2023年2月9日、GoogleがAndroid 14を発表しました。次期OSを先行体験できるデベロッパープレビュー版もすでに提供されています(導入手順はこちら)
Android 14では、アプリのクローン機能やバッテリー使用量やバッテリーセーバの設定画面の改善、ユーザー判断によるプライバシーが保護されたフォトピッカーといった新機能が追加される見込みです。
この記事では、Android 14の新機能や変更点、対応機種、配信時期などをまとめています。Android 15が公開されるまで情報は随時更新します。
目次
- Android 14の正式公開はいつ?
- Android 14の対応機種
- お菓子なコードネームは“アップサイドダウンケーキ”
- アプリのクローン機能
- デュアルSIMの自動切り替え
- バッテリー使用量の改善
- バッテリーセーバーの設定刷新
- ユーザー判断でプライバシー保護されたフォトピッカーが利用可能に
- 誤って前の画面に戻ってしまう問題が改善
- 物理キーボードとタッチパッドが大幅改善
- サイドローディングで古いアプリのダウンロードを制限か
- 衛星通信に対応か
- 通知を逃さない「点滅による通知」
- 地域の設定
- 壁紙とスタイルの機能強化
- 絵文字を使った壁紙作成
- インターフェースの変更まとめ
- その他の新機能と変更点
Android 14の正式公開はいつ?
Android 14は3月までに2つのデベロッパープレビューが提供され、その後5つ以上のベータ版が提供されたあと、7月以降に正式版がリリースされる予定です。
バージョン | 配信時期 | アップデート概要 |
---|---|---|
デベロッパープレビュー1 | 2月 | 初期ビルド。開発者のフィードバックに重点を置き、新機能やAPI、動作の変更を行う |
デベロッパープレビュー2 | 3月 | 機能追加、API、動作変更を伴うアップデート |
ベータ1 | 4月 | ベータ版の初期リリース。ベータプログラムに登録してOTAで導入およびアップデート可能に |
ベータ2 | 5月 | 品質改善アップデート |
ベータ3 | 6月 | ファイナルAPIやビヘイビアを含む最初のプラットフォーム安定版。Google Playストアでのアプリ公開も可能に |
ベータ4 | 7月 | 最終テストのための正式版に近いビルド |
正式版 | ? | AOSPとエコシステムにAndroid 14を配信 |
Android 14の対応機種
発売から3年間のOSアップデートが保証されているPixelスマートフォン。Android 14では、2020年夏以降に発売された機種であればOSアップデートが可能です。
例えば、2023年2月のアップデートが最後になったPixel 4シリーズはAndroid 14を利用できません。また、デベロッパープレビュー版がリリースされたのはの8機種で、Pixel 4aに提供されていません。
例年どおりであれば、デベロッパープレビュー版の対応機種がそのまま正式版の対応機種になることから、Pixel 4aはAndroid 14のアップデート対象外機種になると予想されます。
- Pixel 7 Pro
- Pixel 7
- Pixel 6a
- Pixel 6 Pro
- Pixel 6
- Pixel 5a 5G
- Pixel 5
- Pixel 4a (5G)
お菓子なコードネームは“アップサイドダウンケーキ”
Androidには歴代のバージョンほぼすべてにスイーツにまつわるコードネームがアルファベット順で付与されています。
一般的にコードネームは開発者間で使用される内部的なものですが、Androidは全面に打ち出して“K”にあたるAndroid 4.4では、KitKatとコラボレーションした世界的なプロモーションが展開され、Nexus 7が当たるプレゼントキャンペーンも実施されました。
Googleはさまざまな問題からAndroid 10を機に全面を打ち出す方針を撤回したものの、当然ながら内部コードは今も存在しています。“U”にあたるAndroid 14のコードネームは、アップサイドダウンケーキ(Upside Down Cake)になりました。
アップサイドダウンケーキは、カットしたフルーツの上にケーキ生地を流し込んで焼き、提供するときには“ひっくり返して”提供するケーキです。
バージョン | コードネーム | 由来のスイーツ |
---|---|---|
1.0 | ー | ー |
1.1 | ー | ー |
1.5 | Cupcake | カップケーキ |
1.6 | Donut | ドーナツ |
2.0-2.1 | Eclair | エクレア |
2.2 – 2.2.3 | Froyo | フローズンヨーグルト |
2.3 – 2.3.7 | Gingerbread | ジンジャーブレッド(クッキー) |
3.0 – 3.2.6 | Honeycomb | 蜂の巣 |
4.0 – 4.0.4 | Ice Cream Sandwich | アイスクリーム・サンドイッチ |
4.1 – 4.3.1 | Jelly Bean | ゼリービーンズ |
4.4 – 4.4.4 | KitKat | キットカット |
5.0 – 5.1.1 | Lollipop | ロリポップキャンディ |
6.0 – 6.0.1 | Marshmallow | マシュマロ |
7.0 – 7.1.2 | Nougat | ヌガー |
8.0 – 8.1 | Oreo | オレオ |
9 | Pie | パイ |
10 | Quince Tart(内部コード) Queen Cake(幻の外部コード) | クインスタルト クイーンケーキ |
11 | Red Velvet Cake | レッドベルベットケーキ |
12 | Snow Cone | かき氷 |
13 | Tiramisu | ティラミス |
14 | Upside Down Cake | アップサイドダウンケーキ |
アプリのクローン機能
Xiaomiなどの一部メーカーが独自実装しているアプリのクローン機能が追加される可能性があります。
通常、1台のスマホで1つしか同一アプリを利用できないものの、アプリのクローン機能を利用すると同一アプリを2つ利用できます。
例えば、LINEやFacebookはスマホ1台(1アプリ)につき1アカウントに限定されていますが、クローン機能を利用すれば、スマホ1台で2アカウントを利用することも可能です。
なお、スマートフォンメーカーが指定した場合、アプリ単位でクローン機能を無効化することが可能。GoogleはPixelスマートフォンにおいてYouTubeやYouTube Musicのクローンアプリを無効化しています。
デュアルSIMの自動切り替え
デュアルSIMに対応したAndroidスマートフォンでは、利用可能なモバイルデータとSMSを手動で切り替える必要がありますが、Android 14では、最適な選択肢に自動で切り替える機能が追加されます。
Android 14が「最適」とする判断基準は不明ですが、例えば、メイン回線のSIMカードのギガが不足して速度制限等がかかった時にサブ回線に自動で切り替えたり、電波状況なども考慮される可能性があります。
バッテリー使用量の改善
バッテリーの消費量・残量などを確認して電池持ちの改善に繋げられるバッテリー使用量。
新たに前回のフル充電から何時間、画面が点灯しているかを確認できるようになりました。スマホの電池持ちを把握するのにとても役立つはずです。
また、アプリによる電池使用量とシステムによる電池使用量の表示をスイッチできるプルダウンが追加されています。
バッテリーセーバーの設定刷新
消費電力を節約して電池持ちを改善するバッテリーセーバーの設定画面が刷新されます。
「基本バッテリーセーバ」と「スーパーバッテリーセーバー」をトグル式で選べるように変更。
バッテリーセーバーを自動起動するスケジュールの設定は「スケジュールとリマインダー」に変更され、残量に応じてバッテリーセーバを利用する場合、最低残量が10%から20%に引き上げられています。
また、「普段の充電パターンを基に自動でON」が削除されました。
ユーザー判断でプライバシー保護されたフォトピッカーが利用可能に
昔からAndroidでは一部の写真や動画しか使わないにも関わらず、すべての写真や動画へのアクセス権を付与する必要がありました。
Android 13で登場した新しいフォトピッカーは、ユーザー選択した写真や動画にしかアクセスできないためプライバシー保護が大幅に強化されたものの、Twitterをはじめとして多くのアプリがこのフォトピッカーを使わない選択をしています。
Android 14では、アプリが実装していない場合でもユーザーの選択によってプライバシーを強化した新しいフォトピッカーを使えるようになります。
There's a MAJOR new privacy feature hidden in Android 14 DP1. Y'all know the Photo Picker from Android 13? A lot of apps don't use it, but soon, they may not have a choice. You can use it to select photos/videos you want apps to access, even if they ask for the full gallery! pic.twitter.com/D22d9RCtXA
— Mishaal Rahman (@MishaalRahman) February 8, 2023
誤って前の画面に戻ってしまう問題が改善
Androidでは、アプリを起動中に画面の端から中央に向かってスワイプ操作すると前の画面に戻ることができますが、今の画面が最初のページで戻れない場合はアプリが終了することがあります。
このストレスを解消するために現在は開発者向けオプションとして提供されている予測型戻るアニメーションがAndroid 14では標準導入されます。
予測型戻るアニメーションが利用できる場面で前の画面に戻れずアプリが終了する場合、画面が縮小してホーム画面が表示されるアニメーションが表示されることで、事前にアプリが閉じる動作を予測することが可能になります。

物理キーボードとタッチパッドが大幅改善
Androidに物理キーボードを接続して「快適だ」と言ってる人はそれほど多くないでしょう。ピュアなAndroidにはキーリマップの機能さえなく、改善の余地が大きくあります。
Android 14では、ついに物理キーボードのリマップ機能が追加されるかもしれません。すべてのキーをリマップすることはできないものの、多くの人がストレスを抱えているであろうCaps lock、Ctrl、メタ、Altキーの入れ替えが可能になるようです。
現行のAndroidではマウスのようにしか使えないタッチパッドはジェスチャー機能が追加。
3本指を左右にスワイプして戻る、上にスワイプしてホームに戻る、上にスワイプしてホールドして最近起動したアプリを確認する、下にスワイプして通知を表示する、4本指で左右にスワイプしてアプリケーションの切り替えが可能に。
さらに、カーソルの速度や加速度、タッチパッドの押下を1回で認識するか、スクロールを反転させるか、パッドの右下をタップして右クリックとして機能させるカスタム機能も用意される可能性があります。
開発状況を考えると正式リリース時に提供されるかはわかりませんが期待したいです。
サイドローディングで古いアプリのダウンロードを制限か
AppleのiPhoneと違ってAndroidでは公式のアプリストア以外からでもアプリをダウンロードできます。
非公式ストア以外からアプリをダウンロードする方法は「サイドローディング」と呼ばれていて、自由な競争を促す一方でセキュリティの問題が長年指摘されています。
Android 14ではサイドローディングのセキュリティ問題が改善されるのかもしれません。
Androidのソースコード管理プロジェクトAOSPから発見された変更内容によると、Googleは公式のアプリストアからダウンロードするときと同じように、サイドローディングでも古いAPIレベルを指定して開発されたアプリのダウンロードを制限するようです。
ダウンロードを制限するAPIレベルは時間をかけてAndroid 6.0 Marshmallowまで引き上げられるようです。
この制限が追加された場合、サイドローディングでもセキュリティがある程度担保され、自由な競争を維持したままマルウェアを排除することが可能になります。
衛星通信に対応か
Android 14で衛星通信に対応する可能性があります。
これは昨年8月にAndroid 13の正式版がリリースされ、SpaceXとT-Mobileが既存のスマートフォンで衛星通信が可能になる新サービスを発表した後、Google幹部のHiroshi Lockheimerが「今、衛星通信向けの設計を進めている」「Androidの次のバージョンで衛星通信の全てを有効にするため、パートナーをサポートできることに興奮している」とツイートしたことによるものです。
Android 14のロゴも衛星通信をモチーフにしたものになっていることを考えても対応する可能性は高いでしょう。ただし、日本で利用できるかは分かりません。
Wild to think about user experiences for phones that can connect to satellites. When we launched G1 in '08 it was a stretch to get 3G + Wifi working. Now we're designing for satellites. Cool! Excited to support our partners in enabling all of this in the next version of Android!
— Hiroshi Lockheimer (@lockheimer) September 1, 2022
通知を逃さない「点滅による通知」



通知を受け取った時またはアラームがなった時にカメラのフラッシュライトを点滅または画面を事前に設定した色で点滅させる新機能「点滅による通知」が追加されます。
地域の設定



言語設定とは異なる新しい「地域の設定」が追加されます。
言語設定とは別に地域によって異なる温度単位(摂氏、華氏)、週最初の曜日、数字の表記変更が可能です。
壁紙とスタイルの機能強化



ホーム画面やロック画面のカスタマイズが可能な壁紙とスタイル機能に「時計の設定」が追加(DP2で機能せず)され、画面の見た目を統一するカラーパレットの“基本の色”にモノクロが追加されます。
絵文字を使った壁紙作成




新しい壁紙のカテゴリとして「絵文字ラボ」が発見されています。
最大14個までの絵文字、絵文字のパターン、カラーを指定してすることで絵文字の壁紙を作成してロック画面やホーム画面に設定できます。
インターフェースの変更まとめ
Android 14でも多数のインターフェースが変更されます。
ロック画面のAt a Glance(スナップショット)が1行表示に
ロック画面に表示される日付・天気といった情報を表示するAt a Glance(スナップショット)が1行表示に変更されます。
画面を戻る時の矢印に背景追加
これまで矢印だけが表示されていた戻るボタンに背景が追加されて視認しやすくなりました。
セキュリティとプライバシーの調整



ドロップダウンメニューが廃止され、セキュリティの詳細設定とプライバシーの詳細設定が1つの項目に統合されました。
その他の新機能と変更点
上記に加えて以下の新機能と変更が行われる可能性があります。
- ファストペアリングの設定項目が追加
- 設定画面>接続設定>接続の設定
- 通話履歴の共有
- 複数ユーザー機能に「スマートフォンの利用をゲストに許可する」設定が追加
- オンにするとゲストアカウントと通話履歴を共有できる
- セカンダリユーザーに管理者権限を付与
- 管理者以外でもマルチユーザーの管理、デバイス設定の変更、デバイスの初期化まで可能に。デフォルトオフ
- EIDの追加
- IMEIを確認するにはタップ操作が必要に
- Android 8.1/APIレベル27以下をターゲットにビルドされたアプリをインストールすると警告を表示
- DualSense Edgeのキーレイアウトファイルが追加
- セキュリティとプライバシー
- 各項目のドロップダウンを廃止
- リセット項目の分割
- ひとまとめになっていたBluetoothとWi-Fiのリセット、モバイルネットワークのリセットに分割
- サイレントインストールされたアプリの表示
- 大画面デバイスのタスクバーに表示されるアプリアイコンにラベルが追加
- フォントを200%まで拡大可能に。(Android 13では130%)
- PINコードの自動確認(決定ボタンを押さずにロック解除)
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