今からちょうど15年前の2007年6月に発売された初代iPhoneは、巨大なタッチパネルと指だけで操作できる革新的なインターフェースで登場し、世界中で大きな注目を集めました。
メール、ブラウズ、検索、マップ、音楽、カメラ、インターネットをたった1台のデバイスに集約し、それまでは電話やメールといった連絡手段でしかなかった携帯電話を再定義しましたが、初代iPhoneには「コピー」「切り取る」「貼り付け」といったいわゆる“コピペ”機能は実装されていませんでした。
今ではコピペがないスマートフォンの存在は考えられませんが、Appleの元エンジニアによれば、当時は他にやることが多く、コピペ機能を開発するための十分な時間がなかったようです。
実装が後回しにされたコピペ機能
Appleの元エンジニアのKen Kociendaによると「初代iPhoneはカット/コピー/ペーストに対応していなかった。理由をカンタンに説明すると、コピペを開発するための十分な時間がなかったんだよ。キーボードや自動補正、テキストシステムなど、やらなければいけないことが多くあったからね。デザインチームにも時間がなかった。だから(iPhone OS)1.0では、コピペ機能を見送ったんだ。」とTwitterに投稿しています。
今では当たり前の静電容量式のタッチパネルとソフトウェアキーボードの組み合わせも15年前に発売されたiPhoneが広めたものですが、当時のソフトウェアキーボードは酷評されたものが多く、いずれもBlackBerryなど「ハードウェアキーボードには勝てない」と評価されることがほとんどでした。
初代iPhoneのレビューを見返してみると、それなりに評価されているものの、よく利用するピリオドやカンマといった文字は数字キーボードにアクセスする必要があることや今のようなユーザー辞書がなく、選択した変換候補が辞書に自動で登録され、誤ったものを選択すると修正できず、そのまま利用するか、辞書をすべて削除するしかないデッドオアライブ方式など、不満も多く記録されています。
こういった不満に対する修正・改善が膨大で、コピペ機能の優先順位は低かったということでしょう。
Appleはようやく2009年6月にリリースされたiPhone OS 3.0でコピペ機能に対応。同年に発売したiPhone 3GSのテレビCMでもコピペ機能をアピールしていました。
ちなみに、初代iPhoneでは、コピペ以外にもApp Storeやマルチタスク機能、フロントカメラ、動画撮影、iCloud(バックアップや連絡先の同期などすべて)といった今では当たり前の機能も利用できなかったため、脱獄という不可能を可能にする裏技を利用する人も多く存在していました。
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