日本レコード協会が違法音楽アプリに関する調査を実施し、MusicFMやMusicBoxの利用者数が大幅に減少していると報告しました。
かつて若い世代の70%超が利用経験があると答えていた違法音楽アプリは2020年3月時点で246万人の利用者が存在しましたが、同年9月には81万人に大幅減少。今回の最新の調査(2021年11月)では、37万人とさらなる減少が確認されたとのこと。
減少理由は違法音楽アプリ等の規制強化を目的とした改正著作権法によるものと、違法音楽アプリの利用面での不満が影響していると報告しています。
違法音楽アプリの利用者は10代・20代女性が突出して多い
日本レコード協会の調査は違法音楽アプリと音楽や雑誌、漫画などをアップロードしたサイトに利用者を誘導するリーチサイトを対象にしたもので、いずれもユーザー数が減少しています。
違法音楽アプリとリーチサイトを利用する年齢層は30歳以上が最も多いとのこと。
ただし、年齢層の区切りが30歳以上、12-19歳、20-29歳となっていて、30歳以上が最も高くなるような区切り方をされています。違法音楽アプリの利用者においては広い年齢層の30歳以上と局所的な12-19歳の割合に5.3%の差しかないことを考えると、若年層の利用者がどれだけ多いかがわかります。
生年代別では違法音楽アプリが10代・20代女性、リーチサイトでは10代男性の割合が突出して多いと報告されています。
違法音楽アプリは「安全ではない感じがする」
違法音楽アプリを利用する理由については「無料で利用できるから」が53.2%で最も多く、逆に利用を中止した理由については「安全ではない感じがする」が31.8%で最も多く、「使いづらい」と答えた人も27.3%存在するなど、アプリの使用感に不満を感じている人も多いようです。
また、違法音楽アプリの利用を中止した人はYouTube(40.1%)やサブスクリプションサービス(32.6%)を利用しているとのこと。リーチサイトの利用を中止した人も現在はサブスクリプションサービス(35.3%)を多く利用しているそうです。
YouTubeは公式の音楽もあれば、違法でアップロードされた音楽も多く、さらにYouTube Premium Musicといったサブスクリプションサービスも提供していますが、今回の調査では違法音楽アプリを過去に利用していた人がYouTubeでどういった曲を聴いているのかは調査されていません。
利益還元されなくても半数が利用を継続
このほかにも2020年10月に施行された改正著作権法に関する認知状況については、施行から1年以上経っても認知率が横ばいであることや、違法音楽アプリやリーチサイトの利用がアーティストに利益還元されていると間違って認識している利用者が大きく増加していると報告されています。
アーティストに利益還元されていると間違って認識している利用者はリーチサイトでは半数以上存在し、利益還元されていなくても利用を継続すると回答した人も半数存在します。さらにアーティストが反対した場合でもリーチサイトについてはほとんどの人が利用をやめないと答えています。
なお、日本レコード協会など4つの音楽団体とLINE MUSICなど音楽配信サービスを提供する4社が2019年7月に違法音楽アプリの対策強化についてAppleに要望書を提出し、アプリの削除を依頼しても削除されず削除しても再度公開されると訴えていましたが、App Storeで確認するかぎり現在も状況は大きく変わっていないようです。
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