Samsungは今年も2つの選択肢を用意しました。
1つはモンスタークラスの2億画素カメラと1日中使っても余裕な電池持ちを誇る「Galaxy S23 Ultra」です。本体から専用のペンデバイスをサッと抜いてメモを取れるSペン、スマホ離れした写真が撮影できる光学10倍ズームなど、先日公開したレビューを読めば魅力的なスマートフォンであることがわかってもらえるはず。
もう1つの選択肢は無難なものです。Sペンはなく2億画素のカメラもありません。それでも価格帯を考えれば多くの人が「Galaxy S23」を選ぶことになるでしょう。
同じ価格帯に目を向ければGoogleのPixel 7 Proがいます。両者の実力はかなり拮抗しているため、どちらを購入しようか頭を悩ませている人も多いと思います。まずはGalaxy S23の実力をこの記事で確かめてください。
前作との比較記事を見てもわかるように、Galaxy S23は純粋なマイナーアップデートです。
最初に目がいくアップデートはデザインでしょう。
前作までアーマーアルミフレームとカメラユニットを融合させた特徴的なデザインを採用していて賛否あったものの、今作はメタルリングを装備した3つのレンズを縦に並べるシンプルなデザインに変化したことで遊び心はなくなったものの、デザインそのものに対する否定的な意見もなくなったと思います。
Galaxy S21で不評だったガラスのようなプラスチック素材“グラスティック”は前作で廃止済み。純粋なガラスを再び採用することでGalaxy S20の高級感を取り戻し、環境に優しい20%以上の再生ガラスを使用した強化ガラスのGorilla Glass Victus 2によってGalaxy S22から耐久性が強化されています。
背面にはSAMSUNGのロゴも戻ってきました。日本で販売されるGalaxyスマートフォンには、メーカーロゴではなくGalaxyのロゴが長く刻印されてきましたが、約9年ぶりに戻ってきました。
サムスン電子ジャパンはロゴを変更した理由について、これまではGalaxyの認知を優先して活動したことで日本でもある程度認知が向上したことと、今後はSamsungの社名を出してグローバル企業としてSamsungの企業姿勢をきちんと届けたいと考えたとしています。
ただ、個人的にはSamsungのイメージが大きく向上した(または悪いイメージが払拭された)ことが大きいと思います。そして、多くの人はほとんど視認できないSAMSUNGロゴよりもキャリアロゴを嫌うでしょう。
カラーはクリーム、ファントムブラック、ラベンダー、グリーンの4色です。ただし、日本ではグリーンが販売されず、楽天モバイルはラベンダーの取り扱いがありません。
どれも魅力的なカラーです。クリームとファントムブラックは誰もが好む色合いで、ラベンダーも天然染料を使用した落ち着いたカラーなので性別を選びません。すべてのカラーはフォトレビューで確認してください。
新しくなったボディには、世界最速、史上最速、史上最強のSnapdragonとアピールする「Snapdragon 8 Gen2 for Galaxy」が搭載されています。
Samsungによれば、このチップには特別な最適化が施されているとのこと。具体的な最適化の内容についてはクロックアップによる性能向上だけが明かされています。
オリジナルのSnapdragon 8 Gen2からパフォーマンスコアのクロック数が3.2GHzから3.36GHzに、GPUは680MHzから719MHzに向上。
オリジナルのチップと比べれば大きな差はありませんが、SamsungのスマートフォンはGoogleのPixelよりも長い最大5年のアップデートを提供することを考えれば性能は少しでも高い方が良いのは当然です。
ベンチマークスコア(3回平均値) | |
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Wild Life Extreme |
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Wild Life Extreme Stress Test |
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Geekbench 5 |
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Geekbench 6 |
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チップの性能自体はわずかな向上ですが、ここ最近で重視されている効率化・電池持ちについては昨年から大きな進化を遂げたようです。
Galaxy S22も日常生活での使用なら1日中でも満足できるレベルでしたが、Galaxy S23はバッテリー容量が200mAh増量され、チップの効率化とディスプレイの消費電力改善によってヘビーユースでも朝起きて家に帰るまでなら十分すぎる電池持ちを実現しています。
また、3,900mAhのバッテリーは30分で60%、約1時間で90%に到達し、1時間30分もあれば0%から100%まで充電できます。
片手で快適に操作できるコンパクトサイズ、十分すぎるパワー、優秀な電池持ちと高速充電に加えて、強力なトリプルカメラも魅力の1つです。
Galaxy S23 Ultraのような2億画素のカメラやスマホ離れした望遠圧縮が楽しめる10倍望遠レンズはないものの、必要十分すぎるカメラが備わっています。
50MPのメインカメラは複数の画素を1つに束ねてピクセルサイズを大きくすることで光の量を増やしてノイズを抑えるピクセルビニングによって店内でも明るくクリアな写真撮影が可能。
ポートレートはさくらんぼの枝やドリンクのストローまで正確とは言わないまでも他の機種に比べれば高い精度を誇っています。なんでもかんでも空を青く加工するSamsungエフェクトは、これまでよりも良い塩梅になっている気もします。一方で夜間撮影や店内撮影で露出過多になることも多くカメラのソフトウェア処理は一部アップデートによる改善が必要です。
動画撮影では8Kによる30fpsに初めて対応。補正角が2倍になった光学手ブレ補正に加えて、歩く・走るといった人の方動きを予測してブレを補正するアダプティブVDIS(電子手ブレ補正)によってなめらかな映像を記録できます。
フロントカメラは暗所でも素早く正確にピントを合わせられるようオートフォーカスが進化。AIによるソフトウェア処理によってポートレート撮影では髪や顔の質感をリアルに仕上げて、不自然になることも多い髪と背景の境界線のボケ感もナチュラルに記録されます。
屋外で明るくなったリフレッシュレート48-120Hzのディスプレイは解像度が1080pと他に比べて劣るものの、見比べても解像度の違いを把握できる人はほとんどいないでしょう。
It's GOOOOD!!
- 1日中使える電池持ち
- 史上最速のSnapdragonによる優れたパフォーマンス
- 光学3倍ズーム対応のトリプルカメラ
- クセのない新デザイン
TOUGH...
- 256GBモデルのみ
Galaxy S23は片手で操作できるコンパクトボディにSnapdragon史上最速の新しいチップ、優れたパフォーマンスと電池持ち、光学3倍ズームが可能な望遠レンズを含むトリプルカメラを詰め込んだミニモンスターです。
目立つような弱点もなく、この価格帯のスマートフォンを狙っているのであれば、選択肢から外せないのはもちろん、リストの上位に位置するスマートフォンです。
他の機種よりも明らかに優れているのはアップデートの提供期間です。Google Pixelよりも長い4世代のOSアップデートと5年間のセキュリティアップデートに加えて、アップデートの提供頻度も迅速。
Galaxy S22から乗り換えることは積極的におすすめしませんが、Galaxy S21以前の機種から買い替える場合は性能面やカメラに大きな違いを感じられるはず。Galaxy S23の機種代金は13万円〜14万円ですが、端末購入サポートを利用した時の実質負担金は5万円〜6万円です。