今年2月、Appleはアメリカ、オーストラリア、イギリスの3ヶ国でスマートスピーカー「HomePod」を発売した。待望とされていたAppleのスマートスピーカーだが、発売からわずか3週間後に販売台数が大きく落ち込み、現在も低迷しているようだ。
一部のApple Storeでは1日10台も売れない「HomePod」
Bloombergによれば、Appleは2月に発売した「HomePod」の販売予測を引き下げて生産発注数を減らしたとのこと。両方とも発売からわずか2ヶ月後の3月末に実施されたようだ。EMSOneは発注数を1ヶ月50万台から20万台弱に大幅削減したと伝えている。
「HomePod」の予約注文がスタートした直後は好調だったそうだ。1月末の最終週はアメリカのスマートスピーカー市場における3分の1の販売台数を記録。しかし、発売から10週間の販売シェアではAmazon Echoが73%、Google Homeが14%を獲得したのに対して「HomePod」は10%に留まったという。Google Homeと肉薄しているように見えるが、最も販売台数が伸びる発売直後のデータを含めながらGoogle Homeに届かず、Amazon Echoからは途方もないほど離されてしまった。
発売から3週目以降の平均販売が市場全体の4%に落ち込んだことを考えると、発売日直後に欲しがるAppleが好きなユーザーや物好きなユーザー以外はほとんど見向きしなかったのではないだろうか。Apple Storeで働く従業員によれば「HomePod」は1日に10台も売れない状況で在庫は積み重なっているという。
「HomePod」の販売低迷、原因は?
Appleにとっての誤算は「HomePod」を年末商戦に発売できなかったことだろう。最も売れ行きが伸びる時期を逃し、Amazon EchoやGoogle Homeに顧客を誘導してしまった。また、iPhoneに比べると販売地域も極端に少ない。今春にはドイツとフランスで販売が開始される予定だが具体的な発売日のアナウンスはまだない。
価格も非常に高い。ライバルのAmazonとGoogleは低価格版を用意して「ちょっと買ってみようか」という気にさせてくれるが、「HomePod」は349ドル――日本円約37,000円と、「ちょっと購入を考えよう」という気にさせてくれる価格設定だ。ちなみに、Amazon Echoは5,980円から、Google Homeは6,480円から販売されている。
価格の割に他のスマートスピーカーと比べて差別化されていないことも問題だ。他のスマートスピーカーが既に実現している別々の部屋に設置されたスピーカーを連携させて同じ曲を流せるマルチオーディオ機能もAppleはいまだに提供できていない。
「HomePod」の販売状況が深刻になれば、日本を含む他の地域での販売拡大も消極的になる可能性がある。値下げや噂される低価格版モデルの開発など何かしらのテコ入れがなければ巻き返しは難しいかもしれない。Appleは6月4日に開発者向けのイベント「WWDC18」を開催する。その場で何らかの発表があるかもしれない。
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