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Googleが、8月22日に次期OS「Android 8.0 Oreo」を正式発表しました。5月に開催されたGoogle I/O 2017では新機能や変更点、アップデート配信までのスケジュールなど詳細が発表されています。
当記事では「Android 8.0 Oreo」の新機能と変更点をまとめています
目次
- Android 8.0のコードネームは「Oreo」に決定
- 電池持ちの改善
- 電池残量のパーセント表示
- 通知機能の刷新
- オートフィル
- ピクチャー・イン・ピクチャー
- アダプティブアイコン
- オーディオ
- 設定画面
- アプリのバッジ表示
- スマートなテキスト選択
- 起動時間が半分に短縮
- 絵文字
- 有害なアプリからAndroidを守る「Google Play プロテクト」
- 提供元不明のアプリのインストール方法
Android 8.0のコードネームは「Oreo」に決定
Googleは8月22日に「Android O」と称していたバージョンの正式名を「Android 8.0 Oreo」と発表しました。「Oreo」はもちろん世界的に有名なナビスコのチョコレートクッキーです。
なお、Androidのコードネームには、ほぼすべてのバージョンにアルファベット順でスイーツの名前が付けられています。
コードネーム一覧
Android 1.5 | Cupcake |
Android 1.6 | Donut |
Android 2.0 | Eclair |
Android 2.2 | Froyo |
Android 2.3 | Gingerbread |
Android 3.0 | Honeycomb |
Android 4.0 | IceCreamSandwich |
Android 4.1 | JellyBean |
Android 4.4 | KitKat |
Android 5.0 | Lollipop |
Android 6.0 | Marshmallow |
Android 7.0 | Nougat |
Android 8.0 | Oreo |
電池持ちの改善
「Android 8.0 Oreo」で最も重要視されるのが電池持ちとパフォーマンスの改善と案内されています。
これらを実現するためにバックグラウンドの動作をOSが厳しく制限・管理されます。具体的に制限されるのは暗黙的ブロードキャスト、バックグラウンドサービス、位置情報更新の3つ。
例えば、バックグラウンドで動作するアプリが実行されると、RAMのようなリソースが消費されます。特にゲームアプリやビデオアプリといったリソースを大量に消費するアプリがバックグラウンドで動作するとAndroid全体の動作が重たくなることがあります。この動作を改善するため、バックグラウンドで動作するアプリがアイドル状態になった時にバックグラウンドサービスの使用に制限がかけられます。
また、リソースを消費しやすいブロードキャストにも制限がかけられます。ブロードキャストは、電池の残量が少なくなったり、ディスプレイがオフになるといった端末の状態を取得して、何らかの動作を行うための仕組みですが、あまりにも多くのアプリが登録または受信すると大きなリソースを消費してアプリの動作に影響を与えるため、暗黙的ブロードキャストに限定して制限がかけられます。
さらに、現在地の取得にも制限がかけれられます。バックグラウンドで動作するアプリが現在地を頻繁に取得することができなくなります。取得頻度については1時間に数回のみ、と案内されていますが、開発者からのフィードバックに基いて正式公開までに調整するとしています。ポケモンGOなど位置情報を頻繁に取得するアプリには何らかの影響があるかもしれません。
なお、バックグラウンドサービスと暗黙的ブロードキャストの制限についてはジョブスケジューラーを利用することでリソースの消費を抑えながら置き換えられると説明しています。
電池残量のパーセント表示
電池残量のパーセント表示はAndroid 7.0 Nougatまで限定的に公開されていましたが、Android 8.0 Oreoで正式機能として提供されます。
通知機能の刷新
Android 7.0 Nougatで刷新された通知システムが「Android 8.0 Oreo」で再び刷新されます。
通知には新たに「チャネル」という概念が導入され、カテゴリごとに通知をブロックしたり、ロック画面に通知を表示しないよう細かく調整することができます。
新しい通知機能として一定時間後に再通知する「スヌーズ」、指定した時間が経過すると通知をキャンセルできる「タイムアウト」、重要な通知をわかりやすく表示するために背景色の指定機能、会話などの履歴を通知で確認できる機能などが追加されます。
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オートフィル
「Android 8.0 Oreo」では、パスワードなどのログイン情報を自動入力するプラットフォームが追加されます。
これまではパスワード管理アプリが独自に実装・提供していた自動入力機能ですが、プラットフォームが追加されることで開発者の負担が軽減されます。なお、ユーザーが利用する場合はキーボードアプリを選択する方法と同じ形で自動入力アプリを選択して利用できるとしています。
なお、人気のパスワード管理アプリ「1Password」を開発するAgilebitsはオートフィルの対応を表明。既にデモ映像も公開しています。
ピクチャー・イン・ピクチャー
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Android 7.0 Nougatで追加された「ピクチャー・イン・ピクチャー」は、Android TVのみサポートしていましたが、「Android 8.0 Oreo」ではスマートフォンやタブレットでも利用できるようになります。
「ピクチャー・イン・ピクチャー」は、オーバーレイ形式の小窓で動画を再生することで、別のアプリを起動してる時でも動画を視聴することができます。
例えば、動画を視聴している時にメールが届いたら通知をタップしてGmailでメールを確認または返信している間でも画面の端で動画を再生し続けることができます。
アダプティブアイコン
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Androidでは、メーカーごとまたはホームアプリごとにアプリのアイコンを円形に加工したり、四角に加工したり、混在していたりとバラバラなアイコンが並んでいます。
Android 8.0 Oreoでサポートする「アダプティブアイコン」ではデバイスごとに形の異なるアイコンを提供することで統一感を実現する機能です。また、アニメーションもサポートしています。
オーディオ
「Android 8.0 Oreo」では、ソニーが開発したBluetooth用の音声圧縮技術「LDAC(エルダック)」と、Qualcommが開発したBluetooth用の音声圧縮技術「aptX」、「aptX HD」をサポートします。
Bluetoothは、オリジナルの音質を転送することが難しいため、LDACやaptXといった圧縮技術を利用して音質を損なわずにファイルサイズを圧縮して転送することでワイヤレスイヤホンでも高音質で音楽が楽しめます。
特に「LDAC」では、スタジオで録音したマスターデータが持っている情報量により近い「ハイレゾ」相当の高音質で音楽が楽しめます。
OSレベルでオーディオが大幅に強化されたことで、これまでXperiaなど一部のスマートフォンで体験できた高音質な音楽がすべてのAndroidで体験できるようになります。なお、LDACまたはaptXを利用するには対応のワイヤレスイヤホンが必要です。
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設定画面
Android 7.0 Nougatで刷新された設定画面が再び刷新されます。
「Android 8.0 Oreo」では、ホワイトの背景色にシンプルなブラックの文字色に変更されるなどデザインが変更され、設定項目が13のグループにまとめられたことで第1階層目に表示される項目が減りました。
なお、Android 7.0 Nougatで追加されたメニューは廃止されました。
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アプリのバッジ表示
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未読のメールが存在する場合、ホーム画面に配置されたアプリのアイコンにバッジが表示されます。さらに、バッジが表示されたアイコンを長タップすると、通知をプレビューで確認できます。これまではホームアプリで独自にサポートされていましたが、ついにOSレベルでサポートされます。
スマートなテキスト選択
AndroidもiPhoneもテキストの選択は非常に面倒です。選択したあともコピーしたテキストに応じてアプリを起動したり、Chromeを起動して検索するなど非常に大変な作業でした。
この悩みが一気に解消されます。「Android 8.0 Oreo」では機械学習の活用によってテキストを長押しするだけでカンタンに選択可能になります。これまでのように大きな指で小さな文章をなぞってテキストを選択する作業はもう不要です。なお、選択したテキストに応じてアプリが表示されます。例えば、住所を選択するとメニューに「マップ」アプリが表示されてアプリを選択すると、住所が入力された状態でアプリが起動します。
起動時間が半分に短縮
「Android 8.0 Oreo」はOSの起動時間が半分に短縮されます。再起動する機会は多くはありませんが、最近はOSアップデートに加えて月に1回のセキュリティアップデート、不具合修正のアップデートなどアップデート時に再起動する機会がかなり増えています。
なお、アプリの処理速度についてもシナリオベンチマークでAndroid Nに比べて2倍になっているとのこと。体感でどれぐらいのものになるのか楽しみです。
絵文字
「Android 8.0 Oreo」では絵文字が完全刷新されて新しいデザインになります。さらに、60以上の新しい絵文字も追加されます。
有害なアプリからAndroidを守る「Google Play プロテクト」
「Android 8.0 Oreo」には、有害なアプリからスマートフォン・タブレットを保護する「Google Play プロテクト」がビルトインされています。
「Google Play プロテクト」はアプリのダウンロードおよびインストール時の有害チェック、定期的な端末スキャンを実施し、既知の有害アプリを検出されるとアプリの自動削除を行い、有害な可能性があるアプリを検出した場合はアプリを停止して警告を通知します。通知を受け取ったユーザーはアプリを削除することができます。
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提供元不明のアプリのインストール方法
Google Playからアプリをダウンロードせず、apkファイルなどからアプリを直接インストールする場合、Android 7.0 Nougat以前では、設定のセキュリティ配下にある設定項目をオンにすることでインストールできました。
「Android 8.0 Oreo」では、apkファイルがどのアプリからダウンロードされたのか指定する方法に変更されました。つまり、apkファイルのダウンロード元が変わる場合、その度に許可をする必要があります。
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