iPhone 18 Pro レビュー/変える絞り、変わる撮り方
Proモデルが登場してから毎年買い替えてきたけど、今年は買い替えるのをやめようと思った。
理由はもちろん価格。今年はメモリの高騰と円安のダブルパンチでスマホは軒並み値上げ。Appleは最後まで粘っていたけど、夏と秋に連続値上げして、iPhone 18 Proは20万円を超えてきた。
本命は10月発売のiPhone Duo。36万円と21万円のスマホを2台も買うなんて正気の沙汰じゃない。
iPhone 17 Proをもう1年使うことも検討した。不満はほぼなかったし、この仕事をしていなかったら間違いなく買い替えることはなかった。
ただ、36万円のiPhone Duoを買うためには、iPhone 17 Proを下取りに出して手放す必要がある。ただ、望遠カメラは手放せない。そこで、iPhone 16 Proを下取りに出して10万円ちょっとで買い替えることにした。
これならiPhone Duo1台ぶんでiPhone 18 Proと両方を手にすることができる。
結論から言えば、昨年のような驚きはなく、ほとんどの人はiPhone 17 Proで十分。18 Proを選ぶのはごく一部でいい。
カラー:待望のブラックが1年遅れで登場
不満がほぼないと言ったが、iPhone 17 Proのカラーは悩みだった。
正直欲しいカラーはひとつもなかった。どれを選んでも妥協することになるため、振り切ってコズミックオレンジを選択したが、1年使ってもしっくりこなかった。
スマホはできるだけ軽く、コンパクトに使いたいからケースはしない。何もつけない派にとってコズミックオレンジは主張が強すぎた。ひと目でiPhone 17 Proだとわかってしまうため、ポケットから取り出すのをためらうこともしばしばある。
特に困ったのは、新型スマホの発表会や撮影で、真っ暗なディスプレイやガラス面にiPhone 17 Proのコズミックオレンジがくっきりと映り込んでしまうことだ。
黒いロック画面に撮影している自分のスマホが異常なほど目立つ。AndroidスマホのディスプレイにiPhoneのカメラレンズやオレンジの筐体が映り込むと、一気に現実へ引き戻されるというか、なんとなく冷めてしまう。
一瞬、グレイシャーと迷ったけど、今年はブラックを選んだ。

Apple自身、iPhoneをプロの映像制作者やコンテンツクリエイター向けの撮影機材として強くアピールしている。それなら、余計な主張をしないブラックは必須のオプションとして、去年から用意しておくべきだったと思う。
iPhone 16 Proからの買い替えを検討している人は、去年酷評されたデザインに抵抗があるかもしれない。
1年前、実物を見たときは「なんだこれは……」と思った。でも、数日で慣れた。上で書いたカラーのような実害がなければ、見た目なんてそんなものかもしれない。
批判されたツートン感もかなり薄くなった。全体の統一感が増したことで、iPhone 16 Pro以前のモデルから買い替える場合でも、抵抗感は少ないと思う。
iPhone 17 Proでは、見た目だけでなく、素材もチタニウムから柔らかいアルミニウムに変わっている。
耐久性も心配したが、1年間ケースなしで使っても、新品のような状態を保っている。ただ、筆者はスマホをぶつけないし、落とさない。屋外で落とした記憶は何年も前という異常個体なので、あまり参考にはならないかもしれない。
それでも、ディスプレイは毎年キズついていた。
Appleは新型iPhoneを出すたびに、画面のキズつきにくさをアピールしている気がする。それでも、落としたことすらないのに、毎年どこかしらにキズがついていた。
iPhone 17 Proは1年間、保護ガラスなしで使ってもキズが一切ない。耐久性にまったく問題はなかった。iPhone 18 Proも同じだろう。
重さ:また増えてる・・・
チタンフレームを採用してProモデル最軽量となったiPhone 15 Proの軽さは絶賛に値したが、それから毎年重くなっている。
昨年、素材がアルミニウムに変更されたことで軽量化を期待したが200gを超え、今年も5g重くなった。たった3年で最軽量のモデルから24gも重くなり、ついにProモデル最重量の211gになった。なんと、折りたたみスマホのGalaxy Z Fold8よりも重い。
昨年はiPhone Airも買ったが、iPhone 17 Proが重すぎて、カメラを必要としない場面ではAirを使っていた。それでも結局、持ち歩くようになったのはPro。重さに慣れたことに加えて、フォルム的に圧倒的に持ちやすく、使い続けるうちに手になじんでいった。
ただ、Airを使わなくなるまで半年以上かかったと思う。
iPhone 15 Proから買い換えようと思っている人も多いと思うが、一気に24gも重くなるとさすがに変化が大きく、慣れるまでに時間がかかるかもしれない。
カメラ:他社が廃止した可変式絞りの効果は?
Appleは昨年、ProRes RAWやApple Log 2、Genlockなどを導入し、Proモデルをよりクリエイター向けのカメラへと進化させた。
今年は「可変絞り」と「プロレベルのコントロール」によって、その流れを写真にも広げている。
他社が廃止した可変絞りを採用。なぜ?
スマホカメラの絞りは基本的に固定だが、Appleはこれを可変式に変更した。iPhone 18 Proのメインカメラに、6枚の絞り羽根を追加し、羽根を動かすことで、センサーに入る光の量を調節できる。
可変絞り自体は別に新しい技術ではない。一眼レフなどカメラ専用機ではもちろん、スマートフォンの世界でも、SamsungがGalaxy S9で初採用し、Xiaomiも14 Ultraで搭載していた。
ただし、厚み・コスト・内部スペース、さらに大型センサーやソフトウェア処理の進化によって、1年または2年でいずれも廃止している。
そんな使われなくなった技術をなぜ今になってAppleは採用したのか。
Appleのカメラハードウェア責任者Matt Waldon氏によれば、出発点は感度を高めることだったという。
つまり、暗い場所でもより多くの光を取り込み、画質を高めたいということだ。その方法としてセンサーを大型化する選択肢もあるが、より広いスペースや大型のレンズ、より高い処理能力が必要になる。
そこでAppleが選んだのが、センサーではなく、レンズをより明るくすることだった。iPhone 18 Proでは、従来のƒ/1.8からƒ/1.48まで絞りを開けるようになった。
ただ、絞りを開くほど被写界深度は浅くなり、ピントの合う範囲が狭くなる。
ƒ/1.48固定では、近くの被写体にピントを合わせたとき、背景までくっきり写したくてもボケてしまう。そこでAppleは可変式の絞りを採用することで、ƒ/4.0まで絞れるようにした。




カメラテストで東京タワーへ行ってみると、東京タワーを背景に記念撮影する外国人観光客が多くいた。
こうした場面では、ƒ/1.48だと背景がボケすぎて、対象物が小さい場合はどこで撮った写真なのか伝わらないこともあるが、ƒ/4.0まで絞れば、手前の人物から背景までくっきり思い出に残せる。
一方で、可変絞りに対して、スマホ程度の小さなセンサーではそれほど効果がないのでは?という疑問もあった。
Waldon氏も、過去に可変絞りを採用した他社のスマートフォン(Galaxy S9/S10のことだろう)では、絞りを変えても差がそれほど大きく出ないケースがあったとしつつ、現在のセンサーサイズやレンズ、F値の組み合わせでは、その意味が十分に大きくなったとして、「今が(可変絞りを搭載する)適切なタイミングだった」と説明している。

可変絞りが役立つのはいつ?
絞りはƒ/1.48、ƒ/1.8、ƒ/2.8、ƒ/4から選べる。
デフォルトでは、周囲の明るさなどに応じて自動調整されるが、ほとんどの場合はƒ/1.8が選択され、暗い場所ではƒ/1.48まで開く。画角に文字が含まれるとƒ/4.0まで絞られるようだ。
実際に撮り比べてみたが、確かに絞りを変える効果はある。
Appleは、手前と奥に人が並ぶような場面を例に挙げている。絞りを開けば手前の人物を強調でき、絞れば奥の人物までピントを合わせやすくなる、という使い方だ。
ただ、個人的にはこうしたシーンを撮る機会はほとんどない。日常的に効果を感じられるのは、画角の中に文字が含まれる場面だと思う。

たとえば、手前の被写体にピントを合わせながら、奥にある看板や店名、案内表示などの文字までピントをしっかり当てて雰囲気を残したいとき。メモがわりにカメラを使って単純に文字情報を残したい時もƒ/4.0が役立つ。
また、絞っていくと、光からトゲが出ているようないわゆる「光芒」を出すこともできる。この光芒は写真だけでなく、動画でも有効だ。

夜景撮りが楽しくなるカメラ
カメラアプリの右下をタップすると、絞りを含む各種設定にアクセスできる。
設定の変更自体はiPhone 17 Proでも可能だが、iPhone 18 Proでは「プロレベルのコントロール」として大幅に拡充。絞りやシャッタースピード、ホワイトバランスを細かく調整できるほか、マニュアルフォーカスやヒストグラム表示にも対応した。
こうした細かな調整は、以前からサードパーティ製のカメラアプリでも可能だったが、標準のカメラアプリに組み込まれたことで、撮影のたびに「どのアプリを使うか」と迷う必要がなくなったのが嬉しい。
例えば、シャッタースピードを遅くして、動く被写体をカメラで追いながらシャッターを切る——いわゆる流し撮りもできるが、これが難しく、まるで修行のよう。
交差点で1時間ほど粘って、ちゃんと撮れたのはわずか数枚。そのエリアを何周もしていたUber Eatsの配達員に変な目で見られながら撮り続けたものの、なんとか形になった程度で、満足のいく写真までは撮れなかった。
おそらく、iPhone 18 Proを買うほとんどの人は流し撮りなんてしない。遠くの被写体をキレイに撮りたいから、3つ目のカメラを求めてProを選ぶ人の方がずっと多いはずだ。
それでもAppleは、難しい撮影を簡単にするのではなく、絞りやシャッタースピードといったコントロールを撮影者に与える方向を選んだ。クリエイター向けの機能は、使いこなせる人が使えばいい——そんな割り切りを感じる。
一方、Googleのアプローチは少し違う。
Pixelではプロ向けのマニュアル操作を用意する一方、「アクション パン」のように難しい撮影を簡単に楽しめる機能も提供している。シャッタースピードを調整して自分で流し撮りすることもできるが、アクション パンなら、動く被写体を追いながらシャッターを切るだけで、被写体を止めつつ背景を流した写真を簡単に撮影できる。
あとからシネマティック動画
動画でよくあるのが、「あ、シネマティックで撮っておけばよかった」と思うこと。
シネマティックは背景をぼかして印象的な映像を撮れる一方、これまでは撮影する前にシネマティックモードへ切り替えておく必要があった。撮り終わってから背景をぼかしたいと思っても手遅れ。
iPhone 18 Proでは、メインカメラで撮影した動画に限り、この制約がなくなった。普通の動画として撮影しても、あとからシネマティックに変換して背景をぼかせる。
写真ではiPhone 16 Proから、撮影後にポートレートへ変換できるようになったが、ようやく動画にも同じ機能がやってきた。

AIを活用したフォーカストラッキングも改良された。
被写体が一時的に画角の外へ出ても、戻ってくれば追跡を再開。子どもやペット、スポーツなど動きを予測しにくい場面でも、被写体を捉え直すたびにピントを合わせ直すことなく、追い続けられるようになった。
そして、実際に撮影して驚いたのが低照度での画質だ。
メインカメラのイメージセンサーは大型化していない。それでも、絞りをより開けるようになったことで低照度での画質は明らかに向上。レンズフレアは相変わらずだが、コンデジに片足を突っ込んだような感覚がある。
今年はiPhone 18が発表されなかったため、無印モデルからProへの買い替えを考えている人も多いはず。噂どおり来年春に発売されるとしても、今のiPhoneのカメラに不満があるなら、待たずにProへアップグレードするのもアリだ。
A20 Pro:性能大幅アップも体感変わらず
iPhone 18 Proには、Appleがモバイルコンピューティングの新しい基準とうたう最新チップ「A20 Pro」が搭載されている。
性能を数値化するベンチマークを計測したところ、CPUスコアは30%弱向上。GPUも大幅にスコアを伸ばしている。
ただ、ベンチマークスコアはあくまで数字でしかない。普段使いで体感できるほどの違いはなく、iPhone 17 Proでも性能に不満を感じたことはなかった。
現在、iOS 27の目玉でもある次世代のApple Intelligenceは一部機能が日本語に対応しておらず、Siri AIも日本語では使えない。今のところ、A20 Proの性能を持て余している感は強い。
とはいえ、セキュリティを重視するApple Intelligenceでは、今後オンデバイスAIの活用がさらに増えていくことが予想される。数年後のOSアップデートでも快適に使える余力になり、高いリセールバリューにもつながる。
今すぐ使い切れなくても、チップのパワーはあるに越したことはない。
ただし、瞬間的に高い性能を発揮するだけでは意味がない。ゲームや動画撮影、AI処理など負荷の高い作業が続いても、発熱による性能低下を抑えながら、そのパワーを維持できることが重要になる。
放熱:ベイパーチャンバーは3倍に巨大化
高い性能を維持するために重要な冷却システムは、昨年初めて搭載されたベイパーチャンバーが大型化した。なんと3倍。分解動画で確認したが明らかに大きさが違う。巨大化と表現していいほどだ。
さらに、A20 Proまわりの構造も改善。チップから発生した熱を直接ベイパーチャンバーに伝え、端末全体へ効率よく拡散できるようになった。
実際、開封動画をVLLOを使って2時間ぐらいかけて編集したが、ほとんど発熱を感じることなく、快適に編集できた。
また、4K/120fpsで30分撮影したあとの発熱をサーモグラフィカメラで確認してみると、iPhone 17 Proはカメラ周辺に熱が集中しているのに対して、iPhone 18 Proは全体に熱が広がっている。

| 4K/120fpsで撮影 | iPhone 18 Pro | iPhone 17 Pro |
|---|---|---|
| 本体中央 |
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| チップ周辺 |
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バッテリー:劇的な変化はなし
iPhone 18 Proのバッテリー容量は前作からほぼ変わっていないが、2nmプロセスを採用したA20 Proによって電力効率が向上している。
iPhone 17 Proも普段使いなら電池持ちにほとんど不満はなかった。ただ、写真や動画を撮りまくるハードな取材や旅行では、モバイルバッテリーがないと不安になる。
iPhone 18 Proも基本的には同じ。普段使いなら十分でWi-Fiに繋ぎっぱなしなら、1日を超えても使い続けられる。ただ、ハードに使ってもモバイルバッテリーがいらないほど、劇的に電池持ちが伸びたわけではない。
まとめ:iPhone 16 Pro以前からの買い替えはアリ

昨年、iPhone 17 Proについて、明らかにこれまでのProとは異なるが、完全なUltraにもなりきれていない、ProとUltraの間にある“Protra(プロトラ)”と表現した。
iPhone 18 Proは、可変絞りとプロコントロールが追加されたことで、撮れる写真だけでなく、撮り方までこれまでのProモデルとは大きく異なる。さらにUltraへ近づいたモデルだ。
不評だったデザインはツートン感が薄れて統一感が増し、待望のブラックも復活。歴代Proで最も重くなった一方、3倍に大型化したベイパーチャンバーと内部構造の刷新によって、放熱性能はさらに向上している。
A20 Proは今のところ持て余すほどの性能だが、数年後のOSアップデートや、今後さらに活用が広がるオンデバイスAIまで考えれば、長く使える余力も十分にある。
一方で、折りたたみスマホのGalaxy Z Fold8さえ上回る211gという重さは、買い替える上で懸念になり得る。特に187gのiPhone 15 Proから買い替える場合は、実機を手にした瞬間、その重さに驚くかもしれない。
それでも、iPhone 15 Proや16 Proから買い替えれば、デザイン、素材、放熱、電池持ち、カメラまで大きな変化を実感できる。特にiPhone 14 Pro以前はSiri AIに対応せず、iPhone 15 Proほど軽量でもない。買い替えをためらう理由はさらに少なくなる。
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