iPhoneのバッテリー交換費用と診断方法、寿命を長持ちさせるには?
iPhoneの小ワザ、裏ワザPhoto by iFixit
iPhoneのバッテリーが劣化すると、性能が低下しパフォーマンスが悪くなることをAppleが認めた。Appleの説明によればバッテリー劣化によって発生するiPhoneの強制終了を防ぐためのもので新しいiPhoneへの買い替えを促すものではないようだが、「最近、iPhoneが遅い。新しいiPhoneに買い替えようかな?」と考えるユーザーも少なくないはず。
この記事では今使っているiPhoneのバッテリーがどれぐらい消耗しているのか診断する方法とバッテリーの交換費用、在庫不足になっている場合のバッテリーの予約方法を解説する。
目次
- 1. AppleはiPhoneの性能をわざと低下させている
- 2. iPhoneのバッテリー状態を診断する
- 2-1. iOSの診断結果を確認する
- 2-2. Appleに診断してもらう
- 2-3. iPhoneでバッテリー診断
- 2-4. Macでバッテリー診断
- 3. iPhoneのバッテリー交換費用
- 4. iPhoneのバッテリーを交換する
- 4-1. バッテリーの在庫確認・予約する
- 4-2. 修理予約をする
- 4-3. バッテリー交換前にバックアップが必要
- 5. iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせる方法
AppleはiPhoneの性能をわざと低下させている
米Redditに投稿された情報によれば、iPhone 6sを利用するユーザーがiOS 11にアップデートしたところ操作にもたつきやひっかかりを感じるようになった。いわゆる「重くなる」というものだ。
最新版のOSにアップデートすることで動作が重たくなるのは何もめずらしいことではない。メーカーも端末の性能が低いことを理由にアップデートを配信しないこともよくある。ただ、このユーザーは性能の低いiPhone 6 Plusの方が快適に操作できたことに疑問を感じたようだ。色々調べた結果、バッテリーを交換してみるとパフォーマンスが向上、ベンチマークスコアの数値は70%もアップした。
これらの事実と共に「Appleはバッテリーの劣化によって意図的に性能を低下させているのではないか」と投稿するとiPhone 6s以外でも同じような症状が出ていると書き込むユーザーが続出し大きな注目を集めた。
iPhoneの強制終了を防止するため
Appleは電池劣化によるiPhoneの性能低下の事実を認めてユーザーに謝罪した。
今回の電池劣化による性能低下問題は古いiPhoneから新しいiPhoneへの買い替えを促すためのもの、というユーザーの意見が多かったが、Appleはこれに反論、iPhoneをできるだけ長く使えるようにするためと説明している。
Appleの説明によれば、バッテリーは消耗部品であり、充電時間や充電回数、充電・保存方法(寿命を長持ちさせる方法を参照)によって劣化して充電能力が落ちてしまう。この劣化によってバッテリー残量が低下した状態ではデバイスが突然シャットダウンする場合があるとのこと。
この予期しないシャットダウンが発生しないように2017年1月にリリースした「iOS 10.2.1」で改善を行った。改善内容は予期しないシャットダウンを防ぐためにiPhoneの性能を動的に管理するというもの。つまり、iPhoneの性能を動的に低下させることで予期しないシャットダウンを防いだというわけだ。
この対応は2017年12月2日にリリースされた「iOS 11.2」でiPhone 7/iPhone 7 Plusにも提供され、今後も他のiPhoneに対して提供を拡大するようだ。
なお、バッテリーの劣化状態によって性能低下が発生するためバッテリーを交換すれば性能低下は発生しなくなる。Appleサポートに問い合わせたところ性能低下が発生するのはバッテリーが80%未満に劣化してからとのこと。iPhoneの場合、フル充電サイクル(0%→100%分の充電回数)を500回以上繰り返すことで約80%に劣化するとされている。
Appleの問題はiPhoneの性能を低下させて予期しないシャットダウンを防いだことではない。問題はバッテリーの劣化による性能低下をユーザーに隠していたことだ。前述したとおりAppleは過去2回のアップデートで機能追加を行っているが、アップデート時の案内にそういった説明は一切ない。
Appleに対するiPhoneユーザーの反応は非常に悪く、隠されてきた事実に対して怒りを感じ、事実が明らかになったわずか数日間で海外では複数の訴訟が発生している。
iPhoneのバッテリー状態を診断する
前述したiPhoneの意図的な性能低下はバッテリーの状態を考慮して行われている。また、特別なバッテリー交換プログラムの利用を除いて、80%未満にバッテリーが劣化していなければバッテリーを交換することはできない。今使っているiPhoneのバッテリーがどれぐらい劣化しているのか調べる方法はいくつかあるので紹介する。
iOSの診断結果を確認する
iOS 10.2.1以降のiPhoneでは、iOSの診断機能によってバッテリーの交換時期が来ている可能性があると診断された場合に設定画面にお知らせが表示されるようになっている。
診断結果を確認するには設定画面でバッテリーをタップして低電力モードの項目上を確認する。バッテリーが交換時期に来ている場合はここに“iPhone のバッテリーの点検修理が必要になる可能性があります”のメッセージが表示される。メッセージが表示されたとしても安全性に問題があるわけではなく、今すぐにバッテリーを交換する必要はなくそのまま使い続けることも可能だ。
なお、Appleはバッテリー劣化による性能低下問題を受けて2018年初頭にリリースするiOSのアップデート、おそらく「iOS 11.2.5」でiPhoneのバッテリーの状態をユーザーにわかりやすく示す新機能を追加する予定だ。ユーザーはバッテリーの状態がパフォーマンスに影響を与えているかどうかを自分で確認できるようになる。
Appleに診断してもらう
正確にバッテリーの劣化具合を確認したい場合はAppleに診断してもらうのがベストだ。ウェブやアプリからAppleサポートに連絡してバッテリーの劣化具合を知りたいと伝えればすぐに診断してもらえる。なお、iPhoneがWi-Fiに接続されている必要があるため注意しよう。
Appleサポートが診断をオンにしたあと設定画面から「プライバシー」を選択し、「解析」をタップする。


「Appleのサポートで診断を開始」を選択すると、“診断を実行”の画面が表示されるため、「同意する」をタップするとバッテリーの劣化具合を確認できる診断がスタートする。診断結果はAppleサポートから教えてもらえる。


iPhoneでバッテリー診断
最もカンタンな方法はバッテリー診断のアプリをApp Storeからダウンロードすることだ。バッテリー診断アプリはいくつもあるがよく紹介されているのは無料アプリの「Battery Life」だ。
App Storeからダウンロードした後、アプリを起動すると診断が始まりすぐにバッテリーの消耗状況が表示される。緑が正常、赤が異常を示す。RAWデータでは販売時の最大充電量と現在の充電量を確認できる。


ただし、このアプリの測定結果は信頼性が低いというレビュー評価も投稿されている。より信頼性のある診断結果を得るにはMacアプリでも確認してみよう。
Macでバッテリー診断
Macを使ったバッテリー診断アプリとして最も有名なのが「coconutBattery」だ。App Storeでは公開されていないため、専用のサイトにアクセスしてダウンロードしよう。
ダウンロードしてアプリを起動したら「iOS Devices」をクリックする。“Access to iPhone denied”のメッセージが表示される場合はiTunesを起動する。


“このコンピューターがiPhone上の情報にアクセスするのを許可しますか?”のメッセージが表示されたら「続ける」をクリック。クリック後にiPhoneの画面に“このコンピューターを信頼しますか?”のポップアップが表示されるので「信頼」をタップしてパスコードを入力しよう。
もう一度「coconutBattery」を表示して“Access to iPhone denied”のメッセージの上にある更新ボタンをクリックすると診断結果が表示される。


英語で表記されている診断結果の日本語訳は以下のとおり。
- Current charge:現在の充電されているバッテリー容量
- Full Charge Capacity:フル充電した時のバッテリー容量
- Design capacity:販売時のバッテリー容量(劣化前)
- Cycle Count:充電回数
iPhoneのバッテリー交換費用
iPhoneのバッテリーはApple Storeやアップル正規サービスプロバイダに持ち込むかiPhoneを配送することで無料または有料で交換修理することができる。
無料で交換できるのはiPhoneの購入から1年以内、または保証サービス「AppleCare+ for iPhone」の保証期間内である場合のみ。それ以外は税別・8,800円がかかる。なお、バッテリーを無料交換できるのはバッテリーの性能が80%未満(修理店舗で行うバッテリー診断の結果)になった場合に限定されている。
「iPhone 6s」のバッテリー無料交換プログラム
Appleは、iPhone 6sが突然シャットダウンする問題があるとしてバッテリーの無料交換プログラムを2016年11月に発表・実施している。
無料交換プログラムの対象であればiPhone 6sのバッテリーを無料で交換可能。対象になっているのは2015年9月から10月までの間に製造されたシリアル番号が特定の範囲内にあるデバイスのみだ。
現在利用しているiPhone 6sがプログラムの対象かどうかはプログラム専用ページにアクセスしてシリアル番号を入力すると確認できる。なお、プログラムの提供時期は“iPhone 本体の最初の小売販売日から 3 年間”と案内されている。iPhone 6sの発売日は2015年9月25日のため、2018年9月25日にプログラムが終了する。
iPhone 6以降なら期間限定で交換費用を値下げ
バッテリー劣化によってiPhoneの性能を意図的に低下させていた問題でAppleは謝罪すると共にiPhone 6以降のバッテリー交換費用を2018年1月から12月まで値下げすると発表した。
保証対象外のバッテリー交換費用は8,800円だが、期間限定の値下げによって5,600円減額され、3,200円でバッテリーを交換することができる。通常、バッテリーを交換する場合は性能が80%未満である必要があるが、80%以上でも交換することが可能だ。
iPhoneのバッテリーを交換する
iPhoneのバッテリー交換を申し込む前に気をつけるべきことがある。それはバッテリーの在庫不足だ。
そうそう起きることではないが、iPhoneの不具合や欠陥等でバッテリーの交換費用が値下げされたり、無料の交換プログラムがスタートした直後は交換用のバッテリーが在庫不足となる可能性が高い。
iPhone 6sのバッテリー無料交換プログラムや性能低下による交換費用の値下げ直後もバッテリーが在庫不足となり、場合によっては数週間〜数ヶ月待つことになった。せっかく予約しても店舗にバッテリーの在庫がない場合は修理ができず、バッテリーの予約だけをして帰ることになってしまう。特に配送修理の場合は何ヶ月も返ってこないことになるので注意が必要だ。
そうならないように修理予約を行う前にアップル正規サービスプロバイダならば電話、Apple Storeや配送修理を利用する場合は電話またはチャットでバッテリーの在庫確認をしよう。
バッテリーの在庫確認・予約する
Apple Storeでの持ち込み修理または配送修理する際にバッテリーの在庫を確認するには、まずAppleサポートにアクセスする。
デバイスの選択メニューが表示されたらiPhone/iPadをタップして表示された修理メニューから「バッテリー、電源、および充電」を選択して「バッテリー交換」をタップ。電話を利用する場合は「今すぐアドバイザーと話がしたい」を、チャットを利用する場合は「チャット」を選択する。
チャットの場合は「iPhone 6 Plusのバッテリー交換をお願いします。Apple表参道を利用する場合、交換修理にどれぐらいかかりますか?」などと聞けば教えてくれる。また、バッテリーを予約したい、入荷次第連絡が欲しいと伝えれば在庫が入荷次第、メールで入荷の連絡をくれる。入荷の連絡が来たら以下の手順を参考に来店予約を申し込もう。
なお、2018年1月12日時点でApple StoreではiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s Plusのバッテリーが在庫不足になっているとのこと。iPhone 6 Plusは3月下旬〜4月上旬に入荷予定だそうだ。
修理予約をする
iPhoneのバッテリーを交換するには、まずAppleサポートにアクセスする。
デバイスの選択メニューが表示されたらiPhone/iPadをタップして表示された修理メニューから「バッテリー、電源、および充電」を選択して「バッテリー交換」をタップ。さらに、修理方法の選択画面が表示されるため「持ち込み修理」または「配送修理」を選択しよう。
「持ち込み修理」を選択した場合は、「検索」ボタンをタップして修理サービスを受けられる店舗を選択して最後に日時を選択すると予約が完了する。
「配送修理」を選択した場合は、バッテリーを交換したいiPhoneを選択して修理費用を確認後、修理済み製品の配送先を入力する。最終見積を確認後、支払い方法を「代引き」または「クレジットカード」から選択する。最後に「送信」ボタンをタップすると修理依頼が完了する。あとは集荷に来た配送業者に製品を渡すだけだ。
バッテリー交換前にバックアップが必要
バッテリーを交換する前にiPhoneのバックアップが必須となる。忘れた場合はせっかくApple Storeなど修理店舗に行ってもそのまま帰ることになるので忘れずにバックアップを取っておこう。
iCloudバックアップを利用する場合は設定画面から「Apple ID」をタップして「iCloud」→「iCloudバックアップ」に進んで「今すぐバックアップ」を作成をタップする。
iTunesバックアップなど詳しい手順は以下の記事で解説している。
iPhoneのバッテリー寿命を長持ちさせる方法
iPhoneの性能が落ちないようにできるだけバッテリー寿命を長くするにはとにかく高温を避けなければいけない。
Appleによれば、35℃を超える環境にiPhoneなどのデバイスを放置するとバッテリーが損傷を受ける場合があり、充電できる最大容量が減ってしまうようだ。さらに、高温の中でデバイスを充電すると、より深刻な損傷を与えてしまうと注意を促している。
具体的には車の中にiPhoneを放置したり、熱がこもるバッグの中やポケットに入れたまま、ケースを付けたままiPhoneを充電してはいけないということだ。
ちなみに、低温でiPhoneを利用するとバッテリー持ちが悪くなることはあるものの一時的なものでバッテリーに損傷が加わることはないそうだ。
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