2023年に入ってから繋がりにくい事象が継続的に発生しているドコモが通信品質改善の取り組みについて報告を行いました。
説明によると繋がりにくい事象の原因はスマートフォンの普及およびSNS・動画視聴などの伴うデータトラフィックの増大によるもので、現在は駅や繁華街、住宅街など全国2,000ヶ所以上の「点」と、乗降客数の多いJR・私鉄・地下鉄など全国の鉄道動線といった「線」での対策を進めており、将来需要も見据えて300億円の先行投資を行うことで早期に完了するとしています。
HD画質相当の動画視聴ができる通信品質を目指す
具体的な対策内容は電波照射の角度調整や指向調整、出力調整、5G上り品質のさらなる改善等の「既存の基地局を活用」に加えて、5G/4G設備の増設・新設、高度化されたMassiveMIMO装置の導入などの「基地局設備対策」と案内されています。
MassiveMIMOは、ひとりひとりに専用の電波を割り当てることで混雑する駅や繁華街などの人が多く集まる場所でも快適に通信できる技術。最近になって通信品質で評価を上げているソフトバンクは4G時代からいち早く導入していましたが、ドコモは「フィールド検証において容量2倍であることを確認済み」として、高い効果があることを確認してようやく導入することになります。
集中対策はユーザーが安心してHD画質相当の動画視聴ができる通信品質を目安に取り組むとしています。なお、ドコモは下り20Mbpsであれば4K動画を見られるとしていることから、通信速度の目標値は20Mbps未満となりそうです。
なお、集中対策を行うエリアは「点」と「線」で分けられており、点の全国約2,000カ所以上の駅や繁華街、住宅街などでは、2023年12月までに90%以上完了予定(2023年9月末時点で70%に到達)。線の乗降客数の多いJR・私鉄・地下鉄など、全国の鉄道動線では、2023年12月までに既存基地局を活用した対策を完了予定としています。
問題が長期化。ユーザーへの積極的な説明も必要
ドコモが繋がりにくい問題を報告したのは今年4月でした。
長期的な瞬速5Gの整備と同時に、5Gのカバーエリア拡大と逼迫している800MHz帯のプラチナバンドを掴みづらくする分散制御による短期的な対策によって2023年夏までの解消を目指すとし、7月の報告では新宿・渋谷・池袋・新橋といった都内4エリアで改善したことが報告されていましたが、携帯総合研究所のコメントでは、秋になってもまったく解消されていない、プラチナバンドのない楽天よりも遅いとの報告が寄せられ、解消されるどころか繋がりにくいエリアに関しては都市部だけではなく地方や住宅街にまで拡大しているように感じます。
ユーザーへの説明も十分ではありません。
ドコモ公式サイトのトップページやエリアページで繋がりにくい問題を確認することできず、繋がりにくい理由がわからずストレスを抱えているドコモユーザーが相当数いることが予想されます。
昨年、KDDIが通信障害を引き起こした際には、ユーザーに対する説明不足が問題視されました。通信障害と規模や影響の度合いが異なるものの、自分から積極的に情報を得ようとしない限り「なぜ繋がりにくいのか、いつまでに解消されるのか」がわからない状況は同じ。また、事象が半年以上も続いていることを考えれば、人数を絞った小規模な記者説明会を開いてメディアまかせにするのではなく、ドコモ自身がユーザーに対して積極的に説明するべきです。
- | NTTドコモ
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