Pixel 9のGoogle Tensor G4チップ、シリーズ最小のドマイナーアップデートに?
Googleが8月14日に発表するPixel 9シリーズは、先行披露された画像からビッグアップデートになることがわかっています。
ただ、それは見た目の話でスマートフォンの頭脳でと言えるチップについては、大きなジャンプ前のステップアップデートになる可能性があります。
携帯総合研究所では、これまでに何度もPixel 9シリーズに搭載されるチップがビッグアップデートにならないことを何度もお伝えしてきましたが、シリーズ最小に留まる可能性があります。
進化はわずかな性能向上と消費電力の改善のみ?
Kamila Wojciechowskaのレポートによると、Googleは当初、Samsungと完全に決別した真の独自チップとして開発する計画だったものの、納期が間に合わなかったことから解決策としてSamsungと最後のチップを製造することにしたとのこと。
こういった経緯で開発されたのがPixel 9シリーズに搭載されるGoogle Tensor G4チップです。
同氏がGoogle内部から得た情報によれば、高効率コアとパフォーマンスコアを4つずつ、プライムコアx1つで構成される9コアのTensor G3に対して、Tensor G4は高効率コアx3、パフォーマンスコアx3、プライムコアx1の8コアで構成されます。
すべてのコアにおいて性能に影響するクロック周波数が高くなっていますが、わずかな向上で劇的な性能アップは見込めないようです。
Tensor G4 | Tensor G3 | Tensor G2 | |
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CPU |
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AnTuTu |
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|
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性能の向上をわずかに留めてコアを1つ減らす設計変更の意図は消費電力と発熱の改善でしょう。また、不具合やパフォーマンスに問題があったモデムについてもExynos 5400に変更することで、消費電力が最大50%も改善される見込みです。
ちなみに、GoogleはExynos 5300を搭載したTensor G4も開発しているようです。モデムを流用することでコストを抑えられるTensor G4は低価格モデルのPixel 9aに搭載される可能性があります。
性能が劣るにも関わらずGoogleがSnapdragonから独自チップに切り替えて、今も開発を続けている理由は、消しゴムマジックや編集マジック、周囲のノイズを抑えてクリアに通話できるGoogle AIを高度化させて、他のスマートフォンと差別化するためです。
そのために欠かせないのが機械学習の実行を高速化するTPUやセキュリティチップのTitan M2といったカスタムコンポーネントですが、TPUは同じくクロックスピードで、カメラタスクを高速化するGXPも同じクロック周波数、AV1エンコーダー/デコーダーもTensor G3からまったく変更されていないと伝えています。
さらに、Tensor G3で発熱を改善する要因となったパッケージングプロセスについては最新のFOWLPを採用すると韓国メディアが報じていましたが、これは誤りで結局はTensor G3のFOPLPから変更されないようです。
Google Tensor G4はわずかな性能向上と消費電力の改善に留まるようです。それでもオンデバイスAIに欠かせない大容量メモリとAIモデルの高度化によって、AIによる集合写真の生成機能「Add Me」、動画対応の超解像ズーム、保存したスクショから思い出を検索できる「Pixelスクリーンショット」など、新機能の数々が提供されるようですが、チップのジャンプアップデートは来年提供されるTensor G5になる見込みです。
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