アメリカで通信サービスを提供するT-Mobileのマイク・シーバードと、衛星通信サービス「Starlink」を提供するスペースXのイーロン・マスクがイベントに登壇し、既存のスマートフォンが基地局などを介さず人工衛星と直接接続することで圏外を解消する新サービスを発表しました。
基地局よりもはるかに通い宇宙にある人工衛星と接続するには、スマートフォンのアンテナはあまりにも貧弱で、アンテナのような巨大な専用端末が必要ですが、新サービスを利用するために特別な機器は必要なく、T-Mobileに対応する既存のデバイスで利用できます。
最初はテキストメッセージから。将来的には音声通話やデータ通信も
イベントに登壇したイーロン・マスクは、第2世代のスターリンク衛星に5〜6メートルの巨大なアンテナを搭載し、ミッドバンド周波数を使って携帯電話と直接通信が可能な新サービスの概要を発表しました。衛星は次期ロケットのスターシップを使って2023年の打ち上げが計画されています。
巨大なアンテナは微弱なスマートフォンからの電波を拾う必要があり、地上に固定されている基地局と違って時速17,000マイルで上空を通過する衛星と通信するなど、ハードウェアとソフトウェア面で技術的にかなり難しいものになるとのこと。
2023年末までに一部地域でベータ版が提供される予定で、セルゾーンごとに2〜4メガビットでの通信によるSMSやMMSによるテキストメッセージと、両社と協力する一部のメッセージングアプリが利用できます。
メッセージが届くまでに30分前後の遅れが予測されていますが、リアルタイムでやり取りできる可能性も示唆されていて、将来的には音声通話とデータ通信にも対応する予定。
サービスで利用する周波数はT-Mobileのもので、世界中の携帯電話会社に対して相互ローミングを呼びかけるとしています。
Appleが9月8日にも発表するiPhone 14シリーズにも衛星通信サービスに対応する噂がありますが、今回発表された新サービスに特別な機器は必要ありません。イベント後にイーロン・マスクは将来的にテスラが販売する自動車でも利用できるとツイートしてます。
なお、日本では2021年にKDDIがスペースXと提携。au基地局のバックホール回線としてStarlinkの衛星回線を利用することで、サービス提供が困難とされていた山間部や離島で高速通信を提供すると発表。楽天モバイルが出資するAST SpaceMobileは9月にも人工衛星を打ち上げ、将来的に日本全土を100%カバーする計画です。
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