Appleが日本時間6月8日に開催した開発者向けのビッグイベントWWDC2021の基調講演にてiPad向けの最新ソフトウェア・アップデート「iPadOS 15」を発表しました。
この記事では「iPadOS 15」の新機能や変更点、いつ配信されるのか、などまとめています。情報は随時更新します。なお、iPadOS 15にはiOS 15の内容も含まれます。iOS 15の新機能については別の記事で詳しく解説しています。
目次
- iPadOS 15の対応機種
- ホーム画面の好きな位置に「ウィジェット」を
- いらないアプリは「Appライブラリ」へ。ホーム画面の非表示も
- 大幅に進化したマルチタスキング
- メモ
- 共有メモがパワーアップ
- すぐにメモが取れる「クイックメモ」
- 新しいキーボードショートカット
- 翻訳アプリ
- iPadでiPhone/iPadアプリが開発できるSwift Playgrounds
- Macとの連携機能を大幅に強化する「ユニバーサルコントロール」
iPadOS 15の配信はいつ?
iPadOS 15は今年秋に正式版がリリースされる予定です。
なお、開発者向けにはベータ版が提供中。動作は不安定ですがいち早くiPadの新機能を体験できます。
iPadOS 15の対応機種
iPadOS 15の対応機種は以下のとおりです。A9チップを搭載したiPadであればiPadOS 15にアップデートできます。
iPadOS 15の対応機種 |
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12.9インチiPad Pro 第1世代 / 第2世代 / 第3世代 / 第4世代 / 第5世代 |
11インチiPad Pro 第1世代 / 第2世代 / 第3世代 |
10.5インチiPad Pro |
9.7インチiPad Pro |
iPad 第5世代 / 第6世代 / 第7世代 / 第8世代 |
iPad mini 第5世代 |
iPad mini 4 |
iPad Air 第3世代 / 第4世代 |
iPad Air 2 |
ホーム画面の好きな位置に「ウィジェット」を
iPadOS 15ではついにウィジェットをホーム画面の好きな場所に置けるようになります。昨年、iPhoneが先行対応してホーム画面のアレンジブームを起こした待望の新機能がiPadにもやってきます。
ウィジェットの追加はカンタン。ホーム画面を長押しして画面左上の「+」ボタンをタップしたらウィジェットライブラリが表示されるので好きなウィジェットをつまんでホーム画面に置くだけ。iPadならではの大画面ウィジェットが楽しめます。
いらないアプリは「Appライブラリ」へ。ホーム画面の非表示も
iPadにダウンロードしたすべてのアプリを確認できる場所「Appライブラリ」もiPadで使えるようになります。
利用頻度の少ないアプリや表示したくないアプリ、見られたくないアプリをライブラリに移動することでホーム画面を自由にアレンジできます。
アプリだけでなくホーム画面ごと非表示にすることも可能。一番最後のホーム画面を2枚目と入れ替えるといった操作にも対応しています。
大幅に進化したマルチタスキング
iPadの大画面を利用して複数のアプリを同時に起動・操作できるマルチタスキングが大きく進化します。
アプリの同時起動がカンタンに
iPadOS 15には画面上部に新しい「マルチタスキングメニュー」が表示されます。
メニューには全画面/Slide Ovew/Split View/Center windowのアイコンが並び、例えばSplit Viewのアイコンをタップすると表示中のアプリが最小化してホーム画面が表示されるので、同時に起動・操作したいアプリを選択すると最小化したアプリと選んだアプリが同時に起動します。
新しい「マルチタスキングメニュー」によってこれまでのiPadOSよりも格段にカンタンな操作でマルチタスキングを利用できます。
Split Viewのアプリ入れ替えもカンタンに
2つのアプリを同時に起動していてどちらかを入れ替えたい場合は、左右どちらかのアプリを下にスワイプするとホーム画面が表示されるので新しいアプリを選べばスムーズに入れ替えができます。
新しいセンターウィンドウが登場
マルチタスキングで起動しているメールアプリにて、受信したメールを長押しするとメールの内容を画面中央に大きく表示できます。
現在の場所から移動せず長文のメールをiPadの大画面で確認可能に。ここでもマルチタスキングメニューを使ってSplit ViewやSlide Overにカンタンに以降できます。
アプリを棚に入れて好きなときに取り出せる「シェルフ」
iPadOS 15には新しい「シェルフ」が追加されます。
シェルフは日本語で“棚”を表すとおり、起動中のアプリをシェルフに入れて、いつでも好きなときにアプリを取り出すことができます。
棚には複数のアプリを追加したり削除も可能。Split Viewごとシェルフに入れることもできます。
Appスイッチャーも強化
強化されたAppスイッチャーによってAppスイッチャーの画面にて特定のアプリを別のアプリにドラッグするだけでSplit Viewを作ることも可能になります。
新しいキーボードショートカット
新たに追加されるキーボードのショートカットによって指をキーボードから上げずに、新しいマルチタスキング操作ができます。
メモ
共有メモがパワーアップ
メモアプリで他の人と共同で作業をしているときに役立つメンション機能が追加され、共有しているメモに名前を追加するだけで相手にリンク付きの通知が届きます。
また、作業から離れていたときに共有メモに対してどのような変更が行われたのかを確認できる新しいアクティビティ機能も追加されます。
すぐにメモが取れる「クイックメモ」
iPadで電話番号など相手の連絡先などすばやくメモを取りたいときがあります。
iPadOS 15では、画面の端から中央に向かってスワイプするとクイックメモが起動するため、そのままキーボードで文字を入力したり、Apple Pencilで手書きでメモできます。
クイックメモは起動しているアプリケーションを認識しているため、例えばSafariを起動中にクイックメモを起動してメモを取って、画面のタップ操作だけでメモにウェブサイトのリンクをカンタンに追加できます。
クイックメモのリンクが追加されたページにアクセスすると、iPadの画面の端にクイックメモが表示されてメモの内容を確認しながらページを確認できます。ページの文章をメモするとその部分がハイライトで表示され、クイックメモからコピーした文章を選ぶとその場所にスクロールしてくれる便利な機能も備えています。
クイックメモをめくって複数のメモを確認することも可能。メモや確認が終わったらスワイプするとクイックメモは終了します。
翻訳アプリ
iOSに先行提供されていた翻訳アプリがiPadにも対応します。AppleによればiOSの翻訳アプリは1年間で数十億回の翻訳を行ったとのこと。
Apple PencilなどiPadならではの翻訳機能
iPad特有の機能としてApple Pencilによる文字入力やSplit Viewを使って英語ページなどを翻訳しながら読んだりすることもできます。
ボタン操作なしの自動翻訳機能
利用者が話している言語を認識して翻訳する自動翻訳機能も追加されます。返答するときにいちいちボタンを押す必要はありません。ただ喋っているだけで翻訳してくれます。
どの画面でもアプリでも翻訳可能に
iPadでテキストを選択したときに表示されるメニューに翻訳が追加されるので、Safariでもメールでもどこでも翻訳機能が使えるようになります。
写真に映っている文字さえも翻訳できます。
iPadでiPhone/iPadアプリを開発できるSwift Playgrounds
プログラミングを学ぶのに最適な「Swift Playgrounds」でSwift UIを使ったカンタンなアプリケーションの開発が可能になります。
書いたコードをすぐにライブプレビューで確認したり、改善されたコードの補完機能によってコードの入力を始めるとすぐに候補が表示されてスラスラプログラミングができます。
ほかにもすべてのUIを含むライブラリやそれに対応するガイドにもアクセス可能。アプリ開発初心者向けのガイドも揃っています。
開発したアプリはApp Storeの審査に提出して公開することもできます。これからはiPhoneやiPad向けのアプリケーションがiPad上で開発できるようになります。
Macとの連携機能を大幅に強化する「ユニバーサルコントロール」
Macユーザーにとって魅力的な機能がiPadOS 15に追加されます。それが新機能「ユニバーサルコントロール」です。
現行のiPadOSにもMacとiPadを組み合わせてMacで起動したアプリやウィンドウをiPadに移動したり、MacとiPadの両方に同じものを表示するミラーリング機能を利用できる「Sidecar」(サイドカー)を利用できますが、ユニバーサルコントロールはもっと強力です。
ユニバーサルコントロールでは、Sidecarでは不可能なMacのトラックパッドやマウス、キーボードを使ってiPadを操作できるようになります。
Macのトラックパッドを使ってカーソルを画面の端に移動すると、カーソルがMacとiPadを行き来してMacのトラックパッドでiPadのアプリを起動したり、Command+Tabキーでアプリを切り替えることも可能。ドラッグ&ドロップにも対応しているので、iPad上でApple Pencilを使って描いたイラストをカンタンにMac上に移動できます。
ユニバーサルコントロールは最大3台まで対応しているので、iMac⇔MacBook⇔iPadを連携させることも可能。例えばiPadで描いたイラストをドラッグ&ドロップを使ってMacBookを経由して、iMacに移動できます。
ユニバーサルコントロールに対応するiPadとMacは以下のとおり。
- MacBook Pro(2016以降)
- MacBook(2016以降)
- MacBook Air(2018以降)
- iMac(2017以降)
- iMac(27インチ5K Retina、Late 2015)
- iMac Pro、Mac mini(2018以降)
- Mac Pro(2019)
- iPad Pro
- iPad Air(第3世代以降)
- iPad(第6世代以降)
- iPad mini(第5世代以降)
また、すべてのデバイスで2段階認証を使って同じApple IDでサインインしている必要があります。ワイヤレスで利用する場合はBluetooth、Wi-Fi、Handoffがオンになっていてデバイス同士の距離が10メートル以内にある必要も。USBで接続して利用することもできます。
iPadとMacでモバイルデータ通信とインターネット接続の共有は「しないでください」と案内されています。
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