
GoogleはAndroidの誕生からこれまでソースコードをオープンにし、Android Open Source Projectにて開発中のコードを公開してきました。
ときには、AOSPから未発表のPixelデバイスや提供前のアップデート内容が明らかになることもあります。最近もPixel 10で起動プロセスの一部が最大3割高速化されるといった内容が、AOSPの変更履歴から明らかになっていました。
しかし、Googleは開発中のソースコードをAOSP上で公開する運用を終了する方針を示しました。
2つのメインブランチによる開発体制を廃止
Android Open Source Project(AOSP)は、誰でも自由に無料で利用・改変・再配布が可能なオープンソースのOSです。
これにより、スマホメーカーはAOSPで公開されているソースコードをベースに独自にアレンジして提供することができます。
例えば、SamsungのOne UI、XiaomiのHyperOS、NothingのNothing OS、そしてカスタムROMもAndroidがオープンソースだからこそ実現されているもの。

反対にAppleのiPhone以外にiOSを搭載したデバイスが存在しないのはクローズドソースだからです。
統合作業の軽減のため、非公開ブランチで開発へ
現在、Androidは2つのメインブランチで開発されています。1つは誰でもアクセス可能なAOSPブランチ、もう1つは非公開ブランチです。
- AOSPブランチ:誰でもアクセス可能
- 非公開ブランチ:Google Mobile Services(GMS)のライセンス契約を結んでいる企業に限定公開
ただ、GoogleはAndroidの大部分を非公開ブランチで開発しているため、AOSPブランチはかなり遅れた状態になっています。
この遅れを取り戻すために必要なマージ作業(統合作業)は、Android 16の開発に導入された新しい開発プロセスで軽減されたものの、依然として影響は大きく、依然として統合作業に多くの時間と手間がかかっていました。
この統合作業を軽減するために、Googleは2つのメインブランチによる開発プロセスを見直しし、すべての開発を非公開ブランチで行う方針を決定したとAndroid Authorityが伝えています。
Androidの開発が非公開になることで変わることは?
誤解されがちですが、非公開となるのは開発途中のコードであり、すべてのソースコードが対象ではありません。
これまでどおり、ソースコードは各バージョンのリリース時にAOSPで公開されるため、Androidがオープンソースであることに変わりはありません。
これまでどおり、スマホメーカーはAndroidをベースにした独自のインターフェースを提供可能ですし、サードパーティの開発者はカスタムROMを提供できます。
開発プロセスの見直しによってアップデート頻度の向上や不具合の減少を期待するユーザーも多いかもしれませんが、Android Authorityは大きな効果はなく、アップデート頻度も変わらないとしています。
もっとも大きな影響は、記事冒頭でも触れたように、未発表の機能や製品に関する情報がAOSPから読み取れる機会が減ってしまうことです。筆者も含めた一部のAndroidマニア、Google Pixelマニアにとっては1つの関心ごとがなくなってしまいます。
なお、Androidの開発が非公開化されるのは来週からと報じられています。
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