Twitterがタイムラインを制限なく取得できる「User Streams API」を現地時間2018年8月16日をもって廃止すると発表した。
当初、同APIは6月20日に廃止すると案内されていたが開発者がAPI廃止に反対するサイトを立ち上げてユーザーを巻き込んで運動を起こすと一度は廃止時期が延期に。しかしわずか2ヶ月だけの延期となったようだ。
新API「Account Activity API」の料金も明らかに
Twitterは「User Streams API」の提供を16日をもって終了する。開発者やユーザーの反対運動も虚しく、新たに提供する「Account Activity API」にタイムラインの取得機能を追加したり、新しいストリーミングサービスを提供することもないとのこと。Twitterによれば月間アクティブアプリのたった1%しかストリーミング機能を使っていないという。
なお、タイムラインを取得できるREST APIの提供は続けるためサードパーティアプリの開発者は廃止時期までに「User Streams API」からREST APIへ切り替えを行うことになる。切り替えが完了するとタイムラインの取得は15分15回までに制限されてしまう。
There’s no streaming connection capability as is used by only 1% of monthly active apps. Also there's no home timeline data. We have no plans to add that data to Account Activity API or create a new streaming service. However, home timeline data remains accessible via REST API.
— Twitter Dev (@TwitterDev) 2018年5月16日
新しい「Account Activity API」の料金体系も発表された。15アカウントまでは無料で利用できるが、250アカウントまでは有料のPremium版を、251アカウント以上はエンタープライズ版を契約する必要がある。エンタープライズ版の料金についてはTwitterに問い合わせる必要があるが、ウェブで公開されているPremium版の料金は339ドル〜2,899ドル――日本円に換算すると約37,000円から約317,000円を毎月Twitterに支払わなければならない。料金は利用したアカウント数によって段階的に上がっていく仕組みだ。
これを受けて人気のTwitterアプリ「Twitterrific」の開発者は金銭的に同APIを利用することが難しいとツイート。日本でもWindows向けTwitterアプリ「Aristea」が既に配信を停止し、17日以降はタイムラインの取得が15分15回に制限され、ストリーム機能とプッシュ通知ができなくなると案内している。今後はこういった動きも増えていくだろう。
It’s looking like it won’t be financially possible for us to afford the new account activity API from twitter.
— Sean Heber (@BigZaphod) 2018年5月16日
「User Streams API」の廃止でなにが起きるか
開発者がTwitterのタイムラインを取得するには開発者向けに提供されている公式機能「API」を利用する必要がある。タイムラインを取得するためのAPIは複数用意されているが、15分に15回までしか利用できないといった制限が設定されているため、多くの開発者がアクセス制限のない「User Streams API」を使ってタイムラインを取得している。また、User Streams APIを利用すればユーザーに更新ボタンを押させることなくタイムラインを自動更新するストリーム機能も提供することが可能だ。
しかし、Twitterは「User Streams API」を廃止し新しい「Account Activity API」の提供を開始する。新しいAPIではツイートや@メンション、返信、リツイート、引用ツイート、引用ツイートをリツイート、いいね、ダイレクトメッセージ送信、ダイレクトメッセージ受信、フォロー、ブロック、ミュート、タイピングインジケーター、メッセージ開封確認機能などの通知もリアルタイムで取得できるがタイムラインは取得できない。開発者は15分に15回までといったアクセス制限が設定されたAPIを利用せざるを得なくなる。
さらに新しいAPIはTwitterがアプリに対して各種情報を配信する方式のため開発者がサーバを用意する必要がある。当然、サーバの維持費はタダではないため、無料のサードパーティアプリはもちろん買い切り型のアプリを提供する開発者にとっても厳しい問題だ。
「User Streams API」の廃止によって開発者はタイムラインの取得とサーバの維持費といった2つの問題を抱えることになる。アプリの提供を終了せざるを得なくなる開発者も出てくるだろう。そうなればアプリを愛用しているユーザーにも大きな影響を与えることになる。