虹彩認証を世界で初めてスマートフォンに搭載した富士通製の「ARROWS NX F-04G」を手にしてから2週間が経ちました。
そろそろ虹彩認証の使い勝手もわかってきたということで、虹彩認証の使用感やメリット、デメリットをレポートしたいと思います。
目で認証を行う「虹彩認証」とは?
富士通がいち早く携帯電話やスマートフォンに搭載し、アップルやサムスンが自社のスマートフォンに採用。
さらに今夏モデルではドコモが3機種に採用するなど、さらなる流行りをみせる「指紋認証」ですが、富士通は目を利用して認証を行う「虹彩認証」を世界で初めて「ARROWS NX F-04G」に搭載しています。
指紋認証はその名の通り指紋で認証を行うものですが、虹彩認証は目の虹彩部分で認証を行います。
虹彩とは、瞳孔の外側にあるドーナツ状の部分で虹彩認証ではこの虹彩のしわを登録・照合するんだとか。また、このしわは指紋と同じく人によって異なり、同じ人の左右の虹彩でもしわの形状は異なるようです。
アイリスとは黒目の内側で瞳孔より外側のドーナツ状の部分のことを言い、瞳孔の開き具合を調節する筋肉から 構成されます
この皺の形状(模様)は遺伝子の作用と発育時の環境により外部に現れるものであり、遺伝的影響度が少ないことが 知られています。そのため、アイリスの模様は指紋などと同様にその人固有のパターンとなり、同一人の 左右の目でも異なり、一卵性双生児でも異なるパターンになります。
引用元:虹彩認証
虹彩認証の他人の受け入れ率、つまり、他人を本人と認識してしまう確率は120万分の1と、10万分の1の指紋認証よりもはるかに高いセキュリティ性を虹彩認証はほこります。
ARROWS NX F-04Gの虹彩認証を読み取るカメラと赤外線LED
ARROWS NX F-04Gでは、フロント部分に搭載された虹彩認証用のカメラで虹彩の登録・認証を行います。
また、虹彩を読み取るための補助役になる赤外線のLEDもフロント部分に搭載されています。
指紋認証の場合は、指紋を何度もセンサーにタッチする必要があり、それでもうまく読み取れないといったことがあって登録するだけでもホントに苦労しました。
虹彩認証は、カメラを見つめ続ける必要があるため、それなりに時間はかかるものの、指紋より読み取りミスが圧倒的に少なく、かなりスムーズに登録することができます。
映画やドラマなどで出てくる虹彩認証は、読み取りに時間がかかっていることが多いですが、「ARROWS NX F-04G」の虹彩認証はとてもスムーズ。指紋認証よりも認証にかかる時間はとても短く、認識率もかなり高いです。
また、最初は認証に時間がかかっても、学習機能が搭載されているため、使えば使うほど認証精度が向上するそうです。
虹彩認証のメリット・デメリット
虹彩認証は他人の受け入れ率がとても低くく、認証もスムーズといった大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。
まずは、屋外での利用に弱いこと。
前述したとおり虹彩認証は赤外線LEDを照射しますが、日差しの強い屋外では太陽光が赤外線を妨害してしまうため、虹彩が認識されづらいです。コツとして太陽に背を向けて影を作ってから認証を行うというものがありますが、それでも劇的に改善されるということはないという印象です。
また、カラーコンタクトやサングラス、瞳を大きく見せるサークルレンズなどを着用している時は利用することができません。特に女性は不便を感じるところかと思います。
メガネについては、虹彩の登録時に裸眼で行えば虹彩認証を利用することができます。
「ARROWS NX F-04G」をレビューするケータイ会議のメンバー内には、メガネを装着していると認識率が落ちるという声も聞かれますが、自分は裸眼と同じぐらいスムーズに認証できています。たまに遅いこともありますが、十分許容範囲かなと。(虹彩認証に影響があるかはわかりませんが、乱視矯正あり、ブルーライトカット加工ありのメガネです)
細かいですが、虹彩認証の利用時に自分の目と顔がディスプレイに表示されてしまいます。画面ロックを解除するたびに自分の顔が映し出されてしまうのはあまり良い気はしません。
ただ、ここは色々と工夫がされています。ディスプレイに顔と目を映さない設定も用意されており、顔でロックを解除する「フェイスアンロック」よりもディスプレイに表示される領域は狭くなっています。
さらに、モノクロで映しだされることで、顔と目が映ってもあまり気にならなくなっています。
▼虹彩認証のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
他人の受け入れ率が低くく、セキュリティ性に優れる 認証はとてもスムーズに行える 眼病など目のコンディションに左右されづらい | 屋外での利用に弱い コンタクトやサングラス、サークルレンズの着用時は利用できない メガネ着用時は認識されづらいこともある 認証時に顔と目が映しだされる (設定で非表示にできる、あまり気にならない) |
デメリットは致命的なものはほとんどありませんが、屋外での利用時に精度がガクッと落ちてしまうのが唯一気になるところでしょうか。ただ、虹彩認証は、ほかの認証方法と併用ができるため、手が慣れてしまえば、屋外では暗証番号やパスワードに自然と切り替えるようになります。
虹彩認証の便利な使い方
虹彩認証を画面ロックで利用できるのもとても便利ではありますが、この他にもdocomo IDにログインしたり、dブック、dゲーム、dミュージック、dデリバリー、ドコモのペット保険といったサービスで決済を利用するときにも虹彩認証を利用することができます。
それらよりも便利だと感じるのは、パスワードマネージャーやアプリケーションロックとの併用です。
パスワードマネージャーは、ウェブサイトやアプリケーションのログイン画面で入力するIDやパスワードを端末内に保存し、必要な時に引き出して、自動で入力させられるというもの。パスワードが覚えられない、パスワードを複数のサイトで使いまわしているという人におすすめの機能です。
アプリケーションロックは、アプリにロックをかけることで、メールやLINEなどプライバシー性の高い情報を閲覧できるアプリを他人から守れる機能です。
パスワードマネージャーもアプリケーションロックもこれまでの富士通製の端末に搭載されていましたが、「ARROWS NX F-04G」では虹彩認証と連携することでよりスムーズに利用することができます。
読み取りがスムーズではなかった指紋認証では、これらの機能を利用するたびにストレスが貯まっていたので、利用するのをやめていましたが、虹彩認証ならばストレスを感じることなく利用することができています。
指紋認証にはない「スムーズさ」と「面白さ」が快適、発売前に体験できるアプリも
富士通がいち早くケータイに持ち込んだ指紋認証ですが、初代ARROWS NXシリーズのF-06Eでは認識率の悪さに不満を感じ、2代目のF-01Fでそれが大幅に向上したものの、それ以降のモデルでは再び認識率が悪くなってしまったという印象がありました。
今回の「ARROWS NX F-04G」も虹彩認証を搭載する世界初のスマートフォンということで「その辺はどうなんだろう」と気になっていたところですが、2週間使ってきて、屋外での利用を除いて虹彩認証の認識率、スムーズさにはとても満足しています。
また、認識率とスムーズさが大幅に向上したことによって、パスワードマネージャーやアプリケーションロックといった既存の機能が使いやすくなっているのも非常に嬉しいところ。
さらに、未来感ある虹彩認証には、指紋認証にはない「面白さ」みたいなものもあって画面をロック解除するだけで高揚感を得ることもできます。
これまでARROWSに搭載されてきた指紋認証はどれだけ便利だとわかっていても、購入前に体験することは難しかったですが、「ARROWS NX F-04G」には、虹彩認証の体験アプリがインストールされていて、購入前にどういったものなのかを体験することができます。
虹彩情報は端末には保存されないため安全に利用できる
虹彩認証が気になった方はドコモショップや家電量販店に足を運び、実際に体験アプリで虹彩認証の認識率のよさ、スムーズさと面白さを体験してみてはどうでしょうか。
レビュー期間終了後は端末、アクセサリをそのまま使い続けます。
▼以下のリンク先から他のブロガーさんが書いた「ARROWS NX F-04G」のレビュー記事を読むことができます。