日本時間9月9日、GoogleがPixelスマートフォン(Pixel 2以降のモデル)とOnePlus、Xiaomi、OPPO、Realmeのデバイス向けに「Android 11」を公開しました。
今回のメジャーアップデートではプライバシー、コントロール、コミュニケーションが強化されています。待望の画面録画機能も追加されました。この記事では「Android 11」の新機能と変更点をまとめています。
目次
- 配信スケジュール
- 対応機種
- ワンタイム・パーミッション
- 5Gを強化
- パンチホールデザインに対応
- メール・チャットのやりとりが便利に
- カメラ撮影中の通知によるブレ防止
- 新しい電源メニュー
- 新しいメディアコントロール
- おすすめアプリの提案
- 画面録画が可能に
- 機内モードでBluetooth強制切断を解消
- サイレント通知の改善
- その他
- 未発表の新機能・変更
配信スケジュール
Android 10ではデベロッパープレビュー版が廃止になりましたが、「Android 11」は3つずつのデベロッパープレビュー版(DP版)とベータ版が公開されたのち、2020年第3四半期(7月〜9月)に正式配信される予定でした。
- デベロッパープレビュー1
- 開発者のフィードバックにフォーカスした初期ビルド。新機能やAPI、動作変更を実施。
- デベロッパープレビュー2
- 追加の新機能やAPI、動作変更を提供
- デベロッパープレビュー3
- 安定性とパフォーマンスを改善
- ベータ1
- Android BetaによるOTAアップデートの提供
- ベータ2
- 最終版のAPIを提供
- ベータ3
- リリース候補のビルド
- ファイナルリリース
- 正式配信
対応機種
デベロッパープレビュー版の時点で利用できたのはPixel 2シリーズ以降のPixelスマートフォンのみです。今回から初代Pixelシリーズがアップデート対象外になっています。
DP版Android 11のインストール方法はこちらで詳しく解説しています。
なお、サードパーティ製ながらAndroidのOSアップデートをいち早く適用できた「Essential Phone」は、開発会社の活動終了にともないアップデートの提供も終了しました。
- Pixel 2
- Pixel 2 XL
- Pixel 3
- Pixel 3 XL
- Pixel 3a
- Pixel 3a XL
- Pixel 4
- Pixel 4 XL
ワンタイム・パーミッション
Android 10では、アプリがGPSなどの位置情報にアクセスする時に“アプリを使用している間だけ許可する”オプションが追加されました。Android 11では“今回のみ”許可するワンタイム・パーミッションが追加されます。
これによりアプリがアクセス権を要求する時の選択肢はアプリの使用時のみ/今回のみ/許可しないの3択になり、常に許可する場合は設定画面から変更する必要があります。
ワンタイム・パーミッションは位置情報だけでなくカメラやマイクなどプライバシーに関わるものにおいて有効。なお、アプリを長期間使用していない場合はアクセス権限がリセットされてもう一度許可する必要があります。
プロジェクトMainlineの拡大
Android 10で導入されたプロジェクトMainlineがアップデートされます。
プロジェクトMainlineは、Androidのセキュリティを確保するために重要なアップデートをGoogle Playから直接適用できるというもの。Googleが特定のコンポーネントを変更するにあたってデバイスメーカーがシステム全体をアップデートする必要がなくなるため常に最新の状態、高い整合性をキープできます。
プロジェクトMainlineの対象モジュールは限定的でしたが、Android 11では12個の新しいモジュールが追加され、合計22個のモジュールが対象になっています。
5Gを強化
いよいよ日本でも今年から本格開始となる5G。Androidは昨年から対応していますが、Android 11でさらに強化されます。
5Gでは基本になるとされているデータ使い放題のプランを契約しているかを確認して、よりデータを消費する高解像度・高品質の映像を動的に提供できるようになります。また、5Gにおける上り/下りの帯域幅をカンタンにチェックできるとのこと。
パンチホールデザインに対応
昨年からAndroidデバイスにおいて増加傾向にある“パンチホール”と“ウォーターフォール”に対応します。
パンチホールはフロントカメラの際までディスプレイが伸びたデザインで、ウォーターフォールはディスプレイの両エッジ滝のように落ちたデザインのこと。例えば、Galaxy S20シリーズはパンチホールとウォーターフォールを両方採用しています。
Android 11では既存のAPIを使うことでアプリ側でパンチホールおよびウォーターフォールスクリーンを管理できるようになります。ウォーターフォールにおいては新しいAPIを利用することでエッジ部分の表示やタッチの誤入力を防ぐことが可能になります。
メール・チャットのやりとりが便利に
メールやメッセージのやりとりをスムーズにするインターフェースが追加されます。
正式版のAndroid 10に実装されたなかった“ふきだし”が「バブル」として正式に追加されます。メールなどの通知を受け取ると一番手前に吹き出しが表示され、そのままトークの履歴を確認して返信ができます。吹き出しはあわのような小さい丸型のアイコンとして縮小表示することも可能です。
また、通知からメッセージを直接返信する場合、これまではテキストや絵文字を入力できましたが、画像の貼り付けも可能になります。Chromeで画像をコピーしてGboardのクリップボードからメッセージアプリなどに直接ペーストすることも可能になりました。
カメラ撮影中の通知によるブレ防止
カメラで写真や動画を撮影している時に、着信やアラーム、通知があるとスマートフォンが震えて手ブレのようになってしまうことがありましたが、撮影中はバイブレーションをオフにできるAPIが追加されます。
新しい電源メニュー
これまでは電源ボタンを長押しすると画面の右端に電源を切る、再起動、ロックダウン、画面の保存、緊急通報が表示されるだけでしたが、Android 11の新しい電源メニューではGoogle Payに追加したクレジットカードや電子マネー、Google Homeに追加したスマート家電にすばやくアクセスして家電を操作することが可能になります。
新しいメディアコントロール
動画や音楽を再生するとクイック設定パネルにメディアコントロールが表示されるようになります。
音楽や動画のコントロールボタンとしてシークバーや再生/停止、スキップ、グッドボタン、バッドボタンが表示されるほか、音声の出力先(イヤホン/スピーカーなど)を簡単に変更することができます。
おすすめアプリの提案
Pixelスマートフォンのホーム画面である「Pixel Launcher」では、新たにおすすめアプリの提案が追加されました。
おすすめアプリの提案はホーム画面の下部に固定表示されるドックに適用されるもので、ユーザーが使いたいと考えるアプリを提案します。
例えば、デフォルトで配置されたカメラアプリをドックから削除すると別のアプリが自動で配置されます。自動で配置されたアプリはピン留めすることも可能です。
画面録画が可能に
Android 11 DP版に画面録画が復活。今回はちゃんと録画できる#Android11 pic.twitter.com/FvMYf4lpVp
— Yusuke Sakakura🍎携帯総合研究所 (@xeno_twit) February 20, 2020
Android 10で追加されながらも不具合が多く実装されなかった「画面録画」がついにAndroid 11で追加されました。使い方は以下の記事で詳しく解説しています。
機内モードでBluetooth強制切断を解消
ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながら搭乗して機内モードをオンにするとイヤホンが切断されるということがあったかもしれません。Android 10までは機内モードをオンにするとBluetoothが強制的に切断される仕様でした。Android 11ではイヤホンを接続している状態で機内モードをオンにしてもBluetoothが切断されず、そのまま利用することが可能です。
サイレント通知の改善
Android 10で追加された「サイレント通知」が改善されます。
サイレント通知は通知時に音を鳴らさず、バイブレーションも振動させないものの、通知画面には表示される通知のこと。
Android 11では、サイレント通知を非表示にできるオプションが追加され、履歴を確認できるショートカットボタンが追加されます。
その他
- ニューラルネットワークAPI 1.3
- HEIFの対応強化
- HEIFのデコードとアニメーションに対応。開発者は小容量かつネットワークに負荷をかけずにアニメーションをアプリで表示可能に
- ネイティブな画像デコーダー: JPEG、PNG、WebPなどに対応したネイティブデコーダーを収録。外部のライブラリが不要に
- メタタグによるポートレートモードの要求
- 低遅延を実現する動画デコーディング
- HDMI接続時の低遅延モード
未発表の新機能・変更
以下はGoogleが正式に発表していない新機能です。正式版に実装されるかわかりません。
全画面スクリーンショット
対応が噂されていた全画面スクリーンショットは残念ながらAndroid 11では実装が見送られることになりました。ただし開発は継続するため次世代のバージョンで追加される可能性はあります。
新しいジェスチャー(背面をダブルタップ)
Pixel専用の機能としてコードネーム“コロンブス”と名付けられた新しいショートカットジェスチャーが追加されました。
現在のPixelでは、「OK Google」「Hey Google」やスマホの本体を少しだけ強く握ったり、斜め上にスワイプすることでGoogleアシスタントをショートカットで起動することができましたが、“コロンブス”によって新たに背面を2回タップすることで様々な機能にアクセスできるようです。
- スクリーンショットの撮影
- アプリスイッチャー
- タイマーの終了
- カメラの起動
- Googleアシスタントの起動
- メディアの再生、停止
- ステータスバーの折りたたみ
- 着信拒否
- アラームのスヌーズ
- 通知のピン解除
- ユーザーが選択したアクションの実行
ダブルタップはジャイロスコープと加速度センサーを使って検出するためすべてのPixelで利用できるはずです。デベロッパープレビューの段階では誤動作することも多いようですが、将来的に感度調節が可能になるとされています。ただし、正式版のAndroid 11には実装されませんでした。