昨年ようやく日本に上陸したGoogleのフラグシップスマートフォン「Pixel」シリーズ。
「Pixel 3」シリーズは、FeliCaを搭載しておサイフケータイに対応するなど、ローカライズされたことで驚きを与え、今年春に発売された「Pixel 3a」シリーズはおサイフケータイと驚異的な夜景撮影が可能な高性能カメラなど上位モデルと共通仕様を備えながら4万円台を実現し、不振が続いていたGoogleのハードウェア収益が改善しました。
期待がかかる「Pixel 4」シリーズは、デザイン変更やカメラのマルチレンズ化、3D顔認証など大幅な進化となる見込み。
この記事では2019年秋に発売が予想される「Pixel 4」シリーズの発表日、発売日、デザイン、スペックなどの噂と最新情報をまとめています。
UPDATE:2019/10/16 2:27GoogleがPixel 4シリーズを正式に発表しました。価格や発売日、新機能などはこちらの記事でまとめています。
目次
特徴
昨年発売された「Pixel 3」シリーズは、対話型AI「Googleアシスタント」などGoogleの優れたAIをコアにしたスマートフォンでした。
最も高く評価されたカメラは、膨大な枚数の写真を機械的に学習することで、シングルレンズながら背景をぼかした写真が撮影できる「ポートレート」撮影に対応。グループショットでありがちな誰かが目をつむっていたり顔が正面を向いていなかった時のために、あらかじめ複数枚の写真を撮影。AIがベストショットを選定する「トップショット」、カメラをかざすだけでググれる「Googleレンズ」など多くの機能をAIで実現しました。
今年秋も秋発売が期待される次期Pixelシリーズ。報じられている噂によれば、これまでと同じく画面サイズの異なる2モデルラインナップで、デバイスの名称は「Pixel 4」と「Pixel 4 XL」になり、デザインの変更、マルチレンズによるカメラの進化、新しいセンサーによる画期的な空間ジェスチャなど大幅な進化を遂げそうです。
発表日・発売日
Pixelシリーズは、廉価版の「Pixel 3a」シリーズをのぞいて次期Androidのリリース後、秋に開催されるイベントで発表されています。
今年もGoogleは10月15日にアメリカ・ニューヨークで新製品発表イベントを開催すると案内しています。イベントの模様は日本時間15日23時からYouTubeでライブ配信されます。なお、Googleストアでは“10月16日をお楽しみに”とのメッセージが掲載されていて、同日から何らかの製品の販売または予約受付が始めるものと思われます。
ちなみに、Pixel 3シリーズは10月19日にアメリカで発売されたものの、日本を含む他国では11月1日に発売されたので今年も日本での発売日が少し遅れる可能性も考えられます。なお、ドコモは2019−2020年冬春モデルの発表会を11日に開催するため、Pixel 4を発売するとすれば、追加発表になることが考えられます。もちろん発売されない可能性も。。。
歴代Pixelの発表日・発売日
Pixelシリーズ | Pixel 2シリーズ | ||
---|---|---|---|
発表日 | ’16/10/04(火) | 発表日 | ’17/10/05(木) |
発売日 | ’16/10/20(木) | 発売日 | ’17/10/20(金) |
Pixel 3シリーズ | Pixel 3aシリーズ | ||
発表日 | ’18/10/10(水) | 発表日 | ’19/05/08(水) |
発売日 | ’18/11/01(木) | 発売日 | ’19/05/17(金) |
ディスプレイ
「Pixel 4」シリーズは、これまでと同じように画面サイズの異なる「Pixel 4」と「Pixel 4 XL」の2機種がラインナップされます。
流出した公式スペックによれば、「Pixel 4」は5.6インチ、「Pixel 4 XL」は6.3インチでBGRが信頼できる情報源から得た情報によると、解像度はそれぞれ2,280 x 1,080ピクセル、3,040 x 1,440ピクセルとのこと。
「Pixel 3」が5.5インチ/2,160 x 1,080ピクセル、「Pixel 3 XL」が6.3インチ/2,960 x 1,440ピクセルのため、いずれもディスプレイが縦長になるようです。
見た目での大きな変化としては「Pixel 3 XL」が採用したノッチが廃止されて通常のベゼルデザインに戻り、フロントステレオスピーカーの廃止によって下側のベゼルがわずかに薄型化されます。
ディスプレイの機能面では、次期Android Qからは新しい設定項目「Display white balance」が発見されていて、iPhoneに採用されている「True Tone」のように周囲の光に応じてディスプレイのホワイトバランスを変える新機能になると推測されています。
17) Google is testing a new "display white balance" display setting and the ability to restrict individual permissions. Both are disabled by default – I had to use an overlay to enable them. The former doesn't work while the latter is implemented. pic.twitter.com/Ad4SmF6kBO
— Mishaal Rahman (@MishaalRahman) 2019年2月22日
また、ディスプレイの新機能としてリフレッシュレートを通常の60Hzよりも高い90Hzに変更できる「スムーズディスプレイ」が搭載され、設定画面からオンにすることでよりなめらかな映像を体験できるようです。
リフレッシュレート: 1秒間で画面が更新される回数。60Hzは1秒間に60回、90Hzは1秒間に90回
カメラ
Pixelシリーズのカメラはハードウェアの進化に頼らず、機械学習などAIを進化させることでiPhoneやGalaxyにも画質や機能面で負けないカメラを実現してきましたが、「Pixel 4」ではマルチカメラの導入が確実視されていてハードウェアが大きく進化するようです。
レンズは1つセンサーを2つ搭載した“デュアルピクセル”の標準カメラは高速AFを実現する位相差オートフォーカス対応の12メガピクセルレンズで、絞りはƒ/1.73、カメラセンサーはSony IMX363が採用されるようです。新たに追加される望遠レンズはSony IMX481を採用し、画素数は16メガピクセルになることがわかっています。
Pixel 3シリーズは画像を拡大して切り取るデジタルズームだったため、ズーム撮影時に劣化が発生しましたが、望遠レンズが追加されることによってズーム撮影の画質が向上するのは間違いないでしょう。望遠レンズのズーム倍率は不明ですが、デジタルズームを含めて最大8倍ズームが可能なようです。望遠レンズのほかには奥行きの情報を多段階で取得できるToFレンズが追加になるとの噂があるものの、有力な情報や証拠はありません。
フロントカメラは、デュアルレンズから8メガピクセル、ƒ/2.0のシングルレンズに変更。カメラセンサーはSony IMX520を採用するようです。
カメラがマルチレンズ化するとダサいデザインになりがち。Googleが異例の事前公開をした公式画像によれば、ボディから飛び出たスクエア型の土台に2つのレンズと不明なホール(ToFカメラ?)、フラッシュLEDが十字に配置されています。カメラのデザインはあまり良いものにはならないようです。
カメラ用のAIチップPixel Visual Coreは「Pixel Neural Core」に名前を変えて搭載されます。AIの処理性能をより強めることが予想されますが、具体的なことはわかっていません。
また、Googleはデジタル一眼レフカメラのようなアタッチメントアクセサリーを開発しているとのこと。Androidの親であるアンディ・ルービン率いるEssential Productsが開発した「Essential Phone」では、360°カメラを取り付けることができましたが、同じような発想かもしれません。
カメラ機能はペットなど動いている被写体をブレなく撮影できる新しい「モーションモード」が追加。高く評価されている「夜景モード」は撮影時間が短縮され、画質が改善。三脚を利用することで星空の撮影も可能になるようです。
Pixel 4シリーズで撮影された写真や9to5Googleによってサンプル写真も流出しています。以下から確認できます。
セキュリティ
Googleが事前公開した画像に指紋認証がなかったことから「Pixel 4」ですが、次期Android Qのベータ版から実現に不可欠な赤外線カメラのコードと3D顔認証に関するコードが発見されていることからiPhoneの「Face ID」のような安全性の高い3D顔認証をサポートする可能性が高いと見られていました。
機械学習に必要な顔データを収集するために、Googleまたは委託業者が路上で声をかけていることが報告されていることを考えても3D顔認証への対応は間違いないはず。
そんな中でGoogleが公開した公式動画に3D顔認証を示唆する動きが収録されていました。
Googleによれば後述するSoliによる空間ジェスチャ「モーションセンス」と連動させることで、「Pixel 4」はユーザーがデバイスを手に取ったことを認識し、ワンモーションで画面ロックを解除できるそうです。また、デバイスが逆さまであってもどの向きであっても正常に動作するとのことで、iPhoneの「Face ID」よりも遥かに使い勝手は良くなるでしょう。
また、流出した実機写真からは画面ロックの解除や有料アプリの購入時に利用でき、メガネや薄いサングラスでも利用できること、写真などでは認証できないように目の動きを検出できること、顔認証データがローカルに保存されていつでも安全に削除できること、マルチユーザーに対応することがわかりました。
パフォーマンス
Pixel 3シリーズはプロセッサこそ最高クラスを搭載していたものの、RAMの容量はわずか4GBのためメモリ管理が厳しく、バックグラウンドで起動していたアプリの状態が頻繁にクリアされてしまう事象が確認されていました。
待望とされているRAMの容量アップですが「Pixel 4」では6GBになると噂され、Pixel 4のコードネーム「Coral」と名前がリンクする“Google Coral”のベンチマークスコアも6GBを示してたのでそれなりの信ぴょう性はあるのかもしれません。メモリが増量されればシビアなメモリ管理から開放されるでしょう。
なお、同じベンチマークスコアのプロセッサはXperia 1やGalaxy S10などハイエンドモデル向けの「Snapdragon 855」を示していました。
最近の噂でもRAMが6GB、プロセッサもSnapdragon 855とされていることから“Google Coral”のベンチマークスコアが示す値は信ぴょう性が高そうです。
バッテリー
電池持ちは悪くなかったPixel 3シリーズですが、流出した公式スペックからコンパクトモデルの「Pixel 4」は、バッテリー容量がPixel 3の2,915mAhよりも少ない2,800mAhになることがわかっています。
画面のサイズアップとリフレッシュレートが高くなる「スムーズディスプレイ」によって消費電力が上がるので電池持ちが心配です。
なお、「Pixel 4 XL」はPixel 3 XLの3,430mAhよりも多い3,700mAh。ビッグモデルについてはバッテリー容量がアップするため電池持ちは心配なさそうです。
次世代Googleアシスタント
Googleが2019年後半に登場予定としていた次世代のGoogleアシスタント。Pixel 4シリーズが初めての対応デバイスとなるようです。
次世代Googleアシスタントでは、処理速度が最大10倍も高速化され、「OK Google 東京で撮った写真を見せて。その中からご飯の写真を見せて。(画面をタッチして)これをジェンに送って」といった感じで“OK Google”なしで連続的な命令をこなしてくれます。
アプリ
音声を字幕化する“Live Caption”
Android 10の最も重要な機能とされていた新機能「Live Caption」はまだ未提供ですが、Pixel 4シリーズで初提供されるようです。
「Live Caption」は、スマートフォンやタブレットで再生している動画やPodcast、オーディオメッセージなど音声を含むコンテンツに自動で字幕を付与するというもの。
音を出せない環境でも動画が見られるといった利便性はもちろん、世界中の聴覚障害者にとっても必要不可欠な機能。驚くべきことに「Live Caption」は、デバイス上で動作するためオフラインでも利用できます。
文字起こし可能な“ボイスメモ”
Pixelシリーズに初めてプリインストールされるボイスメモアプリでは、文字の自動書き起こしと音声検索が利用できるようです。
音声検索を利用すれば、記録した会話から重要な単語やフレーズから音声を確認できます。音楽や笑い声のような音までカンタンに検索できるとのこと。録音したデータはGoogleドライブに保存すると音声データと書き起こしのデータが別々に保存される機能も備えています。
書き起こしや検索時に音声データを参照するためプライバシーの面が気になりますが、音声の録音・書き起こし・音声検索はすべてオフラインで動作するため心配はないようです。
デザイン、サイズ、カラー
「Pixel 4」のデザインには小さくない変化が起きるようです。
初代Pixelシリーズから背面には質感の違うツートンデザインが採用されていましたが、「Pixel 4」は1枚のガラスで覆われ、指紋認証センサーも廃止になるためほぼラットなデザインに。シングルレンズからマルチレンズに変化することでカメラの存在感が強くなるでしょう。
ボトムには充電やデータ転送に利用するUSB-C端子が配置。ディスプレイ側のスピーカーがUSB-C端子の両脇に移動します。「Pixel 3a」シリーズで復活したイヤホン端子は「Pixel 4」では利用できません。
サイドに配置される電源キーやボリュームキーに変化はないようです。
サイズは、コンパクトモデルの「Pixel 4」が147.0 x 68.9 x 8.2mm、ビッグディスプレイの「Pixel 4 XL」が160.4 x 75.2 x 8.2mm。カメラの突起を含めると厚さは9.3mmになるとのこと。
Pixel 3シリーズと比較すると、「Pixel 4」は縦にやや長く、横にやや小さく、薄さがやや厚くなります。「Pixel 4 XL」は縦に2.4mmも長く、横は1.5mmも小さく、薄さはやや厚くなります。「Pixel 4 XL」は手に持った感覚が大きく異なるかもしれません。
カラーラインナップはブラック、ホワイト、新色となるオーソーオレンジの3色になるようです。
「Pixel 4」のレンダリング画像
Evan Blass(@evleaks)やMax Weinbach(@MaxWinebach)によってレンダー画像が公開されています。
「Pixel 4」の実機写真
「Pixel 4」の実機動画
モーションセンス
Google自らのリークによって「Pixel 4」シリーズには、“空中ジェスチャ”を実現する「モーションセンス」が導入されることがわかっています。
モーションセンスは、Google I/O 2015で発表された「Project Soli」です。専用のレーダーチップから波形を出力し、物体に当たって跳ね返ってきた波形を解析することで指の繊細な動きを認識することができるというもの。
指など空中で描かれたジェスチャーを正確に読み取ることで、竜頭をつまんで回すようなジェスチャーを認識して地図をスクロールできたり、ボリュームをつまんでスライドすることで音量を調整したり、ペイントアプリでスライダーをつまむようなジェスチャーでカラーやブラシの大きさを調整するといったことが可能になります。
「Pixel 4」では、モーションセンスによってスマホに触れなくても音楽をコントロールしたり、画面ロックを解除できるようです。
Googleはモーションセンスが利用できるのは一部の地域で利用可能と案内されていましたが、利用できるのは38カ国に限定され、残念ながら日本では利用できないことがわかりました。
価格
「Pixel 4」シリーズの価格に関する噂はまだありませんが、デザインやカメラ、メモリなど大幅な変更があることを考えると価格にも影響があるかもしれません。
なお、ストレージのラインナップは昨年と同じく64GBと128GBの2種類になるようです。歴代Pixelシリーズの販売価格は以下のとおり。
- Pixel
- 32GB - 649ドル
- 128GB - 749ドル
- Pixel XL
- 32GB - 749ドル
- 128GB 869ドル
- Pixel 2
- 64GB - 649ドル
- 128GB - 749ドル
- Pixel 2 XL
- 64GB - 849ドル
- 128GB - 949ドル
- Pixel 3
- 64GB - 799ドル(95,000円)
- 128GB - 899ドル(107,000円)
- Pixel 3 XL
- 64GB - 899ドル(119,000円)
- 128GB - 999ドル(131,000円)
まとめ
Pixel 4 | Pixel 4 XL | |
---|---|---|
デザイン | ||
容量 | 64GB / 128GB | |
価格 | 799ドル〜 | 899ドル〜 |
ディスプレイ | 5.7インチ 2,280 x 1,080ピクセル |
6.3インチ 3,040 x 1,440ピクセル |
サイズ | 147.0 x 68.9 x 8.2mm | 160.4 x 75.2 x 8.2mm |
重さ | ?g | ?g |
プロセッサ | Snapdragon 855 | |
メモリ | 6GB | |
カメラ | トリプルカメラ 広角レンズ+望遠レンズ+ToFレンズ? |
|
フロントカメラ | デュアルカメラ 広角レンズ+超広角レンズ |
|
バッテリー容量 | 2,800mAh | 3,700mAh |
セキュリティ | 3D顔認証 |