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Apple Japan、携帯3社にiPhoneの注文ノルマを定めた契約「iPhone Agreement」の存在が明らかに

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Yusuke Sakakura更新日:2018/07/11 20:31
Apple Japan、携帯3社にiPhoneの注文ノルマを定めた契約「iPhone Agreement」の存在が明らかに

7月11日、公正取引委員会はApple Japanとドコモ・KDDI・ソフトバンクの携帯主要3社が「iPhone Agreement」と称する契約を締結してiPhoneを販売している事実を明らかにした。

iPhone Agreementには、携帯3社がApple Japanに注文するiPhoneの数量や料金プランの一部指定、下取りしたiPhoneの使用制限(国内)、端末購入補助の指定が含まれていることがわかっている。

携帯3社の事業活動を制限する契約「iPhone Agreement」でAppleを審査

公正取引委員会は、Apple JapanがiPhoneの販売等に関する契約「iPhone Agreement」によって携帯主要3社の事業活動を制限している疑いがあるとしてApple Japanの親会社である米Apple Incに対し、2016年10月から独占禁止法の規定に基づいて審査を行っていたことを明らかにした。

審査後、Appleが契約の一部を改定することを申し出て改定内容を同委員会が検討した結果、疑いが解消されたことから既に審査は終了している。

公正取引委員会が公開した審査内容によれば、「iPhone Agreement」には主に以下の規定が設けられていたようだ。

Apple Japanに注文するiPhoneの数量を数年間指定していた

携帯3社が1年ごとにApple Japanに注文するiPhoneの数量が定められていたケースが存在していた。

ただし、具体的な数量を全社に対して定めるものではなく、特定の事業者に対して注文数量を定めていた数年間において注文数量が未達成でも契約違反にならない旨が定められていたという。

公正取引委員会は審査の結果、限られた年を除いて具体的な注文数量が定められていなかったこと、定められていた注文数量が義務ではなかったと判断しApple Japanに独占禁止法に違反する行為は認められなかったとしている。

契約で基本料等が指定されたiPhoneプランの存在

iPhone Agreementには、携帯3社がiPhoneの利用者に提供する料金プラン(iPhoneプラン)の基本料や通話料、データ通信料金などの金額が定められていたという。

ただし、iPhoneプランを強制するものではなく、消費者が他の料金プランを利用することも可能で、遅くとも2014年9月以降または2015年9月以降は提供されていなかったとのこと。

公正取引委員会は審査の結果、iPhoneプラン以外も提供されていたことなどからApple Japanに独占禁止法に違反する行為は認められなかったとしている。

1社に対し、下取りしたiPhoneの国内流通を制限していた

携帯3社のうち1社とのiPhone Agreementにおいて、事業者が顧客から下取りしたiPhoneを国内で利用する場合、中古iPhoneとしての販売等を許可せず、利用者に提供する端末補償サービスにのみ用いるよう制限していたという。

Apple Japanが下取りしたiPhoneの国内販売を制限することは独占禁止法上問題となり、中古端末を販売するMVNO(格安スマホ/SIMを提供する事業者)との競争を阻害することが懸念されるが、1社にのみ用途を限定していたこと等の理由からApple Japanが下取りiPhoneの国内流通を制限していた行為は認められなかったとしている。

なお、Apple Japanは制限を課していた1社においても審査開始後に下取りiPhoneに係る規定を廃止したとのこと。

3社に対し、端末購入補助の金額を義務付けていた

iPhone Agreementには、iPhoneを購入する利用者が一定の契約期間が定められたプラン等に加入する場合、携帯3社または販売代理店が利用者に対して補助金を提供する必要があると定められていたという。

補助金の額は、Apple Japanから携帯3社に対するiPhoneの卸売価格と利用者がiPhoneを購入するための負担額の差額とされていて3社ごとに具体的な最低額が合意されていたとしている。なお、携帯3社が提供する月々サポートや毎月割、月月割といった毎月の料金から割り引く端末購入補助がiPhone Agreement上の補助金に該当するとAppleと携帯3社は認識していたとのこと。

また、KDDIは2017年7月に毎月割が適用されない代わりに基本料金等がおトクになる新料金プラン「ピタットプラン」「フラットプラン」の提供を開始したが、同年9月までの間、Apple Japanの合意が得られなかったため、iPhone向けに提供できなかったという。

公正取引委員会は、端末と通信のセット販売が行われている現状においてApple Japanが携帯3社に対し月々サポートや毎月割、月月割といった端末購入補助の金額を義務付けることは、独占禁止法上問題になり得るとした。

Apple Japanは公正取引委員会の指摘に対して、端末購入補助をともなう料金プランと端末購入補助を伴わない新しい料金プランを十分な情報と共に明確かつ公平に利用者に提示すること等を条件に新しい料金プランを提供できるよう携帯3社と合意し、iPhone Agreementを改定した。公正取引委員会はこの改定によって独占禁止法違反の疑いが解消されるとしている。

端末購入補助がない代わりに料金が安くなる新料金プラン登場か

公正取引委員会の審査とApple Japanの申し出によってiPhoneの料金プランが安くなると一部で報じられたが、上記内容を見るかぎり既存のプランに大きな影響はないかもしれない。

ただし、auが「ピタットプラン」や「フラットプラン」で風穴をあけたことで携帯3社は端末購入補助のないプランでもiPhoneを販売できることになる。例えば、ドコモでは月々サポートがない代わりに対象機種を購入すると、ずっと毎月1,500円を割引する「docomo with」を提供している。

docomo withの支払いイメージ

docomo withの支払いイメージ

現在、iPhoneはdocomo withの対象機種になっていないが、iPhone Agreementの改定によってiPhone SEなどの旧機種やライトモデルが対象機種に追加される可能性はあるだろう。また、ソフトバンクについては端末購入補助のない新料金プランを新型iPhoneの発売に合わせて発表する可能性も考えられる。

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