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「Pixel 4」レビュー

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Yusuke Sakakura公開日:2019/11/02 8:15
「Pixel 4」レビュー

Googleの新型フラグシップスマートフォン「Pixel 4」が2019年10月24日に発売された。

望遠レンズを搭載し星空も撮影できるようになったデュアルカメラ、写真や画像では認証を突破できない新しい顔認証、手をかざすだけでスマホに触らず操作できるモーションセンスなどシリーズ初づくしの「Pixel 4」をレビューする。

目次

デザイン

Pixel 4 レビュー - デザイン

シリーズ4代目で初めてデザインをリニューアルした「Pixel 4」

大きく変化した背面は光沢ガラスと光沢なしのガラスの2種使いからフルな磨き加工ガラスにチェンジした。

同じ見た目のマットガラスは「iPhone 11 Pro」にも採用されているがそれとは別物。「Pixel 4」の磨きガラスには高級感がなくガラスと言われなければプラスチックと判断する人がほとんどだろう。

磨きガラスの左上にはシリーズ初のデュアルカメラが配置されている。それぞれのレンズを強調するようにデザインされた「iPhone 11 Pro」と違って「Pixel 4」はカメラユニット全体が黒で塗りつぶされているためタピオカ感はない。

Pixel 4 レビュー - デザイン

今回は新色の「Oh So Orange」を選んだが、カメラの存在感が気になるのであれば黒のボディにカメラが溶け込むJust Blackがオススメ。ちなみに、Just Blackの背面は磨きガラスではなく光沢のあるガラスが採用されている。

黒塗りされたフレームはこれまでと同じメタル素材にハイブリッドコーティングを施したものだが、新しいマット仕上げによってプラスチックや樹脂のような質感に変化している。

プラスチックのような磨きガラスと樹脂のようなフレームの相性は悪くない。サラサラなガラスを新感触フレームのグリップ力で補っている。ただ、正直なところハイエンドモデルとしては見た目も質感もかなりチープ。せめて黒塗りされたフレームはボディカラーに合わせて欲しかった。このなんとも言えないダサさから逃れるにはケースをつけるしかない。

Pixel 4 レビュー - デザイン

スマホのディスプレイはノッチを経てベゼルレスがトレンドになったが「Pixel 4」もちょっとだけ流れに乗ってノッチをわずか1年で廃止にした。

上側の分厚いベゼルにはフロントカメラやスピーカー、3D顔認証を実現する赤外線カメラもその他センサー、モーションセンス用のレーダーチップを搭載。ベゼルが厚めで野暮ったい上に下側のベゼルとあまりにも厚さが違うため不格好でノッチよりも気になるが、買ってから数日もすれば気にならなくなる。なお、スピーカーはフロントデュアルスピーカーからただのデュアルスピーカーになってしまった。

Pixel 4 レビュー - デザイン

画面サイズは5.7インチ、ボディの横幅は68.8mmで片手に収まる。画面は縦長で、いまだに片手モードに対応してないためすべての操作を片手で扱うのは男の手でも難しい。当然、ビッグモデルの「Pixel 4 XL」を片手で操作するのは不可能だ。

重さは162gで「iPhone 11」よりも32g、「iPhone 11 Pro」よりも26gも軽い。ポケットに入れておいても全く違和感がなくハイエンドな機能をこの軽さに集約したことは高く評価できるが、デュアルカメラやセンサーなどの部品がすべて上のベゼルに集中しているためか長時間操作していると手が疲れやすい。

カメラ

Pixel 4 レビュー - カメラ

「Pixel 4」のカメラには、通常の広角レンズに加えて新たに望遠レンズを搭載したデュアルカメラが初めて搭載された。

2つのレンズを搭載したことでズーム撮影に強く、iPhoneよりも使いやすいポートレートがさらに進化。玉ボケの写真も撮れる。

望遠レンズが加わったスーパーズーム

Pixel 3では地球から7528万キロメートル離れた火星の表面を撮影する技術を導入し、複数枚の写真を合成することでズーム撮影でも鮮明な写真を撮影することができた。

Pixel 4では新たに光学約2倍の望遠レンズを追加したことで短距離ズームで画質の劣化を気にせず撮影できるようになり、長距離ズームにおいては倍率が最大7倍から8倍に増えている。

ズーム撮影がどれほどのものか撮り比べて見ると差は歴然だった。シャープ補正がキツくガビガビした印象の「iPhone 11 Pro」に対して「Pixel 4」は自然な仕上がり。特に大きな違いはノイズと明るさ。iPhoneは魚も鳥もいないこの世に存在しないと思わせるほど空も海もノイズだらけになっている。

Pixel 4iPhone 11 Pro
左: Pixel 4、右:iPhone 11 Pro

進化したポートレート

望遠レンズの効果はズーム撮影だけではなく、背景をぼかせるポートレート撮影にも及ぶ。レンズが2つになったことで被写界深度をより正確に計測することが可能になり、より自然な背景ぼかしでポートレートが楽しめるようになった。

Pixelのポートレートは“被写体と離れてください”と頻繁に注意されてしまうiPhoneのポートレートと違って近い距離でも撮影できるため、被写体との距離を取りにくい料理との相性が良い。デュアルレンズ化した「Pixel 4」のポートレートでもこの特徴は変わっていない。

Pixel 4 レビュー - カメラ
猫でもポートレート
Pixel 4 レビュー - カメラ
手前と背景をボカすことも
Pixel 4 レビュー - カメラ
滴るシロップの液は残したまま背景がボケる
Pixel 4 レビュー - カメラ
夜景+ポートレート
Pixel 4 レビュー - カメラ
スマホで玉ボケ写真も

デュアル露出補正

Pixel 4 レビュー - デュアル露出補正

さらに新しい機能として「デュアル露出補正」が搭載された。これまでは写真全体の明るさを変更できるだけだったが、「Pixel 4」では明るい部分と暗い部分を別々に微調整することが可能に。しかも写真の撮影中に微調整ができるため、カメラアプリで見たままの写真を撮影できる。

デュアル露出補正を利用することで黒つぶれと白飛びを解消できるほか、下の写真のようにシルエット写真をカンタンに撮ることができる。

補正前補正後
左: 補正前、右:補正後

夜景モード vs ナイトモード

1年前に世間を驚かせたPixelの「夜景モード」はすっかりスマートフォンのトレンドになり、iPhone 11シリーズにも「ナイトモード」として搭載された。

夜景モードとナイトモードには小さくない違いがある。「Pixel 4」は見た目よりもハデに、明るく夜景が撮れるのに対して「iPhone 11 Pro」は見た目に近い夜景が撮れる。

Pixel 4iPhone 11 Pro
左: Pixel 4、右:iPhone 11 Pro

カメラアプリにおいてはiPhoneのナイトモードが自動で判別して写真を撮影できるのに対してPixelの「夜景モード」は撮影モードをいちいち変えなければいけない。逆にiPhoneの場合は撮影前に露出時間の調整が必要になるため、シャッターボタンを押してあとは待つだけのPixelよりも手間がかかる。好みが分かれるところだが、個人的には撮りたい時にナイトモードを選択できるPixelが好みだ。

ついに星空も撮影できる時代に

Pixelの夜景モードの最大の強みは星空も撮影できること。角度が調整できる三脚があれば良いが、椅子やテーブル、手すりなど固定できればなんでも良い。「Pixel 4」を固定してからシャッターボタンを押して4分ほどで撮影が完了。この長さが星空を撮れる理由だが、iPhoneの場合は最大30秒のためキレイに撮ることはできない。

ちなみに、星空も撮れる夜景モードはPixel 3/Pixel 3aシリーズにもソフトウェアアップデートで提供される予定だ。

Pixel 4 レビュー - カメラ
Pixel 4で星空を撮影

顔認証

Pixel 4 レビュー - 顔認証

「Pixel 4」にはNexusも含めて初めてまともな顔認証が搭載された。

写真や画像でも突破できない高いセキュリティ性に加えて、認証スピードもかなり高速。机から手に取って顔の前に持ってきた時に即画面ロックが解除されてホーム画面が表示されるため、顔認証からホーム画面が表示されるまでスピードはiPhoneよりも速い。Googleは“最速の顔認証”と謳っている。

iPhoneのFace IDとの違いは、新機能「モーションセンス」と連動*して手の動きを検知して顔認証の動作を速めていることと、認証後に画面をスワイプしなくてもホーム画面が表示されること。

モーションセンスが日本で利用できるのは2020年春から

ただ、寝顔で認証を突破されるというセキュリティの欠陥が存在している。Googleは目を開かないかぎり認証できないオプションを今後数カ月で提供すると説明しているがいつになるかは明らかにされていない。

日差しの強い屋外でも難なく認証できるなど概ね満足だが、顔を「Pixel 4」の真正面に向ける必要があるため、机の上に置いているときは認証できないのが不満だ。また、海外の先行レビューでは認証範囲がiPhoneよりも明らかに広いとのことだったが、実際に使ってみると「Pixel 4」の方が認証範囲が狭く、iPhoneよりも顔から遠ざけないと認識してくれない。Face IDと同じようにマスクを付けていると認証されないが、マスクから鼻だけ出す裏技もある。

スムーズディスプレイ

Pixel 4 レビュー - スムーズディスプレイ

Pixel 4の目玉機能の1つが映像をなめらかに表示できる「スムーズディスプレイ」だ。

通常は1秒間で60回画面を更新するところ、スムーズディスプレイをオンにすると画面の更新回数が1.5倍にアップして動きの激しいゲームアプリやスマホの基本操作であるスクロール時に映像がなめらかになる。

「Pixel 4」ならではの機能でもないが、対応機種はそれほど多くない。スムーズディスプレイには確かに実感できるほどの効果がある。ゲームアプリはもちろんTwitterやウェブサイトのスクロールでも効果がわかるほど。目が疲れにくい効果もあるため、動きの激しいゲームを長時間プレイする人にとっては嬉しい機能だ。

ただ、スマートディスプレイは電池持ちを悪化させるため、Googleは複雑な制限によって必要な時のみ機能をオンにしている。「Pixel 4」の電池持ちを考えれば、アクティブに動作状況を変えるのは必要なことだ。なお、スムーズディスプレイを開発者向けオプションから強制的にオンにする方法もあるがオススメはしない。

スマートディスプレイを複雑な条件で必要な時にオン/オフするのが新機能「アンビエントEQ」だ。周囲の明るさに応じてディスプレイの輝度を調整して色味も変える。iPhoneにも同等の機能として「TrueTone」があるが、個人的にはほんのり色味を調整してくれるアンビエントEQの方が良いと感じる。

「Pixel 4」には画面の黒い部分が発光しない有機ELディスプレイが引き続き採用されている。Android 10で追加された新機能「ダークテーマ」を使用することで暗いテーマに変化し、発光しない黒い部分が広がることで電池持ちが向上する。

電池持ち

Pixel 4 レビュー - 電池持ち

結果から言えば「Pixel 4」の電池持ちは日常生活では普通、旅行などヘビーに使う場面では不満だ。

Wi-Fiに接続している時、ディスプレイの輝度がそれほど高くなく自動調整が効かない屋内など普段の生活で利用していれば8時間〜10時間は充電しなくても使えるが、4Gに接続してディスプレイの輝度が高くなる屋外では電池持ちが悪い。

カメラテストのために小旅行に出かけて電車の乗り換えや撮影スポット、スポットまでの道のりを調べ、400枚の写真を撮影したところ6時間で電池が切れた。同様のカメラテストをした「iPhone 11 Pro」と比較して2時間の違いだが、撮影した写真の枚数は2倍近く違う。

なお、2020年春にはレーダーチップによって手の動きを検知して顔認証を高速化するなど目玉機能の「モーションセンス」が日本でも利用できるようになるが、少なからず電池持ちに影響を与えそうだ。電池持ちに妥協したくないのであれば「Pixel 4 XL」を選んだ方が良い。

ちなみに、充電には嬉しい変化があった。Pixel 3/Pixel 3aシリーズでは9,504円の高額なワイヤレス充電器「Pixel Stand」とごく一部のワイヤレス充電器以外は高速充電ができなかったが、「Pixel 4」ではQi対応のワイヤレス充電器であれば最大11Wの高速充電が可能になっている。

日本版「Pixel 4」で利用できない機能

カメラや顔認証、スマートディスプレイなど大幅に進化した「Pixel 4」だが、まだ進化を残していてまだまだ不完全だ。

2020年春には、最大10倍の高速化とOK Googleなしで連続的な命令をこなす次世代のGoogleアシスタントに加えて、スマホに触れず手の動きによってアラームのスヌーズ、タイマーのオフ、着信のミュート、曲のスキップ、高速な顔認証を実現する「モーションセンス」が日本で利用可能になる。

さらに、記録した音声を自動で文字に変換し、単語・音楽・笑い声をテキストで検索できる「レコーダー」アプリと、動画に含まれる音声を自動で字幕化する「インスタント字幕」の日本語対応は未定だ。

これらの機能はそれぞれが魅力的なだけに発売時に利用できないのは残念。色々な意味で残念なのは発表前から大きな注目を集めていたモーションセンスだ。

モノは整っているのに日本の法律が整っていないために体験することができず、良いも悪いも判断できないのは非常にもどかしい。総務省は携帯料金をおもちゃにして無意味にいじくり回すぐらいならこういう法整備をちゃんとやるべきだ。

まとめ: Pixel 4は買いか?

Pixel 4 レビュー - まとめ

It's GOOOOD!!

  • 高速な顔認証
  • 星空も撮れるカメラ
  • iPhoneよりも撮りやすいポートレート
  • 162gの軽さと片手操作できるコンパクトサイズ
  • eSIM

TOUGH...

  • 安っぽい質感
  • ブラックで統一されたフレーム
  • 超広角レンズなし
  • 電池持ち

正直なところ「Pixel 4」は手に取った瞬間にガッカリするスマートフォンだ。ハイエンドとは思えないほど質感はチープ。黒塗りでプラスチックのようなフレームの見た目は最悪。

ただ、手に取った瞬間以外はガッカリするところがほぼない(電池持ちを除いて)。使えば使うほど良く感じる。

初めて搭載された顔認証はモーションセンスと連動していないにも関わらずiPhoneよりも高速。「Pixe 4」と目を合わせた瞬間にホーム画面が表示される。机に置いたまま画面ロックを解除することはできないが、これまでのPixelも背面の指紋認証センサーによって持ち上げる必要があったため、顔認証になったからといって不便になることはない。個人的には背面の指紋認証には戻りたくない。

Pixel 3で高く評価されたカメラはさらに良くなった。日常生活で多用するポートレートモードはより自然な背景ボケになり、玉ボケ写真も撮れるようになった。旅行では星空の撮影が可能になった夜景モードが活躍する。これまでデカくて重い一眼レフでしか撮れなかった写真が片手に収まる162gの軽いスマホで撮れることが素晴らしい。

2020年春には目玉機能の「モーションセンス」と最大10倍高速化されて連続的な命令もこなせるようになった次世代Googleアシスタントが追加されるなどまだ進化を残している。

「Pixel 4」は買いか?Pixel 3シリーズからの買い替えは慎重になった方が良い。というのも星空が撮影できる夜景モードやインスタント字幕、記録した音声を自動で文字に変換するレコーダーアプリなどはPixel 3にもアップデートで提供されることが発表されている。顔認証やモーションセンス、eSIMのために9万円以上も払う必要はない。

「iPhone 11 Pro」と迷っているのであれば、電池持ち・カメラの超広角レンズ・高級感を重視するのであればiPhoneを、軽さ・星空も撮れるカメラ・モーションセンス(あまり期待しない方が良い)に惹かれるのであれば「Pixel 4」を選ぶのがオススメ。

「Pixel 4」の価格は64GBが89,980円、128GBが103,950円。「Pixel 4 XL」の価格は64GBが116,600円、128GBが128,700円。キャリアからはソフトバンクが実質43,920円〜で独占販売する。

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