12月26日、MMD研究所がメディア向けの勉強会を開催し、MVNOに関する調査データから格安SIMのシェアや利用者の変化、2018年の格安SIM市場の振り返りと2019年の業界の動きなどを紹介・解説した。
格安SIM、6割超が店舗で契約。理由は対面式が安心するから
MMD研究所の調査によれば、2018年で格安SIMの認知率は9割を超え、約半数が内容まで理解しているようだ。3年前の格安SIMの認知率は80%に満たず、利用経験も10%に満たなかったが、3年で7.6%から18.3%まで数字を伸ばした。
さらに、格安SIMをメインで利用するユーザーは2年間で約2倍の伸びを記録。Y!mobileを含めれば16.1%まで数字が伸び、現在は10人に1人以上がメインで格安SIMを利用していることになる。
メインで利用されている格安SIMサービスは楽天モバイルがトップ
メインで利用されている格安SIMサービスは楽天モバイルが23%でトップ。2位はmineo、3位はUQ mobileとなった。Y!mobileを含めた調査結果ではY!mobileが29.8%でトップになる。今年2月の調査結果に比べると、楽天モバイル・mineo・UQ mobile・イオンモバイル・LINEモバイルが数値を伸ばしている。
mineoとUQ mobileが顕著な伸びを記録
特に大きな伸びをみせたのはmineoとUQ mobileだ。2017年9月時点の回答率はmineoが8.4%でUQ mobileが4.5%だったが、mineoは+2%、UQ mobileは+2.7%を記録。UQ mobileはOCNモバイルONEとIIJmioを追い抜いて4位にランクインしている。mineoは3キャリアの回線を選べることやキャリアのサブブランドのようにiPhoneを選べることも人気の要因になっていそうだ。UQ mobileは2016年10月から深田恭子・多部未華子・永野芽郁さんをCMキャラクターに採用して知名度が大幅にアップしたことやサービス開始時から通信速度が安定していることが選ばれる要因になっているのだろう。
音声SIMとデータSIMの比率は音声SIMが昨年比+7%の伸びをみせて7:3の比率となった。数年前は格安SIMがサブ回線として契約されることが多かったが、料金節約のためにキャリアから格安SIMに乗り換える人が増えたことで、音声SIMの契約数が増えているのだろう。
店舗契約とウェブ契約の比率は6:3
格安SIMは実店舗を持たず、費用がかけないこで低料金を実現させているが、契約チャネルは店舗契約が66.9%でウェブ契約は30.5%に留まるという。家電量販店だけでなく独自のショップを持つキャリアのサブブランドや楽天モバイル、mineoがシェアでも上位にランクインしていることは無関係ではないのかもしれない。
なお、実店舗も展開する店舗契約を選ぶ理由は「対面式の契約が安心するから」がトップに、ウェブ契約を選ぶ理由は「申込みが簡単だから」が6割超を占めた。
認知率の伸びは低下。格安SIMは市場に定着か
認知・サービス認知・内容理解・利用検討・利用経験・継続利用の調査データを2015年から2018年までの4年間で比べてみると、2016年〜2017年はサービス認知や内容理解で大きく数字を伸ばしたが、2018年は大きく数字を伸ばした項目はなかった。トータルの伸び率も10%未満に留まっていることからMMD研究所は格安SIMがようやく市場に定着し、今後大きな伸びを記録するのは難しく一般消費者向けの格安SIMのMAXパイは25%か?としている。
キャリアは最大4割の値下げを実施。2019年は格安SIMの厳しい年に?
菅官房長官が携帯料金は4割値下げする余地があると発言し、キャリアに値下げのプレッシャーをかけたことで、ドコモは2019年春に大胆な料金プランの見直しを行うと発表。毎月の料金が安くなる代わりに機種代金が高くなる「分離プラン」を導入し2〜4割の料金値下げを実施する予定だ。
auはドコモの料金値下げを追随することを明らかにし、ソフトバンクも長期的な料金の値下げを実施する方針を明らかにしている。
総務省は中古端末のSIMロック解除を義務化する方針を固めるなど、中古スマホと格安SIMに明るい材料がないこともないが、こういった政府介入とキャリアの値下げによって2019年は格安SIM業界には厳しい風が吹くことになりそうだ。
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