消費者からの通報によってiPhoneなどスマートフォンの違反販売が横行していることが明らかになりました。
違反行為は22,000円を超える割引などの利益を提供しながらも、携帯回線とスマートフォンのセット購入に限定し、スマートフォンの単体販売を拒否するというもの。総務省によれば2021年9月から2022年2月末までに寄せられた通報だけでも701件あったとのこと。
代理店「インセンティブが下がるためニーズに合わないオプションを案内するしかない」
701件の通報のうち電気通信事業法(第27条の3)違反が疑われる行為は352件で、ドコモが62件、KDDIが130件、ソフトバンクが139件、楽天が3件、キャリア不明が18件です。
100店舗ごとの通報件数(通報率)はキャリアショップの1.8件に対して、家電量販店の通報率は14.3件と約8倍にも及んでいて、総務省は「実際の店舗数を考慮した場合、キャリアショップに比べて量販店等に関する事案の比率が極めて高い傾向」と指摘しています。
公開された通報内容はiPhoneに関するものがほとんどで、端末単体販売用の在庫がないと販売を拒否されたり、端末単体販売時に割引が適用されなくなったり、22,000円を超える割引を提供するといった内容です。
iPhone 12 miniを端末単体で購入したい旨を伝えたところ、回線契約をする人に販売するため、端末単体では販売できないと販売を拒否された
iPhone SE 64GBの本体のみを購入しようとしたところ、本体のみの購入は在庫がないためできないと回答あり。 乗り換えや新規契約用の在庫はあるとのことだった
案内された料金プランだと厳しいため端末だけを購入したいと伝えたところ、その場合はキャンペーンとして行っている端末購入のみ条件の割引が適用されず、定価でしか販売できないの一点張りだった。
MNPでiPhone SE 64GB 一括10円(対象機種限定特典33260円割引+MNP割引22000円)のキャンペーンを実施していた。 新規契約でも一括10円と案内を受けて順番待ちをした。しかし、順番になったところで新規ではなく単体で購入したい旨を申し出ると、単体購入ではキャンペーンが適用できないと拒否を受けた。
店前のPOPにはMNPで端末1円、端末購入のみだと22,001円になると案内があるのに、端末単体購入の旨を伝えるとおよそ35,000円になると言われた。通信契約込みだと22,000円以上の割引になるのかと問い合わせたが相手にされなかった。
Google Pixel 4a(5G)が新規/乗り換えで一括1円と店頭の広告に記載。端末の在庫があることを確認したのち単体での購入を希望したところ「回線契約がないと定価での販売」になると断られた。セット販売時の最大値引き可能額は22,000円なので移動機物品販売でも22,001円になるのではないかと指摘しても同じことを繰り返し説明する。「回線契約すれば一括1円、契約なしだと定価販売。SoftBankがそう決めている」と説明され、在庫は存在するのに購入できなかった。
総務省は携帯電話の料金高止まり防止を目的に、2019年10月に電気通信事業法の一部を改正。
これにより回線とスマートフォンをセット購入時の利益提供(割引など)を上限22,000円に制限されましたが、例外としてセット購入と端末単体販売の利益提供が同じ条件である場合は、22,000円を超える割引等が認められています。
しかしながら消費者からの通報によってガイドラインを守らないままスマートフォンを販売する「違反販売」が主に家電量販店で横行していることが明らかになりました。
消費者だけでなく代理店からは「オプションなどの加入率が評価指標となっていて、指標が不十分な場合はインセンティブが下がることから、利用者ニーズに合わないオプションを案内するしかない」との通報もあったとのこと。
昨年5月、事業法改正による影響について総務省が事業者にヒアリングを行ったところ、Apple Japanは日本の5G普及率が韓国などに比べて低いことから普及を拡大させるために、5G対応スマートフォンについては端末値引きの上限から除外するよう要望。
ドコモは値引きが制限されたことで「端末販売数は減少傾向」と答え、制限前と比べて21年2月までに1割程度端末販売数が減少していると説明。KDDIは新型コロナ感染拡大の影響もあって「端末販売数は減少」と説明していました。ソフトバンクは「改正法施行後も端末販売数に大きな変化はない。中~低価格帯端末の構成比が増加」していると回答していましたが、今回明らかになった通報件数は主要4キャリアのなかで最も多くなっています。
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