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Snapdragon 8+ Gen 1、発熱問題が解消されていないとの検証結果

Yusuke Sakakura

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ブログメディア「携帯総合研究所」を運営しています。学生時代に開設して今年が16年目。スマートフォンの気になる最新情報をいち早くお届けします。各キャリア・各メーカーの発表会に参加し、取材も行います。SEの経験を活かして料金シミュレーターも開発しています。

2022/05/23 18:45
Snapdragon 8+ Gen 1、発熱問題が解消されていないとの検証結果

Qualcommがフラグシップスマートフォン向けのチップセット「Snapdragon 8+ Gen 1」を発表しました。

処理性能と描画性能が10%向上し、電力効率が15〜30%改善されたことで、より快適な動作と電池持ちの向上が期待できます。

期待されているのは前モデルで問題視された発熱です。製造がSamsungからTSMCに変わってことで発熱問題の解消が期待される一方、設計したARMの問題であることから製造を変えても変わらないといった指摘もあります。

同チップの発表イベントに参加したAndroid Authorityは、両チップセットを搭載したリファレンスモデル(製品版とは異なり、最適化などの改善がされていないモデル)を用いた比較を行い、発熱問題に懸念を示しています。

AnTuTuのベンチマークスコアはわずか3%程度の向上に

性能を数値化するベンチマークスコアでは、Geekbench 5においてシングルコアが6.4%、マルチコアが12.3%向上し、CPUだけでなくメモリやGPUといったシステム全体の性能を数値化するAnTuTuやPCMarkにおいては3%程度の向上に留まっています。

快適なゲーム体験に影響のあるグラフィックについては、瞬間的な描画性能を計測する3D MarkのWildlifeにおいて4.6%向上しているとのこと。

わずか数パーセントの向上のため、少なくとも性能向上だけを目的に買い換える必要はなさそうです。裏を返せば数ヶ月後に発売されるフラグシップスマートフォンを待たず、今すぐ買っても大きな後悔はしないということです。

Snapdragon 8+ Gen 1に大きな性能アップは期待できず?

Snapdragon 8 Gen 1を搭載した製品版のスマートフォンは、同チップを搭載したリファレンスモデルほどのスコアを記録していないと指摘しています。つまり、各メーカーは電池持ちや発熱などを考慮して、Snapdragon 8 Gen 1本来のパワーを抑えて製品化しているということです。

最新のチップセットでの傾向を確認するために、Snapdragon 8+ Gen 1を搭載したエンジニアリングデバイス(リファレンスモデルよりも製品版に近しい位置付け)の「Asus ROG SM8475」と、同モデルに収録された性能を最大化するゲーム用のXモードオンを用いて検証しています。

Geekbench 5では、Xモードオフ時でもマルチコアのパフォーマンスは変わらなかったものの、シングルコアは大きくダウン。AnTuTuやPCMarkにおいては、XモードをオンにするとRedMagic 7を上回り、Snapdragon 8 Gen 1を搭載したリファレンスモデルに近いスコアを記録したものの、Xモードオフ時はGalaxy S22 Ultraなど今年発売されたモデルと大きな違いはない、またはそれ以下のスコアを記録しました。

ASUSも含めて各メーカーが製品版でどういった判断をするのかわかりませんが、電池持ちと発熱を犠牲にしてチップセットをフルパワーで提供するでしょうか。

発熱と性能維持の問題は解消していない

Snapdragon 8 Gen 1の大きな問題は発熱でしたが、最新のSnapdragon 8+ Gen 1では、製造をSamsungからTSMCに変えたことで、この問題が解消するかも?と期待されています。

Android Authorityは、ゲームプレイ時など発熱時の性能を数値化できる3D MarkのWild Life Stress Testを使用して発熱問題を検証しています。同テストは20回という多数かつ長時間の負荷をかけて発熱時のパフォーマンス・電池の消費量・発熱の変化を計測するものです

パフォーマンスにおいては、Xモードのオン・オフに限らず3回目までは同じスコアを計測したものの、Xモードオフ時では、4回目以降のパフォーマンスがSnapdragon 8 Gen 1を搭載したデバイスを下回るほど大きく低下しています。かつ不安定で12回目以降は一度もSnapdragon 8 Gen 1を搭載したデバイスを上回っていません。

また、発熱においては37℃に対して50℃、バッテリーの消費量は-8%に対して-15%を記録したとのこと。

あくまでも今回の検証は製品版ほど最適化されていないASUSのエンジニアリングデバイスによるものですが、製造をTSMCに変えたり電力効率の改善など最新チップの変更によって、発熱および長時間使用時の性能が大きく解消されたとは考えにくい結果です。むしろクロックアップが火に油を注ぐことになりかねないとAndroid Authorityは指摘しています。

何度も繰り返しますが、今回の結果は製品版を用いたものではないため、チューニングや発熱対策など各メーカーの取り組みによって解消される可能性が残されています。初期の検証結果としては大きな不安を残すものであることは間違いありませんが、最終的な評価は製品版が出てくるまで確定しません。ただ、実際に購入する場合は事前にレビュー記事やクチコミを確認するなど、少し慎重になった方が良さそうです。

コメント
  • Anonymous
    3年前
    iphone 7くらいでしたっけ、APPLE社が同じチップセットをTSMCとSamsungで作らせてましたが、Samsung製の方はチップとしての効率悪いのか同じ処理させるとバッテリー消費が10%くらい悪かった記憶が。 ハズレ個体と呼ばれて交換申込者続出だったはず。初期不良ではないので交換はしてもらえなかったようですが
  • Anonymous
    3年前
    「X-modeを使うと爆熱だー!オワタオワタ!」って 「オーバークロックすると発熱量が上がる!」レベルの話じゃないすか 当たり前すぎてナントモ
    • Yusuke Sakakura
      3年前

      話のレベルではなく観点がまったく違います。

      この比較で重要なのは、Xモードを使うと発熱量が上がるという当然の話ではなく、前世代のS8G1と同じように電池持ちや発熱を考慮して、各メーカーがS8+G1をクロックダウンして出荷するのかどうか予測するというものです。

      そして、ASUSの場合は製品版により近いエンジニアリングデバイスにおいて、Xモードオン時にリファレンスモデルに近いスコアを記録し、Xモードオフ時に性能を大きく下回ったことから、製品版もクロックダウンする可能性が高いのではないかということです。

      オーバークロックという表現から、おそらく比較対象をXモードオン、オフの性能と捉えていると思いますが、正しい比較対象は、ピュアなチップセットの性能が出るリファレンスモデルと、メーカーの手が入ったエンジニアリングデバイスのXモードオン、オフの性能です。

  • Anonymous
    3年前
    発熱対策に期待!
  • Anonymous
    3年前
    発熱異常のチップはいらないです。
  • Anonymous
    3年前
    SD888や8Gen1、8+Gen1の中ではハズレと言われたSD888が一番まともかも知れない。 明らかにSoCの冬の時代だな。
    • Anonymous
      3年前
      今となってはSD870が一番の当たり
  • Anonymous
    3年前
    性能は充分だから、発熱対策に力を注いでくれ。
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