独禁法でGoogle Playストアが提訴される。Googleは「1セントも払わず他でアプリを配布できる」と反論
米国の37州・地域の司法長官が、Androidデバイス向けのアプリストア「Google Play」を運営するGoogleを独占禁止法に違反した疑いがあるとして連邦地裁に提訴した。
司法長官はGoogleが違法な手段を用いてPlayストアで莫大な利益を生み出したと主張。競合するアプリストアのサポートできないよう開発業者を買収したり、最大の競合であるGalaxy Storeの競争を阻害するプロジェクトを秘密裏に行い、一部のアプリに決済ツールの使用を違法に義務付けて最大30%の手数料を払うことを求めて開発元は値上げを余儀なくされたと述べている。
これに対してGoogleはAmazon Fireタブレットなどに競合アプリストアがインストールされていることやストアを経由せずアプリをダウンロードできることを理由にAndroidとGoogle Playのオープン性と選択肢を提供していると反論した。
「Google Playのメリットを無料で享受したい大手開発者を後押しするもの」
Googleは公式ブログにて今回の訴状ではアプリ市場の定義がAndroid端末のみに限定されていて、Appleが提供するApp Storeのような大成功している他のプラットフォームとの競争を完全に無視していると反論。
Google Play以外の選択肢がないという件についてはAndroidの端末メーカーやキャリアは自社端末にGoogle Play以外の競合アプリストアをプリインストールできると主張し、実際にほとんどのAndroidデバイスにおいて2つ以上のアプリストアがプリインストールされていると説明。
代表例としてSamsungのGalaxyスマートフォンにプリインストールされているGalaxy StoreやAmazon FireタブレットにプリインストールされているAmazon Appstoreの名前をあげ、さらにAndroidではストアを経由せずアプリをダウンロードすることも可能としている。
開発者の成長を阻害しているという件については2020年2月時点で800億ドルを開発者に支払っていて、Androidアプリ経済によってアメリカ人約200万の雇用を創出したと反論。さらに開発者のテスト負担を軽減するためにベータテストやアプリを監視するためのツールを提供し、セキュリティにも多大な投資をしていると説明。
高すぎると批判される手数料についてもGoogle Playでデジタル商品やコンテンツを販売する開発者は3%で、そのうち99%の開発者が30%ではなく15%の手数料を支払っていることを明らかにした。Googleは今月からすべての開発者を対象に毎年の収益が100万ドル、約1億円に到達するまで手数料率を30%から15%の半額に引き下げている。
Googleは売上の100%を得られる独自決済等の導入を考えるEpicのような大手デベロッパーもいるが、エコシステム全体に悪影響を及ぼすと説明。今回の訴訟は弱者救済や消費者保護のためのものではなくGoogle Playを利用するメリットをお金を払わずに享受したい一握りの大手アプリ開発者を後押しするもので、小規模な開発者のコストを増加させて技術革新や競争を妨げると批判した。
また、Googleのポリシーを好まないのであれば、Google Playの課金システムを利用せず1セントも支払うことなく直接または他社のアプリストアを通じてAndroidアプリを配布することができ、多くの開発者がそうしていると説明している。