2024年12月26日の法改正によって、スマートフォンが再び値上げされる可能性が高まっています。
昨年12月の法改正では、割引が規制されましたが、携帯各社はスマホ返却時の支払い免除額を引き上げることで大幅な値上げを回避しました。
しかし、今年の法改正では、この支払免除額に規制がかかるため、スマホが値上げされる見込みです。
そもそも月額1円でスマホを購入できるのはなぜ?
現在、携帯キャリアでスマホを購入する場合、「端末購入プログラム」を利用するのが一般的です。
端末購入プログラムでは、将来のスマホ返却時の買取価格をあらかじめ端末価格から差し引くことで、毎月の支払額を抑えることができます。
カンタンに言えば下取りの前借りのようなもの。それが理由で購入ではなくレンタルだ、とも言われたりします。
最新のiPhone 16も月額3円
例えば、ソフトバンクでiPhone 16 (128GB)を購入するとしましょう。
端末価格は145,440円ですが、端末購入プログラムを利用することで、毎月の支払額はわずか3円。1年後の13ヶ月目に返却すれば負担金は36円に抑えられます。
ただし、1年後に返却する場合は別途、手数料として19,800円が必要です。さらに、スマホを返却するまで月額1,450円の「あんしん保証パックサービス」の加入も必要になるため、総額は38,686円になります。
今年もスマホが値上げされるのはなぜ?
2023年12月の法改正では、スマホの割引上限額が22,000円から44,000円に引き上げられました。
しかし同時に「セット販売と端末単体販売の割引が同額であれば、それを超える割引も可能」というルールが廃止されたことで、上限が一律44,000円に制限されてしまいました。
この法改正でスマホは値上げされる見込みでしたが、携帯各社は端末購入プログラムの支払い免除額を引き上げることで大幅な値上げを回避しました。
これに対し、総務省は支払い免除額が中古市場の相場を大幅に上回ることを問題視。公正な競争を促すために、今年の法改正では支払い免除額にも規制をかけることになりました。
支払い免除額は中古価格の相場に近い価格に
これまで携帯キャリアがある程度自由に設定していた支払い免除額ですが、法改正によって「発売時点の端末価格 x 残価率 x その他考慮事項」で算出することになります。
残価率は中古市場の相場を参考に算出されます。
中古市場といってもさまざまです。メルカリでの個人間の売買も中古市場と言えなくありませんが、今回の法改正では、個人対企業間の市場を参考にするのが適当と判断され、中古携帯電話販売事業者の業界団体リユースモバイル・ジャパン(RMJ)のデータを用いられます。
なお、残価率の具体的な算出方法は「発売からnか月目の買取平均額 / キャリアにおける発売時点の価格(法改正前に発売された機種は原則、メーカー直販価格)」となっています。
その他考慮事項については、今後必要なものが生じた場合に使用されるため、現時点では考えなくても良いでしょう。
法改正でiPhoneへの影響は小?Androidは大?
では、法改正後のiPhone 16 (128GB)の価格がどうなるのかみていきます。
ソフトバンクの端末価格は145,440円。「新トクするプログラム(プレミアム)」の対象機種のため、13ヶ月目での返却が可能です。
13ヶ月目の残価率が公表されている最も新しい機種はiPhone 14 (128GB)の0.63。この残価率に発売時のメーカー価格を掛けて導き出せる支払い免除額は91,627円です。
2024年12月時点のソフトバンクの買取予想価格は99,627円のため、8,000円ほどの差額があります。差額はそれほど大きくないため、本体価格の引き下げ等で維持できそうな気もします。
負担金が約5万円、主な返却時期を23ヶ月目で想定するなど、比較的マイルドな売り方をしているドコモはどうでしょうか。
23ヶ月目の残価率が公表されている最新の機種はiPhone 13 (128GB)の0.58。この残価率から算出される支払い免除額は84,216円です。
ドコモの買取予想価格は91,476円のため、差額は7,000円ほど。こちらも大きな影響を受けないことが予想されます。
次はiPhoneに比べて中古市場の価値が低い割に負担金が24円に設定されていることから、キャリアの支払い免除額が盛られていそうなPixel 9(128GB)をみていきます。
ソフトバンクの端末価格は110,160円。「新トクするプログラム(スタンダード)」の対象機種のため、25ヶ月目での返却が可能です。
25ヶ月目の残価率が算出できるのはPixel 6(128GB)の0.35。なお、同年発売されたiPhone 13 (128GB)の残価率は0.62であることを考えると、iPhoneに比べて中古市場の価値に大きな違いがあることがわかります。
残価率をもとに算出される支払い免除額は38,556円、対するソフトバンクの買取予想価格は66,551円です。差額が2万円強になることを考えると、24円から値上げされる可能性が高いように思えます。
負担金を47円、返却時期を25ヶ月目に設定しているauではどうでしょうか。
残価率は同じく0.35。残価率をもとに算出される支払い免除額は39,970円です。
auの買取予想価格は70,200円のため、差額は3万円。こちらも値上げされる可能性が高そうです。
ただし、いずれも返却時期が25ヶ月目想定のため、これを早めて残価率を上げることも考えられます。
ソフトバンクは、新トクするプログラムをスタンダードからプレミアムに変更すると、返却時期を早めて残価率を上げることができます。
例えば、Pixel 7 (128GB)の13ヶ月目の残価率は0.44で支払免除額は48,470円に引き上げられ、差額は1万円強まで小さくなります。
auの場合は他のキャリアと違って13ヶ月目に返却しても25ヶ月目に返却しても残価は変わりません。他キャリアと同じように早期返却によって負担金が安くなるような新しい端末購入プログラムを発表することも予想されるので法改正後も注目です。
値上げまでに買い替えるべき?
今回の法改正では中古市場の相場よりも突出した額は規制されることになります。
そのため、支払い免除額が中古市場の相場から乖離している傾向にあるAndroidスマホは、値上げ幅が大きくなることが予想されます。
スマホの買い替えを検討していたのであれば、今日中に購入しておいた方が良さそうです。携帯ショップはすでに閉店してるところが多いと思いますが、キャリアのオンラインショップならまだ法改正前の価格で購入できるところもあります。
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