ドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯3社が問題視されているスマートフォンの販売価格について中古価格を下回らない価格設定および割引額の上限を規定するよう総務省に求めました。
携帯電話市場では2019年10月の法改正によって「端末のセット販売において原則上限2万円まで。ただし端末のみ販売と同額で販売する場合は上限なし」ルールが設けられたことで、頻繁にのりかえるユーザーだけが優遇される不健全な競争が終了しました。
しかし、近年では上限なしルールを利用することで、一括1円などスマホの激安販売が横行し、購入者が転売することで買いたい人が買えなくなる転売ヤー問題、上限なしルールの必要条件である端末単体購入を拒否するなど、新たな問題が起きていることからルールの見直しが検討されています。
競争上対抗せざるを得ない状況でルール化が必要
総務省はルールの見直しについて2023年3月までに関係者にヒアリングを行う予定で、今回は携帯4社にヒアリングを行っています。
スマホ販売における問題として、過度な端末割引によってユーザー間の不公平、転売ヤー問題、法令違反(上限2万円を超える割引を提供しながら端末単体購入を拒否する)等が挙げられ、携帯3社は対策として中古価格を下回らない価格設定になるようなルール作りが必要と述べています。
キャリア主導で過度な端末割引をやめられないのか疑問に感じる人も多いと思いますが、1社が安値販売を始めると競争上対抗せざるを得ない状況にあることから業界一律でのルール化が必要とのこと。
具体的なルールの見直し案についてドコモはセット割と合計で2万円(端末単体購入は0円に制限)〜中古価格を上限にする案を提示。
さらに、中古価格を上限とする場合、新品価格が中古価格を下回らないように平均4.6年とされる携帯電話の買い替え年数や市場の新古品販売価格を参考に業界一律の割引上限を設定するよう求めました。
KDDIも端末単体販売含めて端末割引の上限設定が必要とし、機種変更価格を基準とした割引制限など新規・のりかえの競争過熱に歯止めをかけるような検討が必要と説明。
ソフトバンクは端末の値引き上限を中古買取価格までに規定し、中古買取価格がない場合は上限2万円にする案を提示。また、SIMのみ新規契約時の利益提供について、現在は代理店に規制がないとして2万円の上限が必要としています。
一方、楽天モバイルはセットと端末単体販売を問わずに割引等に上限が必要としたものの、中古価格ではなく価格帯によって割引の上限額を変える案を提示。
例えば、対照価格10万円未満の低〜中価格帯の端末は現行どおり2万円を上限とし、対照価格10万円以上の高価格帯の端末は機種代金の2割を割引の上限額とする案を示しています。
なお、規制の穴を突いて過度な割引が発生するたびに「携帯電話事業者は回線だけを売って端末の販売はやめればいい」という意見も耳にし、構成員からも同様の意見が出たようです。
これに対してドコモは現在も携帯ショップでサポートを望んでいる利用者が多く、端末単体の販売開始後も98%がセット販売を選択していると説明しています。
仮にキャリアが端末販売をやめた場合、消費者自身がキャリアの周波数に対応する端末を調べる必要があります。知識がない場合は自身が契約しているキャリアと端末の相性が悪いことでまったく通信できなかったり、プラチナバンドなどが利用できず使えるエリアが狭まるといった問題が生じることが容易に想像されることから現実的ではありません。
- | 総務省
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