Appleが4月30日に発売した“見つける天才”「AirTag」は、サイフや鍵などの大事なアイテムに付けておくと、どこにサイフを置き忘れたかを地図で確認したり、音を鳴らして部屋のどこに鍵があるのかをカンタンに見つけることができる製品。
AirTagは500円玉ぐらいのサイズで1個3800円と安いことに加えて、全世界のApple製品が追跡する仕組みが導入されていることからストーカー目的で人を追跡するような悪用も心配されている。
そんななかでワシントン・ポストはAirTagがストーカー目的で使用される可能性に関するレポートを公開し「AirTagは安価で効果的なストーカー行為の新しい手段だ」と結論づけている。
AirTagのストーカー対策は不十分
AppleはAirTagを使ったストーカー行為を防止するために、他人のAirTagが自分の荷持に紛れ込んでいると一定期間後に音を鳴らし、警告を促す通知をiPhoneに届ける仕組みを搭載されている。
ワシントン・ポストのFowler記者はこの対策がどれぐらい有効なのか検証するために、同僚と協力してAirTagを使ったストーカー行為を1週間以上シミュレーションしたところ、AirTagとiPhoneの両方から警告を受け取ったという。
Appleが明かしてたとおりストーカー行為の3日後にAirTagからアラート音が鳴ったそうだ。ただし、音が鳴るのはわずか15秒間で音量も60db程度で、AirTagは本体が振動して音が鳴る仕組みを採用しているため、本体を手で押さえればミュートできると伝えている。60dbの音量の目安は走行中の自動車内や騒がしい事務所の中、普通の会話といったもので、子どもに持たせる防犯ブザーには85db以上という性能基準がある。
アラート音は数時間無音になったあとで再び鳴る仕様とのこと。
もちろん3日に1回ストーカーと接触すればアラート音は鳴らないため、職場の同僚や家族、親しい友人など頻繁に会う人がストーカーの場合は機能しない。iPhoneに届く通知についても相手がAndroidユーザーの場合は機能しない。アメリカでは約半数がAndroidを使っているという。
AirTagは近くに持ち主がいない場合、全世界のApple製品に対して信号を発信して追跡する仕組みを導入しているため、被害者がAndroidユーザーであっても生活の行動範囲にAppleユーザーがいれば追跡を続ける。
AirTagのレビュー記事でも書いたが、位置情報はリアルタイムに反映されないため移動中の人物を追跡することは難しいが、圧倒的にiPhoneユーザーが多い日本では精度もそれなりに高い。自宅など長時間滞在する場所ぐらいならカンタンに特定できるはずだ。
AppleはAirTagのストーカー対策についてアップデートできるとしており、3日間という期間については今後変更されるかもしれない。Fowler記者はTileのような競合製品に比べてAirTagはストーカー行為対策を講じているが、解決するべき問題はあるとしている。
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