11月6日(金)からAppleのコンパクトなスマートスピーカー「HomePod mini」の予約受付がスタートします。
優れたスピーカーとマイクを備えた大型の「HomePod」とコンパクトでどこでも置きやすい「HomePod mini」の購入を迷っている人も多いはず。
この記事では性能を抑えながら1万円の手ごろな「HomePod mini」と優れた性能で高音質で楽しめる「HomePod」にどういった違いがあるのか比較・解説しています。
目次
デザイン・サイズ
「HomePod」は筒状の形、「HomePod mini」は植木鉢似た形のボディを採用。家のどんな場所にもフィットするよう設計されたデザインは継ぎ目のないメッシュ生地で覆われています。
トップにはバックライト付きのTouchサーフェスを搭載。タップすることで音量の調整や音楽の再生/一時停止、曲のスキップが可能。「Hey Siri」と呼びかけるとサーフェスが優しく光ってHomePodが反応していることを知らせてくれます。
大きさは「HomePod」が高さ172mm、幅142mm、「HomePod mini」が高さ84.3mm、幅97.9mm。以下は「HomePod」の横に「HomePod mini」をARで並べた写真です。
- 高さ:172mm
- 幅:142mm
- 重さ:2.5kg
- 高さ:84.3mm
- 幅:97.9mm
- 重さ:345g
スピーカー
高偏位ウーファと7つのツイーターアレイを搭載する「HomePod」に対してコンパクトな「HomePod mini」はフルレンジドライバとデュアルパッシブラジエーターを搭載しています。
通常スピーカーは高音用と低音用で別々にユニットが必要ですが、「HomePod mini」のようなコンパクトスピーカーには1つのユニットで高音と低音を出力できる省スペースに優れたフルレンジドライバが搭載されています。
デュアルパッシブラジエータは、電磁気回路でスピーカーを振動させるのではなく本体内で発生する空気振動を利用してスピーカーを動作させるコンパクトスピーカーに多く採用されている仕組み。「HomePod mini」の場合は電磁気回路を備えるフルレンジドライバが本体内で空気振動を起こし、2つのパッシブラジエータが振動して音が発生します。
一方で「HomePod」は、より大きな本体に高音用のツイーター7つのアレイと低音用の高偏位ウーファーを搭載。それぞれのツイーターにはアンプが搭載されていて優れた方向制御によって音の反射を抑えてダイレクトにサウンドを届けてくれます。
もちろんHomePodはHomePod miniよりも高性能です。特に音量、音圧の面でアドバンテージが大きいので利用用途に合わせて選びましょう。
- 7つのビームフォーミングツイーターのアレイ
- 高偏位ウーファー
- コイルの振動幅の偏位を大きくすることでコンパクトながら低音を響かせることが可能
- フルレンジドライバ
- デュアルパッシブラジエーター
コンピュテーショナルオーディオ
HomePodなどのスマートスピーカーにおいて音質を決めるのはスピーカーの性能だけではありません。
HomePod miniの発表イベントでAppleがしきりにアピールしていたのがAI(機械学習)による高音質化を指す「コンピュテーショナルオーディオ」です。
コンピュテーショナルオーディオはAppleが設計したプロセッサとソフトウェアの組み合わせで実現されるもので「HomePod mini」ではコンパクトスピーカーから大音量を出すために使用されています。
具体的には人間の耳に音が届く前にHomePod miniが音楽の特性を解析して音量を最適化するというもの。
音量を最適化する優れたダイナミックレンジの調整機能がなければ、小さな音にレンジを合わせて大きな音が爆音になったり、逆に大きな音に合わせると小さな音は聞こえなくなるほど小さくなりますが「HomePod mini」はドライバーとパッシブラジエータの動きをリアルタイムで制御することでコンパクトスピーカーながら聴いたことのない音量を実現。
「HomePod」には、より高性能なA8チップが搭載されていて部屋のレイアウトを自動で認識する空間認識とビームフォーミングによって、部屋のどこにいても、どこに置いても最適な音が楽しめます。また、エコーキャンセリングによってHey Siriの高い認識精度を実現しています。
「HomePod mini」には自動認識機能は搭載されていませんが、本体内で空気を共振させることで大きな音のエネルギーを作り、本体底部から音を響かせることで360度の臨場感あるオーディオ体験を実現して部屋のどこに置いても一貫したサウンドが楽しめます。
- A8
- 空間認識
- ビームフォーミング
- エコーキャンセリング
- S5
- ダイナミックレンジの調整機能
U1チップ
「HomePod mini」には、HomePodにはない数少ない要素があります。それが「U1チップ」です。
U1チップはGPSやBluetooth、Wi-Fiを利用するよりも遥かに高い精度で対応デバイスの現在地を検出できるというもの。
「HomePod mini」の場合は新しいハンドオフ機能にU1チップが使用されます。現在も音楽を再生中のiPhoneをHomePodに近づけると、音楽をHomePodで再生できるハンドオフ機能が備わっていますが、「HomePod mini」ではU1チップを使用することで視覚・聴覚・触覚の効果が得られてiPhoneと「HomePod mini」が物理的に接続されているかのような体験が加わります。
なお、iPhone側にもU1チップが必要となるため、新しいハンドオフ機能に対応するのはiPhone 11シリーズ以降のモデルになるはずです。Apple Watch Series 6も対応するかもしれません。
ちなみに、AppleはU1チップを搭載した紛失防止タグ「AirTag」を開発しているとの噂もあることから「HomePod mini」と連動した機能が提供される可能性があります。ただ、その時には新型HomePodもあわせて登場するかもしれません。
ステレオペア
HomePodシリーズでは1つの部屋に2台を置いてペアリングするだけで左右のチャンネルを持つステレオサウンドを実現できる機能「ステレオペア」を利用することができます。
リビングなど広い空間でステレオサウンドを楽しみたいのであれば「HomePod」を、デスクの上など限られたスペースでステレオペアを構築するのであれば「HomePod mini」が良いでしょう。
なお、ステレオペアを構築できるのは同じHomePod同士である必要があります。つまり、「HomePod」と「HomePod mini」の組み合わせではステレオペアを構築できないので注意が必要です。
ステレオペアに似た機能として「マルチルームオーディオ」がありますが、これはHomePodなどAirPlay 2に対応したワイヤレススマートスピーカーを同期して音楽やポッドキャストなどをストリーミングするというもの。例えば、家中に置いているAirPlay 2対応のスピーカーから同じ曲を流したり、グループごとに流すことが可能です。
ホームシアター
空間認識機能に対応している「HomePod」は、ストリーミングプレイヤーの「Apple TV 4K」と組み合わせて使用することで没入感のあるホームシアター体験が楽しめる新機能が追加される予定と報じられています。
ホームシアター機能を利用することで5.1サラウンド、7.1サラウンド、Dolby Atmosといった臨場感のあるサウンド体験を実現する機能です。
Apple TVユーザーにとって魅力的なホームシアター機能ですが、サラウンドオーディオを実現するために空間認識機能が必須なようで「HomePod mini」では利用できないようです。
ただ、2台をApple TVに接続してステレオサウンドを構築できるため、そこまでのサウンド体験を望んでいない場合は2万円で2台購入できる「HomePod mini」を選択するのが良いでしょう。
マイク
Siriを呼び出す起動ワード「Hey Siri」、その後に続く指令を聞き取るマイクにも性能の違いがあります。
4つのマイクを搭載する「HomePod mini」に対して「HomePod」は6つのマイクを搭載。複数のマイクが連携してノイズを遮断することで実現した聞き取り精度は「HomePod」とその他スマートスピーカーの大きな違いのひとつで「HomePod」の聞き取り精度は高く評価されています。
通常時はもちろん音楽をそれなりの音量で流している時や「HomePod」から離れている時でも聞き取り精度は高く大きな声を出さなくても正確に聞き取ってくれます。
「HomePod mini」の認識精度についてまだどれほどのものかわかっていませんが、普通に考えればマイクの搭載数が多い「HomePod」が上回るでしょう。
HomePodの選び方
音質と聞き取り精度に優れる「HomePod」と価格が手ごろな「HomePod mini」の選び方ですが設置する場所と利用する目的でカンタンに決まると思います。
リビングなどの広い空間に置きたいなら「HomePod 」を、キッチンや寝室、洗面所、子ども部屋などに置きたいなら「HomePod mini」を選ぶことになるでしょう。
例外としてApple TV 4Kと連携したホームシアター機能を楽しみたいのであれば「HomePod」を、家中にスピーカーを置いてマルチルームオーディオやインターコムを利用したのであれば「HomePod mini」を選びましょう。
インターコムはHomePodに音声メッセージを送れる機能です。例えばリビングのHomePodから子供部屋のHomePodに「ごはんの時間だよ」と話したり、外出先から「お昼はピザにする?」などのメッセージを送ることができます。テキストメッセージよりも遥かに楽ができます。
すべての部屋に高額な「HomePod」を置くわけにはいかないので「HomePod mini」が良い選択肢になるはずです。
- 32,800円
- より高い音質で音楽を聞きたい
- 広い部屋で迫力のある音を楽しみたい
- Apple TV 4Kと連携したホームシアター機能が使いたい
- リビングなど
- 10,800円
- 音楽よりもSiriを使う機会が多い
- 机の上など限られたスペースで利用したい
- マルチルームオーディオやインターコムを利用したい
- キッチン、洗面所、寝室、子ども部屋など
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