ランナーの目線で開発したイヤホンを提供するブランドJaybirdからフルワイヤレスイヤホン「Jaybird RUN XT」が2019年2月7日に発売された。
2017年9月に発売された「Jaybird RUN」の特徴をそのままに、IPX7等級の防水性能を取得し本体を丸洗いが可能に。汗による水分や油分、酸を落として清潔に保つことができる。
この記事ではフルワイヤレスイヤホン「Jaybird RUN XT」をレビューする。
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フルワイヤレスイヤホン「Jaybird RUN XT」とは?
Jaybirdは、ランナーとともに開発したイヤホンを提供するワークアウト特化型のブランドで、2017年に初めて発売したフルワイヤレスイヤホン「Jaybird RUN」は、汗を気にすることなく使える防汗性能や激しいワークアウトにも耐えられる高いフィット感、充電ケースとの併用で最大12時間使用できるスタミナで評価された。
その後継機として登場したのは「Jaybird RUN XT」だ。
値下げしつつ3つの進化を遂げた最新モデル
「Jaybird RUN」から進化したのは「防水」「新デザイン」「安定性/接続性」の3つ。
IPX7等級の防水に対応
防水の面では、IPX規格が真水での試験ということで前モデルでは意図的に防水性能を取得していなかったが、「Jaybird RUN XT」ではIPX7等級の防水性能に対応した。前モデルから性能自体は変わっていないようだが“IPX7等級の防水に対応している”とアピールできるようになったことでユーザーは安心して購入・使用できる。
なお、IPX7等級とは水中に沈めても不具合が出ない防水性能を備える機器に与えられる国際標準規格で、Jaybird RUN XTでは30分間1mの水深に水没しても製品に浸水しないとしている。スマートフォンではiPhone 7など多くのモデルがIPX7の防水に対応しているため雨の日のワークアウトや人より汗を多くかく人でも安心だ。
現代的なデザインに
イヤホン本体やイヤーピース、落下を防止するフィンの形状は前モデルから大きく変わっていないが、カラーリングを変えることで、より現代的なデザインになったとのこと。
具体的にはカラーラインナップが前モデルのブラック/ホワイトからブラック/グレーに変更。スピーカー部は本体の色に応じて着色され、クリアなイヤーピースで透けるよう細かくデザインされている。カラーリングだけでデザイン性は大きく改善された。
ソフトウェア改善で接続が安定
前モデルで不満の声が多かったのは接続性だ。Amazon.co.jpのレビューでも人が混雑する駅や電車内で音が途切れたり、音楽を再生しているデバイスと離れると不安定になると評価されている。
不満の声を受けて「Jaybird RUN XT」では、ソフトウェアの改善によって接続の安定性を向上したという。接続性については1ヶ月間じっくり使ってみた感想として後述する。
デザイン・サイズ
デザイン性に優れ、耳にフィットするボディ
耳に装着するイヤホンは人の目に付きやすいためデザイン性も重要だ。特にフルワイヤレスイヤホンはスピーカー部にバッテリーや通信機能を搭載するため、ヘッド部のサイズが大きくなって目立ちやすいが、「Jaybird RUN XT」はIPX7等級の防水性能を備えながら他の製品とのヘッドサイズがほぼ変わらない。
ヘッドに刻印されたJaybirdのロゴはデザイン性を高めるだけでなく、ボタンも兼用しているヘッド*の位置を指で認識できるなど機能性も高めている。
ヘッドのボタンを押すと、音声アシスタントのSiriまたはGoogleアシスタントを起動したり、音楽の再生/一時停止、音量の調整ができる。
透明なイヤーピースから見えるメタル感のあるグリーンのカラーリングも良い。これまで使用してきたフルワイヤレスイヤホンのなかでも「Jaybird RUN XT」のデザイン性はかなり高く評価できる。ワークアウト時のテンションを上げるためにもデザイン性の高さは大切だ。
フルワイヤレスイヤホンは自分の耳の形状やサイズとの相性がとても重要になる。
というのも耳や耳の穴の大きさ・形状は人それぞれで、イヤホンとの相性が悪いと耳からすぐにこぼれ落ちてしまう。ランニングなど激しいワークアウトではとても利用できないだろう。
ただ、「Jaybird RUN XT」には耳の大きさに合わせてフィット感を変えられる4種類の「イヤーフィン」に加えて、耳の穴の大きさ・形状に合わせられる丸型と楕円形のイヤーチップが2種類ずつのサイズで同梱されている。ほとんどの製品に複数サイズのイヤーチップは同梱されているが、耳の穴の形に合うように、形状の異なる2種類のイヤーチップが同梱されている製品を初めてみた。さすがランニングに特化したフルワイヤレスイヤホンだ。
実際に「Jaybird RUN XT」を付けたままランニングしてみたが、当然、耳から落ちることはなく「落ちそう」という不安さえもまったくなかった。フィット感は非常に素晴らしい。
大きすぎるケース
「Jaybird RUN XT」は本体に内蔵されているバッテリーによって最大4時間の連続再生が可能だ。付属の充電ケースを利用すれば+8時間ーー合計12時間も音楽を再生できる。
イヤホン本体のフル充電には2時間かかるが、急速充電によってわずか5分間で1時間の連続再生に対応。充電ケースはmicroUSBケーブルを使って約3時間でフル充電にできる。
充電ケースは「Jaybird RUN XT」を持ち運びするときにも利用するが、正直なところこのケースはあまり良くない。
1つは大きすぎるサイズだ。他のワイヤレスイヤホンのケースに比べて厚さがあるため、ジーンズのポケットに入れればパンパンになってしまう。トートバッグやバックパックなど取り出しが面倒なカバンに入れないといけないのは少し辛い。
もうひとつはケースに収納した時のイヤホンのホールド感が弱いこと。通常、磁力によってイヤホンがケースから飛び出ないようになっているが、「Jaybird RUN XT」のケースは磁力が弱いのか、そもそも使用していないのかわからないが、ただケースに置くだけといった感じでたよりない。
ケースの蓋には強いロックがかかっているため、ケースを落としてもイヤホンが飛び出すことはないと思うが、イヤホンを取り出す際にケースからポロリと落ちることは何度かあった。
音質、遅延、接続の安定性
ケースから取り出せば自動接続。マルチペアリングには非対応
ワイヤレスイヤホンで最もストレスに感じるのがペアリングと再接続だろう。製品によって手順がバラバラで内容も複雑。最初1回やったらもう覚えていないし、説明書がないからネットで調べたという人も多いはずだ。
「Jaybird RUN XT」は、電源オフの状態で右側のイヤホンのボタンを6秒間を押すとペアリングモードに移行するため、あとはスマートフォンなどの設定画面からBluetoothに進んで「Jaybird RUN XT」を選択するとペアリングが完了する。
一度ペアリングしてしまえばあとはケースからイヤホンを取り出すだけで自動でスマートフォンやタブレット、PCに接続される。接続を一時的に解除したい場合はイヤホンをケースに戻してフタを閉じるだけでいい。
なお、スマートフォンやPC、タブレットなど複数のデバイスで「Jaybird RUN XT」を使いたい人はマルチペアリングに対応していないため注意が必要だ。例えば、スマートフォンと接続して音楽を聴いたあと、PCと接続してYouTubeを見たい場合は電源オフの状態からボタンを6秒長押ししてペアリングモードにしてから接続する必要がある。複数のデバイスで切り替えながら使う場合は小さくない手間がかかる。
音の途切れが気になる
「Jaybird RUN XT」の前モデルは接続性に問題があってユーザーから不満の声があがっていた。ソフトウェアの改善によって接続の安定性が向上したとのことだが、iPhone XSとPixel 3 XLで1ヶ月間使ってみたところ少ないとは言えない回数で音が途切れた。
残念なのは混雑時の電車だけでなくWi-FiやBluetoothなどワイヤレスに対応した機器が少ない場所でも音が途切れることだ。音の途切れは頻繁ではないがワイヤレスイヤホンの場合は音が途切れた瞬間に「やばい!スピーカーから音が流れているかも!」と不安になるため大きなストレスを感じてしまう。そして実際にスピーカーから爆音が流れたこともあった。
ランニングをメインに使用するのであれば問題はないのかもしれないが、混雑する通勤電車やバスの中では非常に困る現象になってしまう。
大きな遅延と頻発するノイズ
ワイヤレスイヤホンの天敵は「遅延」だ。音楽だけを聴いている分には問題ないが、映像が伴うYouTubeの動画視聴やDAZNなどでのスポーツ観戦、PUBG MOBILEなどのバトルロイヤルゲームでは耐えられないほどの遅延が発生した。
おそらく対応しているコーデックが原因だろう。6000円程度のフルワイヤレスイヤホンであってもAACぐらいには対応しているが「Jaybird RUN XT」が対応するのはSBCのみ。もちろん、aptX/aptX HDには対応していないため、お世辞にも遅延に強いワイヤレスイヤホンとは言えない。
ノイズが目立つなど音質に関しても決して優れているとは言えないが、専用のアプリ「Jaybird MySound」をスマートフォンにインストールすることで低音強めて、高音を弱くするなど音質を自分好みに変えられるイコライザが利用できる。イコライザの設定は他のユーザーに公開することが可能で、評価機能も用意されているため、膨大なライブラリから好みの設定をカンタンに探すことが可能だ。自分に最適なイコライザやよく聴く音楽に合うイコライザを見つけるのは非常に楽しい。
専用アプリ「Jaybird MySound」では、このほかにもイヤホンの正しい取り付け方を動画で確認できたり、落としたイヤホンを探すのに役立つ「Find My Buds」、イヤホンのボタンを押した時の動作を変更できる「ボタンコントロール」といった機能が利用できる。
まとめ
It's GOOOOD!!
- デザイン性の高いフルワイヤレスイヤホン
- 耳にフィットするために豊富なイヤーチップ/イヤーフィン
- 4時間連続再生のスタミナ
- 丸洗いで汗や汚れも流せる防水性能
TOUGH...
- 動画視聴でも気になってしまうほどの遅延
- ホワイトノイズと曲によって発生する大きなノイズ
- 頻発する音切れ
厳しい評価になったが「Jaybird RUN XT」は、あくまでもランナー向けに開発されたフルワイヤレスイヤホンということを忘れてはいけない。
遅延や音質を考慮すれば、高音質を求める人や動画を視聴することが多い人に、このワイヤレスイヤホンをオススメすることはできないが、ワークアウトで使用するのであれば、耳の形状・サイズに合わせて高いフィット感が得られるイヤーチップ・イヤーフィン、4時間連続再生が可能なスタミナ、高いデザイン性を誇るボディ、汗で汚れたイヤホンを丸洗いできるIPX7の防水性能など魅力的な要素は多い。
税込み23,443円の販売価格もワークアウトのテンションを上げるには最適な価格設定だろう。
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