Android 5.0 Lollipopで追加された新機能の一つに「自動暗号化」機能があります。
これは、スマートフォンやタブレットが盗まれるなど紛失した時のセキュリティ機能で、端末内の個人情報まで盗まれないように自動的に暗号化を行うというもの。暗号化する機能自体は以前より提供されていたものの、デフォルトオフになっていることや、暗号化するのに大幅な時間を要することもあって、Android 5.0では初めて端末の電源を入れた時に自動暗号化されるようになりました。
グーグルが昨年発売を開始したNexus 6やNexus 9はもちろん、Androidを開発するメーカーに対しても積極的な採用を呼びかけていましたが、方針が変更されたようです。
グーグル、「自動暗号化」の方針変更を認めるも理由は明らかにせず
arstechnicaの報道によれば、グーグルはAndroid 5.0 Lollipopを搭載する全てのデバイスは自動暗号化を標準機能として採用するという方針を打ち出したものの、グーグルのパートナーから販売されている新機種では、自動暗号化が標準機能になっていないことを確認したとのこと。
But we’re starting to see new Lollipop phones from Google’s partners, and they aren’t encrypted by default, contradicting Google’s previous statements.
引用元:Google quietly backs away from encrypting new Lollipop devices by default | Ars Technica
この報道を受けてZDNetがグーグルに確認したところ、自動暗号化に関する方針を変更したことを認めたものの、理由については明らかにしなかったようです。また、将来のバージョンでは、自動暗号化をデフォルトでオンにすることを明らかにしたとのこと。
In an email to ZDNet, Google confirmed the decision but did not explain the reason for the apparent change in policy. Instead, encryption by default will be reserved for “future versions” of the mobile operating system.
引用元:Google reverses its promise to enable encryption by default in Android Lollipop | ZDNet
暗号化によるパフォーマンスの大幅低下が原因か
グーグルは理由を明らかにしなかったとのことですが、米メディアのANAND TECHがNexus 6と暗号化をオフにしたNexus 6、Nexus 5とパフォーマンスを測定(内蔵メモリへのアクセスおよび読み書き性能)したところ、暗号化されたNexus 6のパフォーマンスが最下位になったとの調査結果があることを考えると、パフォーマンスの問題から自動暗号化をオフにした可能性が高いものと思われます。
arstechnicaでは、転送速度の早いメモリや最適化されたファイルシステム、優れたチップセットによってパフォーマンスを向上できるものの、Androidデバイスを開発するメーカーがこれらの仕様を変更するには長い期間が必要だと伝えており、メーカーに配慮して方針を変更した可能性もあるとしています。
ちなみに、Android 5.0 Lollipopを搭載するデバイスで自動暗号化がデフォルトで有効になっているのは「Nexus 6」と「Nexus 9」などとなっており、「Nexus 5」や「Nexus 7」など、Android 5.0 Lollipopへのアップデートが可能なデバイスでは自動暗号化が勝手に有効になることはありません。
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