1月に引っ越しをしてからWi-Fiの調子が悪かった。前の家で使用していたWi-Fiルーターをそのまま取り付けたが十分な電波が届くのはリビングだけ。寝る前には本を読んだり、動画を見ることも多いが、電波が悪いせいで動画が途切れることが多く、リビングから最も離れた書斎ではWi-Fiが使えず、4GとWi-Fiをいったりきたりするような状態だった。
そこで導入したのが2018年7月に発売された「VELOP」(ヴェロップ)
「VELOP」は、iPhoneのケースや保護フィルム、ワイヤレスチャージャーなど、Apple製品をはじめモバイルアクセサリーを製造・販売するBelkin(ベルキン)がLinksys(リンクシス)ブランドで発売したメッシュWi-FiルーターでAppleがAirMacシリーズの販売を終了した後、Appleストアで取り扱われている唯一のルーターだ。
この記事ではAppleが認めたメッシュWi-Fiルーター「VELOP」をレビューする。
Belkin Japan
メッシュWi-Fiルーター「VELOP」とは?
「VELOP」の最大の特徴は家全体にWi-Fiの電波を届かすことができる「メッシュネットワーク」を構築できることだ。
メッシュネットワークのメリットとしては「Wi-Fiエリアの広さ」「接続ノードの自動切り替え」「カンタンな初期設定」の3つがある。
家の中に電波が届かない場所がある場合、中継機を使ってWi-Fiエリアを拡大させる方法が一般的だが、中継機はあくまでもスポット的にエリアを広げるもので家全体にWi-Fiの電波を届かせるものではない。また、中継機は親機と異なる機器なのでスピードが遅くなってしまう。
一方、メッシュネットワークはルーターと同じ性能を持つ複数台のノードを設置することで、スピードはそのままでWi-Fiエリアを劇的に広げられる。
中継機はルーターとの接続やセットアップも面倒だ。最適な設置場所を探すのも難しく、いざ使ってみると自動接続がうまくいかず、ストレスを感じながらアクセスポイント(SSIDとパスワード)を自分で変えなければいけないことも多々ある。
メッシュネットワークは同じ機器を使用するためセットアップがカンタン。特にVELOPの場合は専用アプリがサポートしてくれるため、Wi-Fiルーターなどに詳しくない人でも迷うことなくセットアップできる。メッシュネットワークならアクセスポイントは1つだけで、接続するノードも自動で切り替えくれるので子どもにも優しい。「ネットに繋がらないからお父さん/お母さん見て」と言われて代わりにやってあげるということもなくなり、色んな面でストレスフリーになるはずだ。
ルーターらしくないシンプルなデザイン
これまでのWi-Fiルーターは固定電話の横がぴったりなデザインをしたものがほとんどだったが、Appleが認めた「VELOP」はデザインも素晴らしい。
「VELOP」はマットなホワイトカラーの直方体で、トップにはWi-Fiまたはノードのステータスを確認できる優しく光るLEDが配置されている。黒塗りのプラスチッキーなボディやチカチカした緑色のLEDはない。こだわったのはもちろん見た目だけではない。縦長のタワー型ボディによって、より効果的なパフォーマンスが発揮でき、高い冷却効果にも良い影響を与えている。
サイドにはイーサネットポートと電源用プラグ、ボトムにはリセットボタンと電源ボタンが配置されている。サイズはGoogle Homeよりも小さい7.9 x 7.9 x 14.3 cm、従来のWi-Fiルーターと比べてコンパクトで設置場所に困らない。
1つ残念なところをあげるとすればイーサネットポートが2つしかないところ。リビングにはPlayStation 4、2台のnasne、Nintendo Switchがあってすべてのデバイスを有線LANケーブルで接続しているため、ポート2つではまったく足りない。
スイッチングハブで解決することもできるが、これまで使用していたWi-Fiルーター「Aterm WG2600HP」にブリッジ機能が備わっていたのでこれをスイッチングハブとして利用することにした。なお、VELOPにもブリッジ機能が備わっているが、ペアレンタルコントロール機能(保護者による子どものネット接続を制限する機能)やデバイスの優先度設定といった機能が使用できなくなってしまう。VELOPはルーターモードで利用して、モデムとブリッジモードにしたWi-FiルーターをVELOPに接続した方が良いだろう。
トライバンドとデュアルバンドの違い
VELOPにはトライバンドとデュアルバンドの2種類が用意されていてサイズやデザインにも違いがある。
サイズは縦と横の大きさは変わらないが、トライバンドの方が4cmほど高さがある。このため、デュアルバンドでは側面に配置されているイーサネットのポートや電源用プラグがトライバンドでは底面にまとめられているため、よりスッキリしたデザインで利用できる。
電源アダプタのサイズにも違いがある。トライバンドの電源アダプタはデュアルバンドに比べて大きいため、マルチタップに加えて、配線や電源アダプタを隠せるケーブルボックスを使用した方が良い。
アプリでカンタンすぎるセットアップ
Wi-Fiルーターのセットアップは、LANケーブルの配線に加えてネットワーク名やパスワードの変更などやることが多い。複数台のノードを使うメッシュネットワークはなおさらだ。
ただ、VELOPの場合は専用アプリ(App Store / Google Play)が用意されていてアプリの画面に従って設定を進めていくだけでセットアップできる。あっという間ではないものの誰でもカンタンにメッシュネットワークが構築できてしまう。
設定の変更や便利な機能もアプリでカンタンに
通常、Wi-Fiの設定を変更したり、Wi-Fiの各種機能を利用するにはWi-Fiルーターに接続して、いちいち覚えていられずストレスを感じることも多いIPアドレスをブラウザに入力して設定画面を起動しなければいけない。VELOPならアプリを立ち上げるだけですぐに設定画面やWi-Fiのステータスを確認できるダッシュボードにアクセスできる。
さらに、リソースを優先的に割り当てることで快適にネットが使える「デバイスの優先度付け」や安全なゲスト用のWi-Fiネットワークを提供できる「ゲストアクセス」、一時的またはスケジュールでネット利用を制限したり、特定のウェブサイトへのアクセスを禁止できる「保護者による制限」といった便利な機能もアプリからカンタンに設定することが可能だ。
メッシュネットワークで劇的に改善されたWi-Fi環境
実際にデュアルバンドの「VELOP」2台を導入してどのようにWi-Fi環境が改善されたのか紹介しよう。
電波強度が約4倍に
Wi-Fiの電波強度やヒートマップなど、Wi-Fiを見える化できるアプリ「Wi-Fiミレル」(App Store / Google Play)を使って電波の特に悪かった書斎で計測したところ、0〜100で示される電波強度はVELOP導入前の20〜35の黄色信号から85〜89の緑信号を安定して示すようになった。
また、電波強度をマッピングしたヒートマップでは、以下のように赤色や黄色信号がすべて緑色信号になるまで劇的に改善されている。4GとWi-Fiの接続を繰り返す現象が解消され、意図せずスマホのデータ容量が減ってしまうこともなくなった。
通信速度は4倍以上のスピードアップ
次に通信速度。マンションの規定上、最大100MbpsのVDSLしか利用できない環境だが、導入前はダウンロードが20Mbps前後、アップロードが5Mbps前後だったが、VELOPで構築されたメッシュネットワークによってダウンロードが75Mbps前後、アップロードが10Mbps〜20Mbpsまでスピードアップし、高速なデータ通信を要求するNBAのライブ中継も途切れることなく高画質で楽しめるようになった。大満足だ。
まとめ
It's GOOOOD!!
- どんな部屋にも溶け込むデザイン
- 誰にでもできるカンタンなセットアップ
- 劇的に改善するWi-Fiエリアとスピード
- 子どものネットワークを制限できるペアレンタルコントロール付き
- 必要に応じて構築できるメッシュネットワーク
TOUGH...
- 1台のノードにつきイーサネットポートは2つのみ
- 高価格
Wi-Fiに感じていたこれまでの不満はVELOPによるメッシュネットワークで完全に解決した。完璧なWi-Fiエリアをカンタンに構築できてとても満足している。
自分のように家を引っ越してからWi-Fiの調子が悪い。電波の届きが悪いという人には、VELOPによるメッシュネットワークの導入を検討して欲しい。
正直なところVELOPはWi-Fiルーターとして決して安くないが、快適なネットワークとカンタンなセットアップにはそれほどの価値がある。
デュアルバントとトライバンドの違い、設置台数の基準は?
VELOPには「トライバント」と「デュアルバンド」の2種類が存在している。どちらを購入するか迷う人も多いはずだ。
性能面の違いは2.4GHz+5GHzが利用できるデュアルバンドに対してトライバンドはもう1つ別に5GHzが利用できる。Wi-Fiに同時接続するデバイスが多い場合はトライバンドを選ぶべきだろう。
機能面ではトライバンド限定の機能として強化版ペアレンタルコントロール「Linksys Shield」が利用できる。子どもの年齢に合わせてコンテンツをブロックできるため、より安心なWi-Fiネットワークが構築することが可能だ。
VELOPを設置する台数だが1台のノードで185㎡をカバーできるため1LDKならば1台で十分。1LDK=1台を基準にして部屋数や階数が増えるごとにノードを1台ずつ増やすと快適なメッシュネットワークを構築できるだろう。
なお、トライバンドとデュアルバンドは混ぜて使用できる。まずはトライバンドを導入してWi-Fiが届かない場所には少し安いデュアルバンドを追加したり、Wi-Fiに同時接続するデバイスが多いリビングにはトライバンドを設置してその他の部屋にはデュアルバンドを設置するといった使い分けも可能だ。
メッシュネットワークが必要かわからないという人は、まずは1つのノードだけを購入してあとから2台目、3台目の購入を検討してみよう。VELOPの高い性能と快適なセットアップはメッシュネットワークなしでも十分魅力的だ。
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