人気のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」を開発するEpicがGoogleをトラスト法違反(独占禁止法違反)で訴えた裁判で、わずか数時間の審議の結果、陪審員が満場一致でGoogleの独占行為を認め、Epicが“ビクロイ”を勝ち取りました。
今回の裁判は2020年にEpicが最大3割の手数料ーーいわゆるGoogle税およびApple税を回避するために、フォートナイトに独自の課金システムを導入したことに対して、GoogleとAppleがポリシー違反を理由にGoogle PlayとApp Storeからフォートナイトアプリを排除したことに対するものです。
なお、AppleとEpicの訴訟は2021年9月の第1審は引き分けとなり、控訴審ではAppleが大部分で勝利(双方が上告)しています。Appleと違ってGoogleが敗訴した理由はどこにあったのでしょうか。
競争を許しながら競争を妨げたGoogle
Google Playストアそのものはアプリストアを独占しているわけではなく、AmazonもSamsungも独自のアプリストアを認めるなど、Googleが主張するようにオープンです。知ってのとおり控訴審で勝利と言える結果を収めたAppleはサードパーティのアプリストアを一切認めていません。
しかしながら、裁判が進むなかでGoogleが行ってきたいくつもの反競争的な行為をEpicが明らかにしてきました。
10年前の対Oracle訴訟で明らかになったMADA契約(すべてのAndroidパートナーに対して、Google Playストアをプリインストールしてデフォルトのホーム画面に配置することを求めるもの)が再び引っ張り出され、Androidメーカーとの収益分配プログラムも大きく取り上げられました。
この収益分配プログラムは、Androidメーカーに対してGoogle Playと広告収入の一部を分配するもので、利益率の高いプレミア層では、競合アプリのプリインストールが禁止されています。
実際にOnePlusはフォートナイトをダウンロードできるEpicのアプリストアを同社のスマートフォンにプリインストールすることを計画したもののプレミア層から外れることを理由に断念したそうです。
また、GoogleはSamsungに対して独自のアプリストアをホーム画面に置かないよう提案したものの拒否され、最終的にはGoogleのアプリストア、検索、アシスタントをデフォルト設定にすることを約束し、4年間で80億ドル(日本円で1.2兆円)を支払うことに同意したことも明らかにされました。
さらに、Androidのトップデベロッパーに対して数億ドルの収益を提供してGoogle Playストア以外でのアプリ提供を妨げる「Project Hug」の存在も明らかにされています。
つまり競争すら許さなかったAppleは裁判を有利に進めているのに対して、競争を許しながら競争を妨げたGoogleが負けたということです。陪審員の存在も判決を左右したかもしれません(EpicとAppleの訴訟に陪審員はいなかった)
Epicのリリースでは「今日の判決は世界中のアプリ開発者と消費者の勝利です。Googleのアプリストアに対するやり方は違法で、独占を乱用して法外な手数料を徴収して、競争を阻害し、イノベーションを低下させていることが証明された」とコメントされています。
また、Googleが数十億ドルを支払って代替となるアプリストアを抑圧することをいとわず、開発者に対して独自ストアやアプリのダイレクト配信することを放棄させるために金を払い、端末メーカーと有利な契約を結んでいた証拠も明らかになったしています。
敗訴したGoogleは判決を不服として控訴する方針を示しており、AndroidおよびGoogle Playが他の主要なモバイルプラットフォームよりも多くの選択肢を用意し、オープンであると主張しています。
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