海外で先行提供されていた「YouTube Premium」と「YouTube Music」がついに日本に上陸した。YouTubeの動画と音楽を広告なしで楽しめる2つのサービスは大きな注目を集めているが、料金設定でもまた違った注目を集めている。
Androidに比べて30%も高いiOS登録版の「YouTube Premium」
「YouTube Premium」と「YouTube Music」の料金は以下のとおり。いずれもiOSアプリで登録した場合は約30%の料金が上乗せされている。YouTube Premium | YouTube Music | |||
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Android / ウェブ | iOS | Android / ウェブ | iOS | |
基本プラン | 1,180円 | 1,550円 | 980円 | 1,280円 |
ファミリープラン | 1,780円 | 2,400円 | 1,480円 | 1,980円 |
この料金上乗せにはApp Storeのサブスクリプションサービスに課せられる手数料が関係しているようだ。
質疑応答ででましたが、そのとおりだとの回答です。 https://t.co/WgbXcOiuHA
— 中山智 (@yenma) 2018年11月14日
実質的な30%の手数料逃れ
AppleはApp Storeでサブスクリプションを提供する開発者に対して30%の手数料を課している(サブスクリプションが1年間更新されると15%に減額される)が、Googleは30%の手数料分を値上げしてサービスを提供することで実質的に手数料の支払いから逃れることができる。
App Storeを介さずにサブスクリプションサービスを提供すればいいのでは?と思うかもしれないが、AppleはYouTube Premiumのような「複数のプラットフォームで動作するサービスにおいて、別の場所(アプリ以外のウェブなど)で購入・契約したサブスクリプション等はApp内課金アイテムとしても購入できるようにしなければいけない」ことをガイドラインに明記していて、App内課金以外の購入方法に誘導するとアプリが審査を通らずいわゆるリジェクトされてしまう。過去にはSpotifyがアプリから課金システムを削除し、ウェブからの登録を誘導したとみなされてリジェクトされている。
3.1.3(b)マルチプラットフォームサービス:複数のプラットフォームで動作するAppでは、ユーザーが別の場所で入手したコンテンツ、サブスクリプション、機能にアクセスできるようにすることができます(マルチプラットフォームのゲームにおける消耗アイテムなどを含む)。ただし、そうしたアイテムをApp内のApp内課金アイテムとして購入できるようにする必要があります。iOSユーザーをApp内課金以外の購入方法に直接または間接的に誘導したり、他の購入方法について発信する情報を通して、ユーザーがApp内課金を利用する意欲を低下させたりすることは禁止されています。
Apple Musicは同額でAndroid登録版を提供
Googleが行ったのは収益性も減らさず、Appleのガイドラインにも抵触しないずる賢いやり方だ。手数料をユーザーに課すのは優しくないと思うかもしれないが、登録手段における料金の違いはあっという間に広まるはず。Googleは1ヶ月または3ヶ月の無料トライアル期間も提供しているため、登録後に料金の違いに気づいたユーザーは無料期間が終わったらサブスクリプションを解約してウェブから契約しなおせば損をすることもない。
こういった手数料逃れの提供方法はすでに他のデベロッパーもやっていることだが、Googleがやったことで今後同じ方法でサブスクリプションを提供するデベロッパーが増えるかもしれない。また、Apple MusicをiOSとAndroidで同額で提供しているAppleは報復行為としてAndroid版の料金を30%値上げするのだろうか。今後の動きどういった影響を与えるのか注目だ。