Googleが5月11日に開催したGoogle I/O 2023にて、Google初の折りたたみスマートフォン「Pixel Fold」を正式発表しました。
左右に分かれたアルミフレームのボディをヒンジで繋ぐことで実現した折りたたみボディの内側に、コンパクトタブレットクラスの折りたたみディスプレイを搭載。ボディを開かなくても通知を確認したり、アプリを起動できるカバーディスプレイも利用できます。
米国ではGoogle Storeにて予約受付中。日本ではGoogle Storeに加えて、ドコモオンラインショップ、auオンラインショップ、ソフトバンクオンラインショップでも6月20日午前10時から予約受付がスタートし、7月下旬に発売されます。販売価格は253,000円。情報は随時更新します。
1分でわかるPixel Foldまとめ
- Google初の折りたたみスマートフォン
- ボディを開くと7.6インチの小型タブレットクラスのディスプレイ
- ボディを閉じたままでも操作できる5.8インチのカバーディスプレイ
- 広角+超広角+望遠レンズのトリプルカメラ
- 防水対応の折りたたみボディ
- Google Tensor G2チップによる長期アップデート
- 販売価格は253,000円
- ストレージは256GBのみ
- 発売日は7月27日
デザインとカラー
Pixel Foldの折りたたみボディには、高い耐久性が特徴のポリッシュ仕上げアルミニウムフレームと強化ガラスGorilla Glass Victusが使用されています。
ボディの外側にはカバーディスプレイ、側面には音量ボタンとマスクをしたままでもスムーズに画面ロックを解除できる指紋認証センサーを内蔵した電源ボタン、3つのレンズで構成されるトリプルカメラを背面に配置。
左右のボディを繋ぐヒンジは“際立って高い耐久性”が特徴で最大20万回の開閉が可能。これはSamsungの折りたたみスマートフォンGalaxy Z Fold4と同じで1日100回開閉しても5年は余裕で使えます。
本体を折りたたんでも画面の間にスキマができないため、ホコリやごみが本体内に侵入したり、画面がキズつくといった心配はなさそう。IPX8等級の防水にも対応しています。
Googleが開発に多くの時間を要したヒンジは動作がスムーズで様々な角度で調整が可能。かたいヒンジが自由な角度での固定をもたらす一方で、フルフラットにするには力を入れるか、それなりの回数をかけてヒンジをなじませる必要があります。
カラーは黒のObsidian(オブシディアン)と白のPorcelain(ポースレン)の2色展開。本体を保護する純正ケースが9,900円で販売されます。
重さは超ヘビー級。でも超薄型
ポリッシュ仕上げのアルミニウムフレームを耐久性の高い強化ガラスでサンドイッチしたボディの内部に7.6インチの巨大な折りたたみディスプレイ、外側に5.8インチのカバーディスプレイ、背面にトリプルカメラ、内部に大容量バッテリーを搭載していることもあって超ヘビー級です。
重さはOppo Find N2の233g、Galaxy Z Fold4の263gよりも重く、2画面スマートフォンSurface Duo 2の284gとほぼ同じ283g。
通勤時の満員電車などで片手操作するには重すぎるでしょう。ただし、折りたたみスマートフォンは本体を開いて両手で持って操作する機会が多いことから、実際に使用するとそれほど気にならないかもしれません。
折りたたみスマートフォンの課題は重さに加えて厚さです。
本体を折りたたんで持ち運ぶことから、どうしてもポケットに入れることをためらってしまいますが、Pixel Foldは折りたたみスマートフォンとしては最薄レベルで、開い時の厚さは5.8mm、閉じた時の厚さは12.1mmで、一般的なスマートフォンが10mmを下回っていることを考えれば厚いものの、他の折りたたみスマートフォンと比べると2mm以上も薄く、純正ケースを装着した状態で2つに折りたたんでもジーンズの前ポケットに収まるサイズ感です。
Googleは薄型のボディを実現するために少し変わった構造のヒンジを採用しました。
SamsungのGalaxy Z Fold4など多くの折りたたみスマートフォンは、ディスプレイの裏側にヒンジを配置していますが、GoogleによればPixel Foldのヒンジは上部と下部に寄せたことで厚みを薄くできたと説明しています。
小型タブレットクラスの折りたたみディスプレイ
折りたたみのボディを開くと、電子書籍や動画、ゲームを迫力のある画面で楽しめる7.6インチの巨大なメインディスプレイが出現します。
巨大なスクリーンを左右または上下に分割して複数のアプリを起動して、テレビ電話またはリモート会議しながら資料を確認したり、Googleフォトを確認しながらドラッグ&ドロップ操作でGmailやLINEなど(対応アプリは不明)で写真や動画を送ることも可能。Sペンのようなペンデバイスは利用できません。
折りたたみのボディを途中まで開いてノートPCのように机に置いてYouTubeを再生すると、上半分の画面で動画を再生して、下半分の画面で動画の一時停止、早送り・早戻し、再生位置の変更といったコントロール操作が可能になるような折りたたみならではのインターフェースも提供されます。
なお、Pixel Foldのメインディスプレイは、縦長なGalaxy Z Fold4よりも自然なアスペクト比で、2つのアプリを左右に並べて同時表示する時でも違和感がありません。
多くの人は厚いベゼルが気になっているはずです。ベゼルは上下と左右で幅が異なるため、見た目が悪いと感じる人も多いはず。「どうにかならなかったのか」と思っている人もいるかもしれません。
Googleによれば、ベゼルの見た目が洗練されていない原因は本体を薄型にするために上部と下部に寄せたGoogle独自のヒンジが原因とのことで、どうにもならなかったようです。
フロントカメラを配置するためにベゼルを厚くしたわけでもなく、ベゼルが厚いからこそGalaxy Z Fold4で採用されているアンダーディスプレイカメラのような技術を採用しなくてもフロントカメラをシンプルに配置できるようになったわけです。
トリプルカメラ
折りたたみスマートフォンに搭載されるカメラに妥協はなく、広角・超広角・望遠レンズの3眼構成です。Googleによれば、フラグシップレベルのカメラを搭載したとのこと。
ただし、Pixel 7 Proのように明らかにフラグシップなカメラでもありません。フラグシップに届くか、それともちょっと足りないかというレベルが正しい表現だと思います。
突き抜けているとは言えないトリプルカメラの広角レンズは48MP、超広角レンズと望遠レンズは10.8MP、望遠レンズはPixel 7 Proと同じ光学5倍ズームでスマホ離れした写真が撮影できます。
本体を開いた状態にするとカバーディスプレイをファインダーとして使用することで、画質の良いメインカメラでセルフィ、グループショットが楽しめるといった折りたたみスマートフォンならではの使い方も用意されています。
フロントカメラは内側に8MP、外側に9.5MPを搭載。自撮りやグループショットはもちろん、テレビ電話やリモート会議でも便利に使えそうです。
指紋認証に対応
Pixel Foldの電源ボタンには指紋認証センサーが搭載されていて、マスクをした状態でも画面ロックをスムーズに解除できます。
フロントカメラは顔認証にも対応しているため、指が濡れている状態でも画面ロックをスムーズに解除できます。
ただし、顔認証に対応しているフロントカメラは外側に配置されているレンズのみ。本体を開く時には指紋認証センサーに触れることが多いので手が汚れてなければ困ることはなさそうです。
Google Tensor G2チップ搭載
チップはPixel 7、Pixel 7 Pro、Pixel 7αと同じ高度な機械学習を利用できるGoogle Tensor G2です。
Google Tensor G2によって、画面を数回タップするだけでGoogleフォトにアップした写真のボケが補正されます。ボケ補正の対象はPixel Foldで撮影した写真だけではありません。
カメラ機能では、写真に写り込んだ邪魔なものを消せる「消しゴムマジック」、複数のレンズで撮影した写真を合成することで被写体ブレを防ぐ「顔のぼかし解除」、ポートレート撮影、星空も撮れる天体写真の撮影に対応します。
一方で、動画撮影でも映画のように背景をぼかすことができる新機能「シネマティックぼかし」、マクロフォーカス、モーションモード(アクションパン)には非対応でPixel 7 Proに比べるとカメラ機能は劣っています。
Pixel Foldでできること
Pixel Foldでは、一般的なスマートフォンではできない、またはもっと便利になる折りたたみできるボディを活用した機能が利用できます。
画質の良いメインカメラで自撮り
Pixel Foldではボディを開いてカメラを自分に向けることで、ボディの外側に搭載されたカバーディスプレイで画角を確認しながら自撮り、超広角レンズを使ったグループショットができます。
三脚いらずで撮影
折りたたみの角度は自由なので途中まで開いたPixel Foldを机に置くと三脚いらずで撮影できます。
自撮りやグループショットはもちろん、手ぶれを完全防止できるので、長時間露光撮影や夜間撮影、天体撮影で大きな効果を発揮します。
快適なマルチタスキング・デュアルスクリーン
7.6インチの巨大なスクリーンを活用したマルチタスキングとデュアルスクリーンもPixel Foldの大きな特徴の1つです。
タスクバーから2つのアプリを上にドラッグするだけで画面が2分割されて、テレビ電話、リモート会議しながらChromeなど別のアプリを起動できます。2つのChromeを並べて商品比較も可能。
2つのアプリの間に引かれたバーを左右にスライドすると一方のアプリを縮小し、もう1つのアプリを拡大することもできます。
片側の画面に表示しているアプリの画像などを、もう片方の画面にドラッグ&ドロップできるため、例えば、右側の画面でGoogleフォトを起動してお気に入りの写真を左側のGmailやLINEなどにドラッグ&ドロップしてメッセージに添付するといったことも可能。
さらに内側のスクリーンを自分側に向けて喋ると、相手に向けた外側のスクリーンに翻訳結果が表示される便利な翻訳機能にも対応しています。
デュアルスクリーン機能は2023年秋に追加される予定と案内されていますが、おそらくAndroid 14のアップデートで提供されるでしょう。
折りたたみ向けのインターフェース
折りたたみ向けのインターフェースも用意されます。
画面を半分に折りたたんでYouTubeを視聴する場合は、折りたたみディスプレイの上半分で動画を再生して、下半分で動画の一時停止やスキップ、早送り・早戻し、再生位置の操作もできます。
50以上のGoogleアプリが最適化されている
折りたたみスマートフォンでハードウェアと同等またはそれ以上に重要なのがソフトウェアです。
どれだけハードウェアが優れていても巨大なスクリーンの一部にしかアプリが表示されなかったり、スマートフォン用のレイアウトが引き伸ばされただけで見るに耐えないものばかりであれば、25万円の価値を感じることはできず後悔するはず。
どれだけのアプリがPixel Foldに最適化されているかはわかりませんが、少なくとも50以上のGoogleアプリが最適化されているようです。例えば、最適化されたGmailでは、左側の受信ボックスからメールを選ぶと、右側に選んだメールの本文が表示されるようです。
価格と発売日
Pixel Foldは直営のGoogle Storeに加えて、ドコモ・au・ソフトバンクからも発売されます。
日本での予約受付は6月20日からスタートしています。当初、発売日は7月中旬と案内されていましたが、7月下旬に変更され、3社ともに7月27日に変更。
Google Store注文分も配送予定日が7月27日以降に変更されています。
2023年7月21日時点でポースレンの配送予定日は8月17日~8月23日、オブシディアンは7月27日~7月28日と案内されており、ポースレンの方が人気のようです。なお、ソフトバンクは7月14日以降の予約受付分については数ヶ月遅れる可能性があると案内しています。
Google Storeおよび携帯3社の販売価格・割引・キャンペーン内容は以下のとおりです。
docomo | au | SoftBank | ||
---|---|---|---|---|
機種代金 | 252,890円 | 286,080円 | 287,280円 | 253,000円 |
割引 | ー |
| のりかえ:21,984円 | ー |
端末購入サポート (残価設定額) | -102,960円 | -138,420円 | -143,640円 | なし |
キャンペーン | dポイント(期間・用途限定) 30,000ポイント | 20,000Pontaポイント | ー | 52,000円分のストアクレジット |
負担金 | 149,930円 |
|
|
201,000円 |
動画で見るPixel Fold
Pixel Foldのスペック
Pixel Foldのスペック | |
---|---|
デザイン | |
カラー | ObsidianPorcelain |
価格と容量 |
|
購入特典 | 52,000円分のストアクレジット |
大きさ |
|
重さ | 283 g |
カバーディスプレイ |
|
メインディスプレイ |
|
メインカメラ |
|
フロントカメラ |
|
写真機能 |
|
動画機能 |
|
チップ |
|
メモリ | 12GB |
電池持ち |
|
ワイヤレス充電 |
|
5G | ミリ波・Sub6 |
SIM |
|
Wi-Fi |
|
Bluetooth | 5.2 および デュアルアンテナ |
FeliCa | ⚪︎ |
防水 | IPX8 |
USB | 3.2 Gen 2 |
セキュリティ |
|
センサー |
|
アップデート保証 |
|
パッケージ内容 |
|
コメントを残す