Appleが9月15日21時から予約受付を開始するiPhone 15シリーズはUSB-C端子を搭載したことで、今後はMacBookやiPadなど他の機器でも使用しているUSB-Cケーブルを使って充電できます。
有線充電の変更と同時にワイヤレス充電も進化し、iPhone 15はワイヤレス充電器の次世代規格であるQi2対応と案内されていますが、現時点ではどういったメリットがあるのかわかりません。
AppleはQi2対応のメリットを案内せず
Qi2はMagSafeと同じようにマグネットを活用したワイヤレス充電規格で、規格開発にはAppleも大きく貢献しています。
Qi2の特徴は高い充電効率にあります。
これまでのワイヤレス充電はスマートフォンに搭載されたコイルと充電パットがズレることによって充電効率が著しく悪化することもありましたが、MagSafeと同じようにマグネットを導入したQi2なら位置ズレが起きず、それによって発熱量も大幅に抑制できます。
MagSafeとの違いはUSB-Cと同じようにMFiのようなメーカー独自の認証・部品を必要としないことです。MagSafeはiPhoneに特化していますが、Qi2ならば将来的に登場するQi2対応のAndroidでも利用できます。
ただ、AppleはiPhone 15がQi2に対応することによって、どういったメリットがあるのかを一切明かしていません。
特に重要な充電出力については、Qi2に対応することで現行の7.5Wから2倍となる15Wまで引き上げられ、将来的にはさらに高い出力をサポートする計画が示されていますが、AppleはQi充電器使用時の出力を最大7.5Wと案内しています。
The Vergeがワイヤレス充電の規格策定や普及促進を行うWPCにコメントを求めたところ、Qi2製品は仕様が確定しているもののまだ認証されていないと回答し、現在はテストおよび検証待ちとなっているようです。
Qi2対応の製品を発表したBelkinの広報担当者は「まだiPhone 15でテストしていないが、最大15Wで充電できることを期待している」と回答したとのこと。
標準化団体もメーカーも現時点でiPhone 15のQi2に関する仕様は知らないようです。理想はQi2充電器の出力がMagSafeと同じ15W出力に対応すること。おそらくそうなると思いますが、AppleはMagSafeによって得られる利益を維持するために何らかの制限をかけるかもしれません。
例えば、The VergeはiPhone 15がQi2による15W出力の充電に対応するとしてもiOS 17の新機能であるスタンバイモードを制限する可能性を指摘しています。
スタンバイモードは、充電中のiPhoneを横向きにすると、置き時計やフォトフレームのように利用できる機能。スタンバイモードを利用するためにわざわざ高額なMagSafe対応製品を購入する人は少ないと思いますが、MagSafe限定機能を積み上げていけば、将来的に効果は生まれるかもしれません。もちろんユーザーは反発するでしょう。