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「実質0円」廃止ではなく適正化、携帯料金の値下げは一部利用者のみ

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Yusuke Sakakura公開日:2015/12/16 17:17
「実質0円」廃止ではなく適正化、携帯料金の値下げは一部利用者のみ

約3ヶ月に渡って議論された携帯料金値下げの取りまとめ案を総務省が明らかにしました。一体どのような携帯料金の値下げ案になったのかとりまとめ案と本日開催された有識者会議をレポートします。

ライトユーザーと長期利用者向けの料金値下げを実施

値下げの新プランは5,000円の価格を参考に

各携帯電話事業者の料金プランは、2GB〜30GB(auは13GB)のデータ通信プランが提供されていますが、果たしてこのラインナップが利用者のニーズと合致しているのか、もっと少ないデータ量と安い料金で利用したいという声があるのではないかと議論されてきました。

取りまとめ案には、キッズ/ジュニアやシニア向けに提供されている5,000円の価格帯を参考に年齢や機種を限定せずに提供を検討すべきとの案が示されました。具体的な料金が示されたのは驚きですが、あくまでも一例のようです(詳細は後述します)

また、あくまでも例・案として上で、2GBよりもデータ容量の少ない新データプランの提供、2GB以下の低価格なデータプランと低価格のカケ放題プランの組み合わせ、低容量データプランの値下げといった案も示されています。


長形契約者の負担軽減

「月額サポート」「毎月割」「月月割」などを含む高額な端末購入補助は、端末を買い換える人のみが受けられる割引サービスであり、端末の買い替えが少ない長期利用者(≒長期契約者)は割引サービスを利用しにくいため、利用者間に「不公平感」が生まれるとして問題だと指摘されてきました。

取りまとめ案には、負担軽減になるような料金プランの提供を検討すべきとして、端末購入補助のない低価格プラン(SIMのみ契約)や長期利用者に対する料金割引が案として示されています。


高額な端末購入補助は著しく不公平。異常な売り方を是正

「実質0円」は廃止ではなく適正化

毎月の料金に割引を適用して端末価格をゼロ円とする「実質0円」が廃止になるとの先行報道が何度か出ていましたが、廃止ではなく不公平を是正する方向で「適正化」するとの方針が示されました。

有識者会議に参加する野村総合研究所の北氏は「0円端末がなくなる、端末価格が高騰するなどゼロかイチの報道がされるが、そうではなく著しく高額な端末購入補助を是正する」とコメント。

つまり、一括0円に加え端末購入補助で毎月の料金を割り引いたり、実質0円に加え商品券などで数万円〜数十万円をキャッシュバックするといった端末の購入で利益が発生するような異常な売り方を是正するということです。

「実質0円」廃止ではなく適正化、携帯料金の値下げは一部の利用者のみ

実質0円+キャッシュバックを行う都内某店

型落ち端末は適正化の対象外

過剰な端末購入補助の適正化に関して取りまとめ案には「型落ち端末については端末の流通に大きな影響を与えるため配慮すべき」とされており、是正の対象は新機種に限定されるようです。

これについて、北氏は新機種の定義が不明確であり、中途半端な施策に終わらないようガイドラインを作るなどして最終的には型落ちの端末についても是正の対象にすべきとしました。

“5,000円の価格を参考に”はあくまでも例を提示しただけ

高市早苗 総務大臣は「実効性が重要。方向性を示していただいた、これまでと同じとはいかない。総務省としてはすみやかに政府としての対応方針を策定する。目的は生活インフラとしてのスマートフォンをさらに多くの方々が使いやすくなるということ、競争の質を変えていくということ。サービスや料金に多様性があってわかりやすくていいなと思い、より多くの人が携帯電話を使ってくださるような姿を目指し、しっかりとした方針を策定して取り組む」とコメントして会議を締めました。

会議終了後、主査を務める明治大学法学部教授の新見育文氏が記者の質問に答え、とりまとめ案で示された値下げプランについて「一律に1GB〜円は期待してない。5,000円はひとつの参考に例を提示しただけ」と回答。

高額な端末購入補助については「急に変更するのは難しいと思うが、総理大臣もかなり強い覚悟でもって行政の指針としてウォッチしていく。ドコモはキャッシュバックを辞めますと、ある意味で公にした。他社の追従を期待している」とし、これまでも自主的な改善を促しながら実を結ばなかったことに関しては「今回は電気通信事業法の第一条が根拠になり、改善がなければ改善命令を出せる道筋を示せたことが大きい」としました。

「実質0円」廃止ではなく適正化、携帯料金の値下げは一部の利用者のみ

明治大学法学部教授の新見育文氏

料金の値下げは一部、端末価格は値上げあるいは変化なし

安倍首相の一言で議論が始まった携帯料金の値下げは約3ヶ月、議論が重ねられてきましたが、とりまとめ案で示されたのは一部のユーザーのみが恩恵を受けられる値下げでした。

当初、期待されていたのは全ユーザーに影響を与えるような値下げかもしれません。例えば、新料金プランにおけるカケ放題強制の緩和(従量制 音声プランの投入)や直接的なプランの値下げが挙げられますが、不公平感を解消するための値下げに留まった形です。

どういったプランが出てくるのかはわかりませんが、議論に上がったのは属性として被りのあるライトユーザーと長期利用者ということで、値下げが期待できるユーザーは多くはありません。

料金については値下げの恩恵を受けられるユーザーがいる一方、端末価格については過剰な端末購入補助(キャッシュバックなど)の適正化で値上げとなります。今すぐに適正化されるわけではありませんが、改善がなければ改善命令を出すと牽制していることからこれまでのようなスルーはできません。

ただ、商品券や現金による端末購入補助ではなく、各社が近年注力しているポイントサービス還元による新たな販売方法が登場する気がしないでもありません。ポイント還元であれば商品券や現金ではできない囲い込みも期待できます。

料金値下げについてはキャリアから出てくるまではなんとも言えず、端末価格については値上げ、あるいは新たな手法でこれまでと変わらず、といった予想できますが、さてどうなるでしょうか。

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