Tensor G6:発熱問題は過去の話、電力効率も向上

電池持ちと発熱問題は過去の話

かつてのGoogle Tensorは、発熱と電池持ちに課題を抱えていましたが、Tensor G4ではモデムの刷新とProモデルに搭載されたベイパーチャンバーによって発熱が大きく改善。電池持ちも安定し、ヘビーに使っても1日持つようになりました。

昨年のTensor G5では、チップの製造がTSMCに移行。電力効率に優れた3nmプロセスを初採用しました。Pixel 10 Proでは、動画を長時間撮影しても途中で落ちることなく撮影できるなど、発熱はほとんど気にならないレベルまで改善しています。

Google Tensorにとって、発熱と電池持ちはもはや大きな弱点ではありません。今年のTensor G6では、そこからさらに電力効率を最大20%向上しています。

Pixel 11 Proの電池持ちはまだ十分な検証ができていません。今後、使い込んだ上で改めて追記する予定です。

参考までに、同じTensor G6を搭載し、画面サイズやバッテリー容量も近いPixel 11では電池持ちは優秀でした。

午前中から取材に使い、Google マップで経路を検索。会場ではレコーダーのリアルタイム文字起こしを使いながら録音し、取材後はAI音声入力で内容を整理しました。

午後からはカメラとバッテリーのテストを兼ねて約13,000歩を移動し、写真や動画も約300枚撮影。それでも23時の時点でバッテリー残量は13%で、充電することなく1日を終えました。

まとめ:まだ完成形ではない。Pixel 11 Proはこれから

まとめ:完成形ではない、この先こそが

Pixel 11 Proは、スマホに触れなくても済む時間や機会を増やしていく、新しい方向へ進化しています。ただし、発売直後の時点ではまだ途中段階です。

中心となるGemini Intelligenceの機能は段階的に提供されているためです。

先回りアシストやAI音声入力のように、今すぐ便利に使える機能がある一方で、HiLightは対応する機能がまだ少なく、様子を見ながら広げているような状態です。マジックキャプチャも発想は面白いものの、現時点では購入の決め手になるほど完成度が高いとは感じませんでした。

最大の目玉であるAutomationも、まだ利用できません。

Automationが使えるようになれば、これまで自分でスマホを開いて、探して、比較して、予約していた一連の操作までAIに任せられるようになります。Pixel 11 Proは、Gemini Intelligenceの機能がそろうにつれて、評価も変わってくるはずです。

「じゃあ、そのときに買えば良くない?」

そう考える人もいるはず。ただ、過去にないほどメモリが急騰し、スマホの価格は今後も値上がりが予想されています。欲しい機能がそろうまで買い替えを待てば、次に同じクラスのスマホを選ぶときには、支払う金額が数万円単位で変わっている

機能がそろうのを待つことはできても、価格が待ってくれるとは限りません。HiLightや120倍ズームなど、Proならではの機能に魅力を感じ、スマホの買い替えを考えているなら、お得な割引やキャンペーンが実施されている今は良いタイミングだと思います。

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