Fire TV、Fireタブレット、Echo ShowなどのAmazonデバイスには、AndroidをカスタムしたOSが搭載されていますが、Linuxベースの独自OS「Vega」に移行する計画があるようです。
OSの移行計画はFire TVシリーズから始まり、将来的にはすべての製品で採用されると報じられています。
作業はほぼ終了。Vega版のFire TVが2024年初頭に登場か
計画を知る複数の関係者から情報を得たとするLowpassによると、AmazonがVega OSの開発を始めたのは2017年ごろ。
開発チームの規模は数百人。作業はほぼ終了しており、すでにVega版のFire TVを実施。早ければ来年初頭にも新OSを搭載したハードウェアの出荷を計画しているそうです。
独自OSに切り替える理由とメリット
なぜ、AmazonはOSをAndroidから独自OSへの切り替えを検討しているのでしょうか。
オープンソースなAndroidを利用する大きなメリットはOSをゼロから作る必要がなくコストを大幅に抑えられることです。一方でGoogleが追加した機能を搭載するまでに数年かかる、つまり開発が遅れるデメリットがあると指摘されています。
実際、Googleが今年秋にAndroid 14をリリースしたにも関わらず、現行のFire TVにはAndroid 9ベースのFire OS 7が搭載されており、FireタブレットもAndroid 11ベースです。
また、スマートフォンなどの汎用デバイス向けであるAndroidには、Amazonデバイスにとって不要なコードも大量に含まれています。これらの不要コードが開発やOSの動作に影響を与える可能性もあります。
Androidアプリが動作しなくなる
脱Androidで最も深刻なのはGoogle Playストアを含むGoogleのサービスやアプリをまとめたGoogleモバイルサービス(GMS)が利用できなくなることです。
米政府による禁輸措置を受けたことによってGMSが利用できなくなったファーウェイも急速に衰退しました。
ただ、Amazonデバイスは今もGMSに対応していないため影響はないでしょう。Google Playストアの代替となる独自ストアを何年も前から提供しています。Vega向けに開発されたアプリも独自ストアから入手できるはずです。
AmazonデバイスのOS移行に伴う最も大きな影響はAndroidアプリが動作しなくなることです。
これまではAndroid向けに開発したアプリをGoogle PlayストアとAmazonの独自ストアに並べたり、APKを公開してサイドロードで利用してもらうだけでしたが、今後はVega OS向けのアプリを提供する必要があります。
VegaはアプリケーションフレームワークにReact Nativeを採用するとされています。
React Nativeでは開発にJavaScriptを使用し、ビルド時にiOS,Android,Webアプリのネイティブコードを生成するため、Java/Kotlin/Swiftといったそれぞれのネイティブ言語と開発環境を扱うコストが縮小します。
すでにReact Nativeを導入している開発者にとっては喜ばしいことですが、マルチプラットフォーム対応が不要などの理由でネイティブ言語を扱う開発者にとっては新たなコストが生まれます。
移行がスムーズにいかない場合はVega版のAmazonデバイスで利用できるアプリの数が減ってしまう可能性も考えられますがどうでしょうか。
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