調査会社のMM総研が2021年3月末時点における国内MVNO市場の調査結果を発表した。
調査結果によると“独自サービス型SIM”ーーいわゆる格安SIMの回線契約数は1261.6万回線で前年同期と比較すると15.9%の大幅減を記録。マイナスを記録したのは今回が初めてとなった。
大幅なマイナスを記録した理由は?
格安SIMの契約数は2014年3月末から右肩上がりで成長を続けていたが、2021年3月末は前年から238.9万回線の純減となり2019年3月末時点を下回った。
大幅なマイナスを記録した理由は2つ。1つは高いシェアを誇っていた楽天モバイルが2020年4月にMNO市場に参入したこと。MVNOからMNOへの移行が増えるなどしてMVNOのユーザーが減少した。
もう1つは昨年10月にUQ mobileがKDDIに統合され、MVNOからサブブランド化したことが挙げられる。これによって今回から調査対象外となった。
シェア1位は法人やIoTで好調のIIJmio
UQコミュニケーションズに代わって格安SIMの事業者シェアで1位を獲得したのはIIJmioを提供するインターネットイニシアティブ。個人向けでは苦戦をしているもののIoTを含む法人分野で順調に回線数を伸ばしたという。
2位はOCNモバイルONEを提供するNTTコミュニケーションズ。goo Simsellerで実施される端末と回線をセットにした激安セールやフルMVNO基盤を活用したIoT向け回線も好調とのこと。
3位の楽天モバイルはMNOの開始に伴いMVNOの新規受付を終了していて、移行を促すキャンペーンを継続していることから今後もMVNOからMNOへの移行が進んでいくことが予想される。2021年3月9日にMNOの契約申し込み数が300万回線を突破しているが、MM総研はこのうち60万超がMVNOからの移行と予想している。
2023年に増加期待も格安SIMの厳しい状況
格安SIMの契約数はIoT向けの用途は大幅な成長が見込まれるものの、スマートフォン向けのサービスについてはキャリアの料金値下げやahamo/povo/LINEMOといったオンライン特化プラン、UQ mobileやY!mobileの値下げ・料金改定などの攻勢、楽天モバイルにおけるMVNOからMNOに移行などによって今後も純減が続くとMM総研は予想する。
その一方で主要MVNOが打ち出した新料金プランは価格優位性が高いことから楽天モバイルのMVNO→MNOの移行が一巡する2023年度以降は再び増加が期待されるとのこと。
ただし、主要3キャリアは他社や他ブランドにのりかえる際に必要なMNP転出手数料を無料にし、同じ事業者の他ブランドおよび料金プランに変更する際に必要な事務手数料や契約解除料も0円に変更。KDDIはauとUQ mobileの両方を取り扱うショップをスタートさせるなど、MNOからの流入はこれまでのように行かないことが予想される。
消費者向けのスマートフォンサービスは生き残りが難しく、今後生き残っていくためにはIoTや法人分野に活路を見出すことになりそうだ。
- | 株式会社MM総研
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