北京で2014年に創業したロボット掃除機の中国メーカーRoborock。スマホメーカーから総合家電メーカーに転身したシャオミが出資したこともあってシャオミ系メーカーとも呼ばれています。
2016年にロボット掃除機の販売を開始。わずか1年で累計販売台数100万台を突破します。
2019年には日本に上陸。2021年に累計販売1,000万台を突破し、日本国内第2位のシェア(2021年1月-12月、販売金額ベースのロボット掃除機国内シェア18%。Roborock調べ)を獲得するなど、今最も勢いのあるロボット掃除機メーカーです。
そんなRobobackが最新技術を結集させたフラグシップモデルとして「Roborock S7 MaxV Ultra」を発売しました。
Roborock
黒塗りボディの圧倒的な存在感
円盤型の黒塗りボディは、重厚感のある見た目で掃除機というよりもガジェット感のあるデザインです。
ドックは要塞のような見た目で、すべての部屋にはマッチしないかもしれません。カラーは黒のみ、軽い雰囲気の部屋にもマッチしそうな白色もラインナップに加えて欲しいところ。
ドックの大きさは奥行きが約50cm、幅・高さが約42cmです。ドックの前と上には1m以上のスペースを空けておく必要があるので、設置場所の確保に苦労するかもしれません。
パワフルで素晴らしい水拭き
「Roborock S7 MaxV Ultra」は1台で吸引掃除と水拭きが可能なロボット掃除機です。
Roborock製品として最高の吸引力となる5,100Paを実現。S7+/S7に比べて2倍です。水拭きは毎分最大3000回動く高速振動モップと600gの高加重で床を磨き上げます。
吸引力はサイレント/バランス/ターボ/最大/Max+の5段階で調整可能。水拭きもソフト/標準/強力の3段階から選べます。
特に驚いたのは水拭きのクオリティ。これまで使っていたエコバックスのロボット掃除機に比べて、高速振動と高加重の効果によって明らかに仕上がりが違います。
障害物の認識も優秀です。
これまで使ったロボット掃除機はいずれも家具にぶつかってキズをつけていましたが、「Roborock S7 MaxV Ultra」は、顔認証の技術を使って物体との距離と形状を判断。アプリの設定画面から衝突の少ないモードをオンにすると、接触がほとんど起こりません。
認識の苦手な障害物もあって、バウンサーなど複雑な形状をした物体に無理矢理乗り上げることがありますが、本体が浮いてタイヤが空転することなく掃除を続けます。
ロボット掃除機を使用するにあたって最も困っていたのは、スマートフォンなどで使用する充電ケーブルの巻き込みや絡みです。エコバックスのロボット掃除機はほぼ毎回、吸引口にケーブルを巻き込んでいました。
「Roborock S7 MaxV Ultra」は、サイドブラシにケーブルが巻き付くことがあるものの、吸引口が狭くケーブルが入りにくいようになっています。
唯一の不満は玄関の段差を認識する精度が甘いこと。
アプリから進入禁止エリアに指定して回避することはできますが、これは半額以下のロボット掃除機でもできます。
禁止エリアを無視して侵入したり、救出した後も同じように落ちるといったことも確認しています。20万円のロボット掃除機が何度も玄関に落ちる姿は見るに耐えません。
全体的な使用感には、満足しているものの従来のロボット掃除機のレベルで人間の手が必要になることもあります。
最高レベルの吸引力と優れた水拭き性能を備えていて、他のロボット掃除機との大きな違いを明らかに実感できる一方で、ロボット掃除機の常識を覆すような驚きはありません。
3way全自動ドックでロボット掃除機の世話いらず
3way全自動ドックには大きな驚きがありました。今後、ロボット掃除機を買う時の選択肢としてドックなしのモデルは考えられないと思うほどです。
Roborock S7 MaxV Ultraの3way全自動ドックは、水拭き可能なロボット掃除機において面倒な「モップの洗浄」「取り替え」「給水」の3つの手間をすべて解決してくれます。
モップの洗浄は掃除の前後に自動で行われ、掃除中も指定した時間(デフォルトでは20分ごと。設置の変更も可能)になると、自動でドックに帰ってモップを洗浄するため、汚れを部屋中に広げることなく常に清潔に保たれます。
モップの自動洗浄ができないロボット掃除機では、ついついモップの取り替えを放置して汚れを広げてしまうことがあるので、とても嬉しい機能です。
モップの洗浄に使用する水は清水タンクの水を使用し、洗浄で汚れた水は汚水用のタンクに自動で吸い上げられます。
15〜20平方メートルの掃除を毎日1回行ったところ、3〜4日ごとにタンクへの水の補給が必要でした。汚水タンクは1週間に1回程度の廃棄が必要です。
水拭きで使用する水も清水タンクから掃除機本体に自動で補給され、掃除中に足りなくなった場合は自動でドックに戻って水を補給。掃除機本体にたまったゴミも自動でドックに吸引など、あらゆる手間がありません。
人がやることはタンクの補給と排水、ゴミ捨てのみ。パックのゴミ捨て・交換の頻度は最大2ヶ月に1度だけ、補給と排水のタイミングは専用アプリがお知らせしてくれます。
掃除で楽をしたいから買ったにも関わらず、ロボット掃除機の世話に手間がかかると、一体なんのために買ったんだろうという気がしますが、Roborock S7 MaxV Ultraにはそれがありません。
一度使ってしまうと、元には戻れない3Wayドックです。
モップの水濡れを回避するリフトアップ機能
水拭きに対応したロボット掃除機で問題となるのがカーペットです。
水拭きで汚れたモップがカーペットに触れると黒ずむことがあり、自宅のカーペットをクリーニングに出したことがあります。
「Roborock S7 MaxV Ultra」には、モップのリフトアップ機能が搭載されていて、カーペットを検知するとモップを自動で5mm持ち上げてカーペットが濡れないように吸引掃除してくれます。
リフトアップ機能は4mm未満のカーペットで有効なので、毛の長いソフトカーペットではほぼ効果なし。硬くて薄いハードカーペットでのみ有効な機能です。
リフトアップ機能の効果が得られない場合は、掃除の流れを指定できるワークフロー機能が有効です。
自宅のカーペットでは、リフトアップ機能とアプリから設定できる「カーペット回避モード」ともに効果がなかったため、最初に部屋全体を吸引のみで掃除した後、カーペットを除いたエリアを水拭き掃除をするといったルーティンを組むことでカーペットが汚れる問題を解決しました。
優れたアプリ
ワークフロー機能はスマートフォンのアプリから利用できます。
ワークフローで指定した掃除のルーティーンを毎日/平日/休日/カスタム指定で予約も可能。
ほかにも指定した部屋だけの掃除予約、部屋別の掃除モードの設定、進入/水拭きエリアの設定、最大4階分のマップ保存、Siriなど音声アシスタントによる掃除の開始、中断なども設定できます。
ロボット掃除機を怖がるペットに優しい動きをするペットモード、音声を関西弁、博多弁、子ども向けアニメ声など親しみのあるものに変更するなど、膨大な機能をアプリから利用可能。アプリからファームウェアアップデートを適用することで機能追加や不具合の改善も行われます。
アプリは日本語表記に対応していますが、中国メーカーらしい違和感のある日本語でムズムズすることもあります。
例えば、モップの動作設定に「水拭き強度」と「水拭きモード」があり、それぞれソフト/標準、標準/強力、強力/強力+と3段階の設定が用意されていますが、一体なんのことを指しているのかさっぱりわかりません。
アプリの機能性は優れていますが、細かなストレスはあります。
まとめ:掃除の手間を究極に削減できるロボット掃除機
It's GOOOOD!!
- 洗浄・給水・ゴミの収集といった掃除のあらゆる手間を削減する全自動3Wayドック
- Roborock最強の吸引力5100Pa
- 高速振動と高加重モップによる強力水拭き
- 顔認証技術を活用した優れた回避性能
- ケーブルを吸い込みにくい吸引口
TOUGH...
- 20万円を超える価格設定
- 巨大なドック
- ゴミ吸引時の大きな音
Roborock S7 MaxV Ultraは、掃除のたびに発生するモップの洗浄や水タンクへの給水、ゴミの収集といったあらゆる掃除の手間を大きく軽減してくれる3Wayドックに加え、水洗いが可能なフィルター、ダストボックスなど掃除の負担軽減については最高に優秀なロボット掃除機でした。
掃除のクオリティに関しても他とは明らかに仕上がりが異なる水拭きは特に高く評価できます。
部屋の隅まで綺麗にするには人間の手が必要ですが、クイックルワイパーの出番はほとんどありません。
マッピング機能によって部屋の隅から掃除をかけて中央にゴミを弾き出してから丁寧かつ最短ルートで掃除を行う効率さも優秀。障害物の回避能力も10万円以下のモデルとは大きく異なります。
不満な点は収集したゴミをドックに吸引する際に、寝ている子どもが起きるほどけたたましい音が鳴ることです。音が鳴る時間は短いものの音は非常に大きいです。
障害物や玄関、進入禁止エリアの識別が甘く感じることがありますが、頻繁に起きるものではありません。
個人的にロボット掃除機は人間と同程度の掃除クオリティをロボットに任せるものではなく、掃除クオリティを妥協して掃除の負担を軽くするためのものですが、掃除の負担や手間を究極まで削減したのであれば、Roborock S7 MaxV Ultraはかなり魅力的な選択肢です。ただ、やっぱり高いよね。
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