Pixel 10 Pro FoldはなぜIP68防水・電池長持ちを実現できたのか──鍵は“ギアレスヒンジ”
Yusuke Sakakura

Yusuke Sakakura
ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

Googleが最新の折りたたみスマートフォン「Google Pixel 10 Pro Fold」を発売しました。携帯総合研究所では、発売に先がけて約1週間使用する機会を得て、レビューを公開しています。ぜひチェックしてください。
Pixel 10 Pro Foldは、昨年のような劇的な進化こそないものの、折りたたみスマホとしての完成度がさらに高まりました。
注目すべきはヒンジの刷新です。折りたたみスマホにおいて、ヒンジの進化はそのままデバイスの進化を意味します。
最新モデルでは、文字どおりギアを一切使わないギアレスヒンジを採用。サイズ感をほとんど変えずに、レビューで“無尽蔵のよう”と表現した電池持ちを実現しています。
Googleは公式ブログで、ヒンジの構造を根本から見直した“ヒンジニアリング”の裏側を公開しました。
一般的に折りたたみスマホのヒンジにはギアが使用されます。従来のヒンジも4つのギアで構成され、左右の本体が同じ角度で対称に回転していました。
ただし、ギアは時間の経過とともに耐久性の問題を抱える可能性があります。Googleによると、ギアの経年劣化や埃の侵入によって、折りたたみスマホにとって重要な開閉動作に支障をきたす可能性があるためです。
そこで、Googleはギアの代わりにCAM(カム)機構を採用しました。これによりギアを使わずに左右を正確に連動させることが可能に。結果として、より信頼性が高く、長期間の利用でもスムーズに動作し続けるまったく新しいヒンジが誕生しました。

このギアレスヒンジは、ヒンジの改良にとどまらず、内部構造の再設計にもつながっています。その結果、Pixel Foldシリーズとして過去最大級のバッテリーを搭載。ユーザーが常に求める「より良い電池持ち」を実現しています。
さらに、ギアによる微小な隙間を排除できたことで、折りたたみスマホとして初めてIP68防水防塵に対応。Googleは折りたたみだからといって、普通のスマホの使い方を諦める必要はないとしています。
本体外側のディスプレイをヒンジ部分まで拡張したこともギアレスヒンジの恩恵のひとつです。
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